「画面の口が話す」iPhone通訳アプリ(動画)

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Eliot Van Buskirk

ダグラス・アダムズのベストセラー小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』[邦訳:河出書房新社刊]では、バベルフィッシュ(バベル魚)という架空の生き物を耳に入れることで、あらゆる言語の話を理解できるようになる。この夢はまだ実現していないが、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空によるiPhoneアプリ『iLingual』シリーズは、その方向に1歩踏み出している。

iLingualシリーズ(『iLingual French』へのiTunesリンク)は無料のiPhoneアプリだ。まず口元を撮影し、400ほどある英語の会話表現から目的のものを選択して、iPhone(iPod Touch)を口元にもっていく。すると、アラビア語、フランス語、あるいはドイツ語で(インストールしたアプリで決まる)、実際に当人が話をしている感じになる。

次の動画を見て欲しい。iLingual Frenchを使っているデモ動画だ。(初代のiPhoneはスピーカーの音量が小さいため、この動画のようにはいかない)。

iLingualシリーズは完全版のほかにライト版がある。完全版は会話表現を400ほど収録しているが、Wi-Fi環境でしかダウンロードできない。ライト版は表現の数が少なくなるが、3GやEdgeの通信環境でもダウンロードできる。[価格はどちらも無料]

表現の数が400ほどなので、流暢とまではいかないだろう。しかし、旅行の際に役立ち、また楽しめるという点では、うまくいっていると思う。設定から利用までは簡単だし、便利な表現(アラビア語で「炭酸入りのミネラルウォーターを1杯下さい」、ドイツ語で「ビールを4杯下さい」)から、会話を盛り上げる表現(「あなたもこれでやってみてよ」)まで、いろんな会話表現を使うことができる。

エミレーツ航空はこのアプリを販売するつもりはなく、マーケティングツールとして考えている。開発のコンセプトとしては、便利さというよりは「旅行の楽しさを増す」というところに重点があった。

アプリを制作したのは英Lean Mean Fighting Machine社で、さらに外国語の数を増やし、別のスマートフォンでも使えるようにする計画があるという。また、将来的には、有限のリストから選択するのではなく、どんな文章でも通訳できるような製品を開発したいと考えているという。


WIRED NEWS 原文(English)

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