「レンジがすごく広いのと、バランスも正確」/山内“Dr.”隆義(スタジオ・エンジニア)
アーティストのイメージに沿って創りあげたオリジナル・マスターテープの音(原音)を可能な限り忠実に、リスナーに届けたいという“原音探究”への願いから生まれた、ビクター「ウッドコーンスピーカー」。その音創りは、アーティストの想いを忠実にマスターテープに託すことを使命とするレコーディングスタジオのエンジニアとの連携によって実現。今回は、実際にレコーディングの制作現場でウッドコーンスピーカーを愛用しているサウンドインスタジオのエンジニア・山内“Dr.”隆義氏に生の声を聞いた。
スピーカーは楽器でありたい。その発想から生まれたウッドコーンスピーカー。次回は木管楽器であるサックス・プレイヤー小林香織に、アーティストから見たウッドコーンスピーカーについて話を聞く。
・ビクター「ウッドコーンスピーカー」特集 - livedoor
・サウンドインスタジオ
――山内さんが、ウッドコーンスピーカーと出会ったきっかけは何ですか?
山内“Dr.”隆義(以降、山内):スタジオのスモールスピーカーに「AURATONE」という業界のスタンダードなものがあるんですけど、もう何十年と使われていて、「最近の音楽には合わないな、何か無いかな?」ってずっと探している時に、ウッドコーンに出会ったんですよ。家電の量販店をなんとなく歩いていたら、すごくリアルでいい音が聴こえてきて、「何だろうな?」と思って見に行ったら、ウッドコーンがあって。仕事で使えるんじゃないかと思って買ったのが、きっかけなんですよ。――レコーディング作業において、ウッドコーンスピーカーが活躍するのはどんな場面ですか?
山内:僕の場合は、ミックスダウンという、バラバラに録った色々な音を2chのメディアにまとめあげる作業の時、バランスを確認するのに大活躍ですね。――使用されてみて、それ以前のスピーカーと違いを感じるのはどんな所ですか?
山内:レンジがすごく広いのと、バランスも正確なのが僕らにとってはすごく使いやすいですね。今まで使っていたシングルコーンのスピーカーだと、バランスをチェックすることはできたんですけど、音色のチェックまではちょっと難しかったんですね。ところが、ウッドコーンはすごくレンジが広いので、イコライザーの調整が出来たり、そういう所まで踏み込んでいけるので、すごく使いやすい。――口径が小さいと低音が物足りないと言われることもありますが、そういう部分では如何ですか?
山内:むしろ、なんでこんなにチビなのに?みたいな印象でしたね(笑)。――コンパクトなサイズを感じさせないような迫力があるわけですね。
山内:そうですね。初めは、コンポの本体で色々イジってるのかな?って思ったんですよ。でも、実際にスピーカーだけを外して使ってみたら、全然そんなことがなくて。一番自然なバランスで出てるので、正直ビックリしたんですよ。――ウッドコーンを使われてから、どれくらい経ちますか?
山内:もう3年ぐらい経つんじゃないかな?――その間、ウッドコーンを超えるスピーカーには出会ってないということですね。
山内:このサイズでちゃんとしたバランスのものって、なかなか無いんですよね。難しい話になっちゃうんですけど、僕達ってモニターで使う時、音のスピードにすごくこだわるんですね。ユニットの素材の問題だと思うんだけど、スピードの遅いスピーカーって実はいっぱいあるんですね。音のスピードの速い物を探していくと本当に無くて。ウッドコーンは、それが見事に解決されていてビックリしたんですよね。ものすごくレスポンスがいいですし、木の物的特性があるんでしょうね。――ウッドコーンに特に向いていると感じるジャンルはありますか?
山内:いや、すごくオールマイティだと思います(笑)。だから、すごく使い勝手がありますね。敢えて言えば、アコースティックな作品はすばらしくリアルに再生してくれます。――山内さんのようにプロのスタジオエンジニアの方だけでなく、一般のリスナーが感じられる、ウッドコーンと他のスピーカーとの違いはどんな所だと思いますか?
山内:もう聴いたらすぐに分かると思うんですけど、やっぱり歌の輪郭とかがハッキリ出るとか、シンバルのディテールとかがちゃんと出るということが一番違いで分かるんじゃないかな。シャカシャカ高音が出てるスピーカーっていっぱいあるんですけど、そういうのって全然バランスが取れていなかったりするので。――見た目のデザイン面での印象は如何ですか?
山内:すごく気に入っていますよ(笑)。家にもすごく合うし。――スタジオ以外に、ご家庭でも使用されているんですね。
山内:もちろん、使ってます!――完成品だけでなく、ハンドメイドキットも発売されていますが、山内さんはご自身で組み立てられたんですか?
山内:もう3個作りました。一台はいつも車に積んでいて、外部のスタジオに持って歩いています。僕らはすごく酷使するので、3つサイクルで代わりばんこに使ってあげないと、あまりにも可哀想なので(笑)。スピーカーは楽器でありたい。その発想から生まれたウッドコーンスピーカー。次回は木管楽器であるサックス・プレイヤー小林香織に、アーティストから見たウッドコーンスピーカーについて話を聞く。
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