何者かによる玄関ドアを叩く嫌がらせ…娘のおもちゃから出る音をきっかけに始まったご近所トラブル。その恐怖を描いたコミックエッセイ【書評】

【漫画】本編を読む
知らない土地に引っ越す場合に気をつけたいのはご近所との関係だろう。これまで当たり前に思っていたことがトラブルを招く可能性があるからだ。『階下の住人がドアをドンドン叩いてくる件 〜嫌がらせの連鎖〜』(ねこじまいもみ/KADOKAWA)は、生活音をきっかけに起こったご近所トラブルと、そこから見えてくる人間の怖さを描いたコミックエッセイである。
主人公の上原芽衣は、夫・大地の地元に引っ越してきた女性だ。芽衣にとっての新天地での暮らしに少し不安を抱えながら階下に住む坂下家へ挨拶に行くと、物腰の柔らかな男性・樹が迎えてくれる。さらに後日、樹と妊娠中の彼の妻・聖奈に出会い、幼い娘を持つ芽衣は、年齢も境遇も近い聖奈と仲良くなれそうと胸を弾ませる。優しそうなご近所さんに不安がなくなり安堵する芽衣だったが、この出会いが平穏な日常を少しずつ狂わせていくのである。
娘がいつものように軽快な音を立てて手押し車で遊んでいたある日、突然玄関のドアを凄まじい勢いで叩く音が響き渡る。芽衣が恐る恐る外を確認しても、不気味なことに、そこには誰もいない。そんな正体不明の嫌がらせは一度だけではなかったため、普段の生活音を立てることにすら恐怖を抱き、いつ響くか分からないドアを叩く音によって、芽衣の精神は次第に追い詰められていく。
最初はただの騒音トラブルと思えた出来事が、少しずつ別の顔を見せ始める展開にゾクゾクするだろう。親しくなったと思った相手をどこまで信じていいのか。階下の夫婦が持つ歪みが絡み合い、ご近所付き合いは一気に恐怖へと変わっていく。このトラブルの果てに何が待っているのか。ぜひその目で確かめていただきたい。
文=ゆくり
