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全身でブーストを主張する 5 ターボ

この小さなハッチバックほど、全身でブーストを主張するモデルは多くない。ラリー・ホモロゲーションを取得し、少しアンバランスなところが、ひたすらカッコいい。

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ルノーは、ターボ技術の発展へ大きく貢献した1社。量産車への採用は世界初でなくても、モータースポーツで威力を知らしめた。サーキットではF1マシンで、グラベルではグループBのモンスターで。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

5 ターボの発表は、1978年のパリ。1.4L直列4気筒エンジンをミドシップするため、シャシーはリアセクションが作り変えられ、後席と荷室は潰されていた。リアサスペンションは、新設計のダブルウイッシュボーンだった。

世界ラリー選手権のトップカテゴリーで戦果を残すのに、ターボの搭載は当然の選択といえた。ルノー・スポールは、3.0L V6や2.0L 直4ユニットも検討したが、5 ゴルディーニに載る1.4Lエンジンは軽く、ターボの過給で2.0Lクラスへ適合できた。

空気抵抗が重視されない軽量ボディ

軽量化を重んじたルノーは、ドアとルーフ、テールゲートにアルミを採用。派手に膨らんだフェンダーとバンパー、ボンネットはFRPで成形された。ウインドウには、薄肉化されたガラスがはめられた。

最高速より悪路での速さを求め、ボディの空力は重視されていない。Cd値は0.45と、通常の5より大きいかわりに、グリップ力とエンジンの冷却能力は引き上げられている。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ギャレット社製のターボにも、冷気は不足なく届けられた。インタークーラーも採用され、公道仕様の最高出力は162ps。グループB仕様では、350psに達したという。

近未来感に溢れ魅力的でしかないデザイン

今回の車両は、リチャード・ヘッド氏が10年以上大切に乗る、オリジナルへ近い1台。ある日のグッドウッド・サーキットで、一目惚れしたらしい。「欲しい気持ちを抑えきれず、これだという1台をイタリアで見つけて、自宅まで運転して連れ帰りました」

「初期の5 ターボで、走行距離は6万km。多くがスクラップになったので、珍しいと思います」。と説明するヘッドは、沢山の人が気に入ってくれると話すが、疑問はない。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ロー&ワイドなプロポーションが個性的。小柄なハッチバックなのに、威圧感は小さくない。インテリアも近未来感に溢れていて、魅力的でしかない。

デザインを手掛けたのは、ベルトーネ社のマルチェロ・ガンディーニ氏。鮮やかなカラーリングと相まって、モダンアートのよう。ブラックの盤面にオレンジの文字が添えられたメーターが並ぶダッシュボードも、5 ターボ2より大胆不敵だ。

アクセルオフで刺激的なオーバーラン

ステアリングホイールは、左右非対称の2スポーク。ボルスターがセクシーなシートは、座り心地が良い。オプションだったデビル・マフラーが組まれているものの、エンジンは意外に扱いやすい。しかし、タダモノではない事がすぐに分かる。

ブーストは2000rpmから上昇し始め、3200rpmで0.86barに達する。6500rpmのレッドラインまで、積極的に速度を高める。ディスクブレーキは、やや効きが弱い。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1速から2速へのシフトアップは、複雑なリンクが影響し、滑らかとはいえない。ステアリングは重く、トレッドの広さを感じさせる。だが活発に走らせるほど、変速のスムーズさが増す。ドライなサウンドが、キャビンに充満する。

アクセルペダルを踏み込めば、唸るようにクレッシェンド。アクセルオフでオーバーラン。オーナーが「怒った蜂の群れ」と表現する、刺激的な破裂音が耳に届く。

確かな意志で操るほど応えてくれる

エンジンだけでなく、シャシーも格別。回頭性は想像以上に鋭く、ボディロールは最小限。前が195、後ろが220という幅の、ミシュランTRXタイヤがアスファルトをしっかり捉え、バランスはかなりイイ。ひたすらグリップし、突進していく。

運転姿勢は起き気味だが、まぶたを閉じれば、クラシックなミドシップ・フェラーリやロータス・エスプリと勘違いするかも。目を開けば、全方向に優れた視界で我に返る。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ラリー・ドライバー、ジャン・ラニョッティ氏のように、ステアリングとシフトレバー、ペダルを、確かな意志で操るほど応えてくれる。ホイールベースは短く、前後の重量配分は40:60だから、雨の日には丁寧な扱いが必要だろう。

ホモロゲーション取得のため、5 ターボは400台の提供が目指された。しかし人気に押され、軽量化された5 ターボ2と合わせて、約5000台が作られている。1度目にすれば、忘れられない。運転すれば、強く惹き込まれる。筆者も、すっかりその1人だ。

協力:リチャード・ヘッド氏、ジョン・ロー・エンジニアリング社

ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)のスペック

欧州価格:11万5000フラン(新車時)/15万ポンド(約3150万円)以下(現在)
生産数:1820台
全長:3660mm
全幅:1750mm
全高:1320mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:6.0秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:970kg
パワートレイン:直列4気筒1397cc ターボチャージャー OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:162ps/6000rpm
最大トルク:21.3kg-m/3250rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動

この続きは、2月22日公開予定のターボ! ブースト!(3)にて。


ルノー 5 ターボ(1980〜1983年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)