記事のポイントエバーエデンが14〜17歳のクリエイター3名に株式を付与するプログラムを始動した。同社は2024年に売上高1億ドルを突破し、セフォラ全米640店舗への展開を進める。アルファ世代はブランドの共同クリエイターとして関与したい意向が強まっている。
エバーエデン(Evereden)は、クリエイターパートナーに株式を付与した初めてのブランドではない。Glossy Popは2022年に、化粧品ブランド、ヌードスティックス(Nudestix)の「CSOP(セレブリティ・ストックオプション・プラン)」について報道している。しかし、エバーエデンが新たに立ち上げた株式付与プログラム「ジェネレーションE」に参加する3人のクリエイターはそれぞれ14歳、15歳、17歳であり、定評のあるビューティーブランドから株式を受け取る最年少クリエイターかもしれない。エバーエデンは2018年の創業時、ベビー用品に特化していた。しかしその後、顧客の声に耳を傾けることで、子どもやティーン向けのスキンケア市場を「勝ち取った」と、創業者兼CEOのキンバリー・ホー氏は語る。エバーエデンは、10月にセフォラ(Sephora)でオンライン販売を開始し、現在全米640店舗のセフォラへ展開している。この小売展開と並行し、同ブランドは2月26日に「ジェネレーションE」キャンペーンを発表した。出演するアルファ世代のクリエイターは、エンブレイ・コートリン(15歳)、カイリー・アサ(17歳)、マジソン・レイ(14歳)の3名だ。コートリンのフォロワー数はインスタグラムで120万人、TikTokで560万人。アサはインスタグラムで9万7000人、TikTokで88万3000人。レイはインスタグラムで18万7000人、TikTokで6万3000人のフォロワーを持つ。

ビューティー業界で広がる「クリエイターの株式参加」

セレブリティやクリエイターがブランドの株式を保有することは珍しくない。インフルエンサーのアリックス・アールは、2025年5月にポッピ(Poppi)がペプシコ(PepsiCo)に約20億ドル(約3000億円)で買収される前に、同ブランドの株式を付与されていた。トピカルズ(Topicals)はハンナ・ブロンフマン、エンジェル・リース、ボゾマ・セント・ジョン氏を投資家に迎えており、シンバイオティカ(Cymbiotika)の株主にはケンドール・ジェンナー、ヘイリー・ビーバー、ザック・エフロンら著名人の名前が並ぶ。「クリエイターエコノミーが成熟するにつれ、クリエイターとのパートナーシップモデルも進化してきた。我々は、ブランドを代表する人物に、距離のある従来型のセレブリティの顔は求めていなかった。ほかのブランドが行っているような、単なる取引的な有料インフルエンサーとパートナーシップを続けるつもりがなかった。アルファ世代がすでに信頼している、リアルな声と深く連携したかった」とホー氏は語る。

顧客の声から生まれたブランド戦略

「11カ国でアルファ世代向け市場のマーケットリーダーになれたのは、我々が耳を傾けてきたからだ。2025年、クリーンフレグランスを発売したところ、たちまちベストセラーのひとつになった。それも、顧客の声を聞いていたからだ。フレグランスは2024年に顧客からもっともリクエストされた商品だった。ジェネレーションEも、耳を傾けることの延長線上にある」とホー氏は語る。同ブランドは2024年に売上高1億ドル(約150億円)を突破した。Amazon上では「キッズフェイスクリーム」「キッズ洗顔料」などのキーワード検索において、市場シェアの60%以上を占めているとホー氏は述べる。セフォラ・カナダでは、カテゴリー全体で3番目に急成長しているブランドだ。ホー氏は、セフォラがブランドのストーリーにとってより重要な存在になっていくなかで、コートリン、アサ、レイの3名がブランドの次なる章を形作っていくことを構想している。そして、ブランドのオーナーシップを与えることで、ブランドの将来に対する彼女たちの意見に投資している。「彼女たちは単にブランドの顔として、あるいは投稿をしてくれるだけではない。それだけなら費用を払えば済む話で、株式を与える必要はない」とホー氏は語る。「アルファ世代は、ブランドの選択を自己表現の延長として捉えており、それが彼、彼女たちにとって非常に重要だ」とホー氏は述べ、7000人以上のアルファ世代の顧客とその保護者を対象とした2025年の社内調査に言及した。「だからこそ、もっともパワフルで興味深く、多様なアルファ世代の声の持ち主だと考える3人のクリエイターを直接ブランドに招き入れ、次のステップを共に築くことを委ねることが、アルファ世代とそのコミュニティに本当の意味での発言権を与える方法だ」と語った。

アルファ世代が求める「参加型」マーケティング

小売コンサルティングのグローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のマネージングディレクター、ニール・サンダース氏も、このような戦略は若い消費者の共感を得られる可能性が高いと同意する。「特にアルファ世代をはじめとする若い消費者が反応しやすい内容と非常に合致している。マーケティングの観点では、Z世代やアルファ世代を含む多くの若い消費者は、自分たちと同じような見た目、話し方をする人物、要するに自分たちそのものであるような存在からマーケティングされることを望んでいる。つまり本物であることを求めているのだ」と述べた。さらにサンダース氏は、Z世代とアルファ世代は、自分たちが支持するブランドにおいて参加者、そしてまさに共同クリエイターとして関与したいと考えていることが多いと指摘する。「この世代は、ブランドの方向性を決定づける上で、その舵取りを手伝いたい。開発する製品にしても、ブランドに影響を与えたい、実際にブランドのなかで発言権を持ちたいと考えているのだ」とサンダース氏は語る。ティーンエージャーが3人いる事実について、ホー氏はアルファ世代が「ひとつの『完璧な顔』には共感しない」ことを示していると語る。むしろこの世代はリアルな人物に共感するのだ。これも同ブランド社内の消費者調査で明らかになった点だ。ホー氏の言葉を借りれば、「エンブレイは深い共感性と純粋な影響力をもたらし、マジソンはエネルギーと活気をもたらす。そしてカイリーは、脱毛症(アロペシア)の経験を通じて、力強くリアルなスキンケアへの歩みを体現している」。マジソンはすでに2年間同ブランドと仕事をしてきた一方、ほかの2名はエバーエデンファミリーへの新加入となる。

製品開発から文化形成まで担う新しい役割

株式(金額は非公開)に加え、3人のティーンエージャーはブランドとのコンテンツ制作に対しても報酬を受け取る予定だ。ブランドは契約の詳細について開示を控えたが、交渉は主に彼女たちのエージェントを通じて行われたと明かした。「おそらく各々のチームが保護者や親と話し合ったと思う」とホー氏は語る。「基本的に、私たちは会社の株式をもらうこと、そして長期的な契約だと伝えられた。このブランドと会社の長期的な成功に、私たちはとても強くコミットしている」とコートリン氏はGlossyに語った。また、オファーを受けた当初、株式とは何かを知らなかったと打ち明けた。2月25日、コートリン氏はジェイ・Zの「パブリック・サービス・アナウンスメント(Public Service Announcement)」の曲の有名な「Allow me to reintroduce myself(自己紹介させてほしい)」という歌詞に合わせたインスタグラムリール動画を投稿し、自身を「クリエイター」であり「ブランドオーナー」であると紹介した。
コンテンツ制作にとどまらず、3人のクリエイターは製品開発、ブランドの声、コミュニティ構築についても助言を行う。「彼女たちは製品、文化、コミュニティを形作る手助けをしてくれている。つまり、ブランドとしての在り方や内側からの感覚形成も共に作り上げている」とホー氏は語る。1月下旬、3人はブランドのニューヨーク本社を訪問し、コンテンツ撮影、チームとの顔合わせ、リップオイルのゼロからの制作など製品開発について学んだ。4月にはロサンゼルスのグローブ(The Grove)でコミュニティイベントに参加する予定だ。3人は共同で製品開発を行い、全員が開発中の製品についての意見を述べる予定だ。長期的な関与こそがティーンたちにとっての魅力であり、単発のスポンサーシップとは一線を画している。「ブランドと長期的なパートナーシップを結ぶのは初めてだが、エバーエデンとこういった形で一緒に取り組めることが本当に嬉しい。エバーエデンは長年の歴史があるので、このような仕事を任せてもらえることに大きな意味がある。ほかのティーンや子どもたちのスキンケアを助ける立場として信頼されていることが、私にとって本当に重要だ」とカイリー氏は語る。

アルファ世代クリエイターが語るブランド参加の意味

エバーエデンと2年以上仕事をしてきたマジソンは、既存の関係をさらに深めることを光栄に思うと語った。「エバーエデン自体も、一緒に仕事をする仲間も大好き。そして会社の株式をもらうことになる。アンジェラ(エバーエデンのチームメンバー)が株式とは何かを教えてくれたので、それが何を意味するのか理解できた。全体的に、エバーエデンと一緒にいるだけでとても心地よかった」と述べた。アサにとっても、このパートナーシップは個人的な意味を持つ。「私は脱毛症という自己免疫疾患を持っている。子どもの頃、スキンケアやビューティーの分野が自分をターゲットにしていると感じたことがなかった。自分のような人がどのブランドの顔にもいなかった。だから、自分が誰かにとってその存在になれるかもしれないことが、とても嬉しい。特に私たちと同じ年代の子どもたちは、特定の製品を見たときに自分自身を重ねられる存在を求めているので、そうすることで本当に身近に感じられるようになる」と語った。コートリンは、いわゆる「セフォラキッズ」現象に批判的な声があっても、子ども向けスキンケアにはしっかりとした存在意義があると語る。「多くのブランドが大人向けに作られているため、そんなブランドからは自分が見えていない思っていた。大人とティーン、子どもは同じスキンケアを使うべきではない。肌はそれぞれまったく違うから。でも、エバーエデンが真剣に肌について考えてくれて、私たちのような子どもやティーン向けに作られているのが嬉しい」と述べた。3人の合計フォロワー数はかなりの数に上るが、影響力に対しても成熟した視点を持っている。「アルファ世代にとって、影響力とはフォロワー数を持つだけではない。信頼関係も重要だ」とレイ氏は語る。「本物かそうでないかは見ればわかる。私にとって影響力とは、自分のコミュニティのために存在し続け、一貫性を持つことだと思う。エバーエデンのインクルーシブ(包括的)な考え方、つまり、年齢や疾患の有無などにかかわらず、すべての人が排除されずに参加できる環境が大好きだ」と述べた。[原文:Glossy Pop Newsletter: Why a beauty brand is giving Gen Alpha equity]Sara Spruch-Feiner(翻訳、編集:藏西隆介)