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2年間食料品の消費税1%の波紋

今月(8月)5日、政府は来年4月から2年間食料品の消費税を1%に減税する方針を閣議決定しました。史上初の消費税減税の影響は?消費者や小売店、外食産業など、各業界の受け止めは三者三様です。

【写真を見る】食料品「消費税1%」の波紋…歓迎する消費者、一方でスーパー、町中華、農家など、各業界の受け止めは三者三様「救世主」か「混乱の火種」か…現場の声は

(消費者)
「助かります。だんだん食品も値上がりしているし、少しは潤うと思います」
「うれしいです。お菓子の値段が上がってきているのが、すごくじわじわ削られている感じがしている。でも1パーセントに下がるならうれしい」

近年の物価高にあえぐ消費者からは、おおむね歓迎の声が聞かれました。

(高市早苗 総理)
「9月には(税制改正)大綱を決定した上で、臨時国会に法律案を提出して、早期成立を目指したいと考えております」

今月(8月)5日、政府は来年4月から2年間食料品の消費税を1%に減税する方針を閣議決定しました。高市総理の悲願だった史上初の消費税減税。

岡山商科大学でマーケティングや流通などを研究する三好教授は、限定的ではあるものの消費活動にも影響は見込めるのではと話します。

(岡山商科大学経営学部 三好宏 教授)
「従来払っていた金額がありますから、その少なくなった分を消費に回す可能性というのは十分にあると思います。ただし物価上昇が税金とは関係なくいろんな分野で見られますから、その辺を消費者がどう感じるか」

業界ではそれぞれ苦悩が

一方で、消費を支える各業界からは、それぞれ違った苦悩が聞かれます。

(グランドマート 岡本和恵 取締役)
「一番大きいのはレジのシステム変更。やはり決算時の税務処理の変更などもすべてありますのでそこは大変大きな問題かなと思います」

岡山市北区のスーパーグランドマートです。

税率の改定で消費の伸びは期待できるとした一方、来年4月に向けては不安のほうが大きいと話します。レジのシステム変更にかかる費用はもちろん、頭を悩ませるのが、商品の値札の入れ替えです。2021年から義務付けられている税込みの価格、つまり総額表示の制度がネックになっているといいます。

(グランドマート 岡本和恵 取締役)
「大体当社では1万~1万5000品目を扱っている。一夜にして(値札を)すべて変えるというのは不可能です。やはりもともとの本体価格で表示させていただいて、『レシートで(総額を)確認してください』というふうにしないと不可能なんじゃないかなと」

また、2年後に再び8パーセントに戻す際に同じ煩雑な作業が求められるのも悩みの種だということです。そして、今回の減税で最も影響を受けると考えられているのが・・・

街の「中華料理店」の反応

外食産業です。今回の消費税改定では、スーパーなどで買う食材や弁当などは減税の対象となるものの、店舗での飲食は10%の課税のままになるとされています。同じ食べ物でも、税率の差は9%。消費者が外食に対して「割高感」を持つのではと言われているのです。

(餃子屋台 齋藤誠 店長)
「『お客様の足が遠のいてしまうのではないか』これがやはり一番の心配事です」

唯一ともいえるメリットは、仕入れる食材の消費税も1パーセントになること。ただ、その影響も不透明だといいます。

(餃子屋台 齋藤誠 店長)
「下がるのは予測されます。ただ食材費が上がっていますので、食材費の上がり幅を吸収できるほど下がるかがはなはだ疑問です」来年4月に待ち受ける苦境にこちらの店では・・・

(餃子屋台 齋藤誠 店長)
「お持ち帰り商品のラインナップの一部です」

税率が1パーセントになるとされているテイクアウト商品を充実。しかし、減税の期間が2年限定だけに今後の方針を決めかねているといいます。

(餃子屋台 齋藤誠 店長)
「お持ち帰りにかじ取りをして充実させる手もあるとは思うんですが、また2年たってお持ち帰りが8パーセントに戻ってしまうとニーズが減る可能性もあるのでなかなかかじ取りしにくい部分はあります」

農家は「経営圧迫」のおそれ

さらに、減税の余波は意外な業種にも・・・

(国定農産 国定俊彦 代表取締役)
「こちらは農薬や肥料を撒くドローンです。このあたりの資材も消費税は10%で購入しています」

岡山県南部を中心にコメなどを育てている国定農産です。消費税の減税は農家にとってもデメリットが大きいと話します。

(国定農産 国定俊彦 代表取締役)
「買う資材に関しては10%の消費税がかかって、機械とか農薬・肥料を買うんですけど、できたものを販売するときには1パーセントの消費税。差額の9%が自己負担という形になります」

比較的小規模な、売り上げ1000万円以下の免税事業者は、消費税の納付が免除されています。農作物を販売したとき、消費税はそのまま収益となるため、食料品が消費減税されると単純に収益が減ることに。肥料など農産物を育てる資材は10パーセントの税率で仕入れなければいけないため、農作物を1パーセントの税率で売ると差額の9%分は自己負担となるのです。

一方、売り上げが1000万円以上の課税事業者は、その差額分は還付されるものの、それまでの資金繰りが経営を圧迫すると国定さんは話します。

(国定農産 国定俊彦 代表取締役)
「高いまま買って、安いまま売って終わりです。不安の声しか聞かないです」

地方自治体にも影響が

さらに、財政難が懸念されるのは民間だけではありません。

(伊原木隆太 岡山県知事)
「国の政策でやるわけですから、もしするのであればきちんと責任を持って補填していただきたい」

岡山県の試算によりますと、地方消費税と地方交付税は年間で209億円の税収減、香川県の試算では、地方消費税のみで37億円の税収減になる見込みで、岡山県の伊原木知事は国に代替の財源確保を求めたいとしたうえで今後の動向に不安をにじませました。

(伊原木隆太 岡山県知事)
「財源が何になるのか、少なくとも私はよくわからないということでありますので、国の議論を注視していきたいと思っています。心配しています」

さまざまな分野への影響は必至の税制改革。

岡山商科大学の三好教授は、経済の好循環を生み出すためにも、多角的な政策を打ち出す必要があると話します。

(岡山商科大学経営学部 三好宏 教授)
「消費減税だけで終わりじゃなくて、2の矢3の矢みたいなところで給付付き型の消費減税とかも言われていますから、そうしたものがどう影響するか。この物価高対策に国としてどう対応するのかが求められているのかなと思います」

長引く物価高の救世主か、はたまた経済の混乱を招く存在となるのか。高市総理は来月には税制改正大綱を決定した上で、臨時国会に法案を提出したいとしています。