新卒を採用する企業数には大幅な減少はみられず、採用数の増減も「変わらない」という回答が多数となったことなどが、毎日コミュニケーションズが、 2011年春卒業予定学生の就職活動の実態から、企業の新卒者採用状況と学生の就職活動状況をまとめた「2010年度 就職戦線総括」で分かった。昨年と採用状況は大きな大きな変化はなく、今年もまた、新卒学生の就職氷河期は続きそうだ。

 調査によると、2011年卒学生の新卒採用を行う企業は前年に大幅に減少すると見られていたが、同社が運営する新卒就職情報サイトが、企業情報を提供し始めた09年10月1日時点のマイナビ掲載社数は対前年87.3%でスタート、半年後の3月末時点でも対前年比88.0%に留まっていることから、採用企業数に大幅な減少は見られなかった。

 採用数に関しては、大学学部生の採用数は、文系で「増やす」が5.8ポイント増の13.1%、「減らす」が6.0ポイント減の16.3%、理系においても「増やす」が6.1ポイント増の14.1%、「減らす」が5.3ポイント減の14.9%と、「減らす」が「増やす」の割合を大幅に上回った。最も多いのは「変わらない」という回答で、10年卒と同様に厳しさを残すものの、一部で回復の兆しも見え始めている。

 新卒採用を実施する理由としては、「組織の維持存続と強化」「将来の幹部候補・コア人材の確保」「年齢等人員構成の適正化」が上位を占めた。一方、「経営状態の好転・既存事業の拡大」は対前年3.5ポイント増の19.4%、「販売・営業部門の増強」は対前年3.2ポイント増の25.8%という結果となった。
 
 このように採用に一部回復の兆しが見られるものの、一方で、学生に「質」を求める傾向はより顕著になっている。2011年卒の選考基準を「厳しくする」企業は総合で対前年5.2ポイント減の39.4%となったが、前年厳しくした選考基準を変更せず、「前年並み」と回答した企業が4.9ポイント増の60.2%となるなど、引き続き高い選考基準で推移している。
 
 「質と量の優先度」を比較してみても、「徹底して質を重視する」割合は大学(文系)で対前年8.0ポイント増の53.1%、大学(理系)で 6.8ポイント増の51.0%と共に各カテゴリーで過去10年の中で最高の比率となっている。「量よりは質」と併せると文理共に9割を越え、「徹底して質」を求める傾向にあり、新卒学生には非常に厳しい就活の実態が浮かび上がる結果となっている。

海外で働きたくない新入社員 2人に1人
7月1日現在の就職内定率68.7%、前年同期に迫る−ディスコ調べ
2011年度新卒採用見込み、増加と減少ほぼ同数で採用拡大は限定的

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