3人の元大リーガーが語る、WBCのキーマンとは? “時価最高の選手”をそろえたアメリカに勝つ秘策
「侍ジャパン」の連覇が懸かるワールドベースボールクラシック(WBC)が、来月5日に開幕する。ドジャースの大谷翔平や山本由伸などメンバーも出そろい、チームは満を持して臨むことに。最大のライバル米国をはじめ、難敵だらけの今大会で勝機を見いだすには……。
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侍ジャパンは1月26日、WBCの追加メンバー10人を発表した。
「昨年末に発表された大谷やエンゼルスの菊池雄星、パドレスの松井裕樹、そして先月16日に追加されたFAの菅野智之など、これまで19人が決まっていました。加えて今回、山本やブルージェイズの岡本和真、ホワイトソックスの村上宗隆らが選出。さらに2月4日、最後の1枠に吉田正尚が選ばれ、全30人のメンバ―ガ決定した」(スポーツ紙デスク)
大谷に続いて順当に選ばれた山本は“身が引き締まる思い”との談話を発表。一方、昨季は抑えに回って世界一に貢献した佐々木朗希は「球団の判断」で出場を辞退した。そんな折、気になる“動き”が……。

“特別シフト”
「現地時間31日、ファン感謝イベントが催されたドジャースタジアムで、ロバーツ監督が大谷について“WBCでは投げない。これは本人の決断だ”と明かしたのです。もともと監督は大谷のWBC出場に消極的で、年末にメジャー幹部が集まった『ウインターミーティング』の場でも“投げてほしくない”と口にしていました」(前出のデスク)
もっとも、その31日には大谷も報道陣に対応し、自主トレ期間中にブルペンに3〜4回入ったと明かしながら“(WBCで)投げるかはちょっとまだ分からない”と明言を避けていた。
「最終的には“投手封印”となる見通しですが、大谷は侍ジャパンや日本のファン、そして対戦相手への影響を踏まえ、言葉を濁したのだとみられています」(同)
ドジャースが大谷のコンディションに神経を尖らせているのは、今回の“特別シフト”からも明らかだ。
「14日から始まる侍ジャパンの宮崎合宿にドジャースのスタッフが帯同します。同じ時期にアリゾナでキャンプを張る大谷の状況を逐一、日本側に伝えることになっていますが、ついでに将来の有望株の“視察”も兼ねているわけです」(同)
抜け目のなさは、さすが世界一連覇の球団。ちなみに昨年4月に娘を出産した真美子夫人は、
「東京で開幕戦を迎えた昨春は出産間近で帰国がかないませんでしたが、暮れにはハワイで家族とバカンスを過ごす姿が目撃されている。それもあって結婚後初めて“里帰り”するのではとの観測も出ていますが、騒動となることが予想され、今回は見送る方向だといいます」(同)
時価最高の選手たち
肝心の対戦相手は、1次ラウンド(東京)で同組の豪州、韓国、チェコそして台湾。2位までが米国でのトーナメント戦に進む。MLBアナリストの友成那智氏は、
「マイアミでの準々決勝では、ベネズエラかドミニカと戦うことになるでしょう」
そう前置きしながら、
「ベネズエラには大谷が苦手とするスアレス、ルサルド(ともに昨季フィリーズ)という二人の左腕がいます。二人とも横手投げで、スライダーなど、左打者からすれば背中をよぎるように曲がります」
ドミニカもまた、
「同じくフィリーズ所属で、昨季は12打数1安打と大谷を手玉に取った左腕のサンチェスがいる。彼らは160キロ前後の速球で容赦なくインコースを攻めてくるので、デッドボールのリスクも高まります」(同)
準決勝以降ではプエルトリコ、そして米国と世界最高峰の相手が待ち受ける。プエルトリコは現在、保険問題で出場が危ぶまれているのだが、米国はといえば、
「前回の雪辱を果たそうと、今回は本気で勝ちにきています。まず、共にサイ・ヤング賞投手のスキーンズとスクーバル。捕手はメジャー随一のローリー、内野にはゴールドグラブ賞2回のボビー・ウィットJr.。そして主将はメジャーの主砲・ジャッジ。まさに“時価最高の選手たち”をそろえた感があります」(同)
「先行逃げ切り」で
そんなドリームチームを相手に日本はいかに戦うべきか。かつてブレーブスでプレーした川上憲伸氏は、
「優勝の可能性は十分にあります」
としながら、こう話す。
「山本投手を軸に菊池投手、そしてリリーフもできるオールマイティーな伊藤大海投手が先発の柱になるでしょう。大谷選手以外に打線の核となるのは、いずれもWBC経験者の鈴木、岡本、村上の3選手。パワー重視か機動力・守備固め重視か、相手次第でスタメンを組み替える必要がありますが、とりわけ右の鈴木選手は、大谷選手と前後に組むことで脅威となるでしょう」
言うまでもなくトーナメント戦は負けたら終わりで、
「たった一つの四球が試合の流れを左右します。そこでは“ジャブを打てるバッター”、つまり選球眼の良い打者の出番です。相手の球数を増やして制球の乱れを誘う、それこそ現役時代の井端弘和監督のような、しぶとい打撃が物を言います」
“頂上対決”の米国戦では、
「山本投手が先発し、“1点集中”のロースコアで先行逃げ切りを目指せば、勝機は見えてきます」(同)
というのだ。2006年の第1回大会で「神の右手」と称される本塁生還を果たし、優勝を引き寄せた元ブルージェイズの川崎宗則氏は、
「“大谷投手”の穴を埋められるのは中日の高橋宏斗投手だと思います。私は現在、臨時コーチ兼選手で中日のキャンプに参加していますが、持ち味である150キロ台のストレートが、ブルペンでは速過ぎて見えませんでした。彼と対戦したことがないメジャー強打者らは皆、驚くことでしょう」
さらに続けて、
「準々決勝は1次ラウンドから十分な間隔もなく、時差など体調管理が大変ですが、今回はダルビッシュ有投手がアドバイザーで宮崎合宿に同行する。長距離移動に関しても対策を伝授してくれるはずです。また今大会から導入されるピッチクロック(投球間の時間制限)についても、不慣れな国内組へのアドバイスが期待できます」
強豪攻略のカギは
マウンドに登らずとも“精神的支柱”の存在は大きいというのだ。さらにホワイトソックスで世界一に貢献した井口資仁氏も、
「ベネズエラ、ドミニカ、米国とも、戦力は前回をはるかに上回りますが、付け入るスキはあります。例えば準々決勝80球、それ以降は95球という球数制限ルール。苦手な投手を相手に、多投させて降板させる戦い方もあります」
前出の川上氏と同じく、しぶとく球数を稼がせるのが有効だといい、
「井端監督は準々決勝以降、試合の前半は力で点を取りにいき、難しければ小技で得点するシフトに切り替えると思います。その際は俊足の周東佑京選手をどう起用するかが勝敗を左右するでしょうし、牧原大成、源田壮亮両選手も小技が巧み。スタメンでもいける近藤健介選手が終盤の切り札となるのは心強いし、成長著しい森下翔太選手を代打にするのもいい。米国戦では、接戦になればなるほど相手投手は大谷選手との勝負を避けるでしょうから、終盤の打者が勝敗のカギを握ることになります」(同)
強打と小技のコンビネーションが肝要だというのだ。
「週刊新潮」2026年2月12日号 掲載
