SUPER GTの舞台、レースクイーン「レーシングミクサポーターズ」として活躍する立花サキ
立花サキとの出会いは、ある意味で衝撃的だった。これほど何もできない女の子がいるのか!?10年以上レースクイーンを取材して来たが、近年まれに見る“できない娘”だった。

それは昨年一月の「東京オートサロン」。カスタムカーの祭典でタイヤメーカー「GOOD YEAR」のモデルを務めていた彼女を撮影した時のことだ。10名近いモデルの中には初対面の娘も多く、中には新人と思しき娘も多数含まれていた。だが、みんなプロトして最低限のスキルは備えており、こちらがシャッターを切るタイミングに合わせ、当たり前のように表情とポーズを変えて行く。

ところが、立花サキは違った。こちらが何回シャッターを切っても全く変化が無い。棒立ちで表情も硬直したままだ。やむを得ず、具体的なポーズを指示するが、何をやらせてもどこかバランスがおかしい。こうなったら割り切って撮影するしかない。無難なポーズを取らせ、こちらがアングルを変えることで急場を凌いだ。「まったく、どうにもなんねーな」ファーストインプレッションは最悪だった。

それから間も無く、彼女が「SUPER GT」に参戦している「グッドスマイルレーシング」の「レーシングミクサポーターズ」として、レースクイーンデビューすることを知った。「あの娘で大丈夫なのか?」サーキットに行く前から不安が過ぎる。そして迎えた開幕戦。春先の肌寒さが残る鈴鹿サーキットで再会した彼女は、以前とは違い自らポーズを変えようとする意志が伺えた。しかし、不器用さは相変わらずで、しっかりとしたポーズが決められない。表情も使えないものばかりだ。「こりゃまいったなー」記事に使用する僅か数枚の写真を選ぶのにも苦労した。

次に会ったのは2ヵ月後。同じく「SUPER GT」の富士スピードウェイだった。この頃から立花サキに変化が見られ始める。表情やポージングは相変わらず不器用なのだが、時々“奇跡の一枚”が混じってくるようになったのだ。野球に喩えるとホームランバッタータイプ。打率は低いが、ときどき場外ホームランが出る。「これは磨けば光るかも…」彼女を見る目が少しずつ変わり始めた。

それから半年以上経過し、再会したのは今年一月の「東京オートサロン」。ちょうど一年前に立花サキと出会った場所だ。オーディオメーカー「KENWOOD」でコンパニオンを務めていた彼女は、見た目の印象が大きく変わっていた。髪が伸び、さらに束ねていたせいか、最初は気づかなかったほどだ。しかし、気づかなかった理由はもう一つ別にある。撮影時における表情やポージングの“打率”が格段に上がっていたのだ。「立花サキ=不器用」というイメージが完全に出来上がっていたため、スキルアップしていた彼女を、彼女と気づかなかったのである。

そんな風にホームランバッターから安打製造機へと変貌した彼女は、今年「SUPER GT」と、「D1グランプリ」で活躍することになっている。そこで二年目のシーズン開幕を間近に控えた立花サキを直撃してみると、また新たな発見が!グラビア的な撮影を試みると、これまで以上に表情にバリエーションと深みが加わり、まるでレンズ越しに語りかけてくるかのよう。大袈裟かもしれないが、物語の一場面を紡いでいるかのようなのだ。

そうか、なるほど。きっと彼女はコツを掴むのが下手なスロースターター。だが、一度コツを掴むと、フルスロットルで他を引き離すだけのポテンシャルを兼ね備えている…そんなタイプなのだろう。

立花サキ 立花サキ 立花サキ
立花サキは今年、二つのレース会場「SUPER GT」と「D1グランプリ」で活躍する

2011年のレースが間も無く開幕する。今年は立花サキの成長過程ではなく、成果を見極めて行こうと思う。

(文・写真/矢沢隆則)

■関連サイト
立花サキ -公式ブログ
スリーライズ - 所属プロダクション/公式サイト
レースクイーンのフォトギャラリー - livedoor SPORTS(画像1,200枚を掲載)