思考を形にする幸せ☆企画開発エンジニアを狙え

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仕様書どおりに作るのではなく、企画から参加した開発がしたい。こう思うエンジニアは少なくないだろう。しかし、企画の仕事って何だろうか。エンジニアにできるのだろうか。受託や請け負いの仕事ではない、自社の製品やサービスを生み出す「企画開発エンジニア」の実際をリポートする。

■CASE1 モバイルサービス 目指すのはすべての流れを知るゼネラリスト
「企画とは何か」を実例で紹介しよう。まずは携帯電話のコンテンツサービスだ。大きな転換点となったNTTドコモのiモード発表から、わずか4カ月後に画期的なサービスを提供したエンジニアに語ってもらう。

 1999年2月にスタートしたNTTドコモのiモード。当初はテキスト情報が主だった携帯コンテンツサービスに、初めて「エンタメ画像」を持ち込んだのが「いつでもキャラっぱ!」だ。「ハローキティ」など4種類のキャラを待ち受け画面に使うというアイデアは大ヒットし、翌2000年3月にはユーザー数 100万人を突破した。この仕掛け人は、研究所からバンダイ本社に戻った黒木氏と先輩社員の2人だった。
「当時はショートメッセンジャーができたくらいの時代で、キャラクターの使用許諾のためにライセンサーに行っても、内容をなかなか理解していただけませんでした。iモードを知らない方もいましたから」
 この先駆性は着メロ、3D化、Java対応アプリと携帯電話の進化と同期して広がっていく。そして2003年2月には、au端末向けのアプリ「TeamFactory」をKDDIと共同開発する。2005年にはアバター機能が加わった、グループ内コミュニケーションツールだ(現在のサービス名は「au one アバター」)。

「大きく分けて弊社には、自社のキャラクターを使うB to C型と、携帯事業者さんなどと協業で行うB to B to C型のサービスがあって、現在、私は後者を担当しています。ですので、企画のきっかけは携帯事業者さんなどの場合も私たちの場合もありますが、まず行うのはマーケティングで、何にいちばん重きを置くか、ターゲットと提供価値を明確にしてから詳細な企画に入ります」
 サービスの内容が決まると仕様を策定し、詳細設計から開発工程に移る。同社ではコーディングは外部に委託するが、サービスやシステムの仕様、ネットワークの構築・管理やサーバーのハウジングなどは自社で行う。全工程を通して最も大切なのは、「誰に対してどんな価値を提供するか」がぶれないことだと黒木氏は語る。

■CASE2 ERPパッケージ 新しいアイデアを生む「これでいいのか」
国内大手企業の人事・給与ERPパッケージソフトでシェアトップを誇る「COMPANY」。新ラインアップの会計シリーズ開発に当初から参加したのは、入社2年目の転職エンジニアだった。入社4年目の現在は、ゼネラルマネジャーとして約30人のチームを束ね、プロダクトの全責任を担っている。

 大学で応用化学を学んで大手繊維会社に入社。化学系エンジニアの王道のような経歴だが、入社後の配属はシステム開発部門。最初はパソコン操作もおぼつかなかったが、やってみたら面白い。それが高じて「きちんと勉強したい」とシステム開発会社に転職。当初の目的を果たすが、ここで塩畑氏は気づいてしまう。
「やりたいのは請負の仕事ではなく、企画段階から担う開発だったんです。前職は、はっきり言うと物足りなかった(笑)」
 2003年にワークスアプリケーションズに入社した塩畑氏は、当初はパッケージのサブシステム開発に従事。翌年、同社が第二の柱として開発を進めていた会計シリーズ「COMPANY Financial Management」の開発陣に抜擢される。その後、新製品「COMPANY Business Management」の立ち上げに参加、製品の企画開発を担当する。

 「COMPANY」シリーズの最大の特長は、個別ユーザーごとのカスタマイズをせず、無償バージョンアップで機能を永久的に追加していくこと。つまり、顧客が必要とする機能を網羅して実装し、稼動後も業務トレンドや法改正、新たな要望を新機能として追加するのだ。
 「こんな機能があったら、お客様の業務効率が上がるのではないか、こういうやり方のほうが求められているのではないか……と、最初に理想の姿を考えます」
 例えば、業務管理システムでは自動仕訳機能は一般的だが、入力したデータが自動的に帳簿や決算書類にまで反映されると、より便利になる……といった具合だ。塩畑氏は「最初は『単なる理想』で構わない」と言う。
「それをカタログとわれわれが呼ぶ書面にまとめて、皆で議論し、現実レベルに落とし込んでいきます」と塩畑氏。この企画にかける期間は、製品出荷に至るまでの全工程のうち、約3割を占めるという。……≫続きはこちら


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