――今回のシングル「春の風」は、映画「バッテリー」の主題歌にもなっていますね。

熊木:割と野球には関連があって、ソフトボール部だったんですよ。

――ひょっとして、体育会系な方ですか?

熊木:バレーボールもやっていたし、スポーツ好きですし、すごく体育会系ですね。ニューヨークに行った時に、松井秀喜さんのいるヤンキーススタジアムに野球を観に行ったり。

――正直、ちょっと意外です。

熊木:元々は、そういう人なんですよ(笑)。

――撮影を見学されたそうですが、映画の製作現場はどんな雰囲気でしたか?

熊木:その時は曲を作るという感じではなくて、ただ好きで見に行ったので、ボケーッとしてたんですけど。こういう感じで映画は作られるんだぁ!と。日常を再現するというのがすごく不思議な感じでしたね。歌とは違う夢のある世界だと思いました。

――音楽の制作現場とは違いましたか?

熊木:違いますね。共同的でしょ。私はバンドじゃないので、1人が何かした場合、連帯的に「もう1回」みたいな感じになったり。とにかくスタッフの数がとても多いですからね。人が走っているピリピリ感とかもすごいですし。

――映画の原作は読まれていたんですか?

熊木:本がどこの本屋に行ってもあるという、「バッテリー」が盛り上がり始めていた時期だったと思うんですけど、友達に薦められて。読んでいた時にちょうど映画化されることになって、サウンドプロデューサーの吉俣良さんがサウンドトラックを担当するというのを聞いて。にわか「バッテリー」が私の周りでキタわけですよ。この話が自分にとってもすごく重要なことを訴えている様な気がして。

夢を自分で叶えるためにも、とにかく自分を押し通す、誰の力も借りない、誰の言うことも聞かない、という様な主人公がちょっとずつ変化して。「あ!誰かがいるから、俺の球を受け止めてくれる人がいるんだ」という。その変化って多分、私も通ってきた道で、今も渦中なのかもしれないですけど。何でも1人で出来るという風に思っていく人もいるだろうけど、周りに人がいっぱいいて。私が歌を歌うのにも、聴いてくれる人がいて初めて、私がちゃんと存在してるという。それが真の立ち姿なんじゃないかと、ものすごくモヤモヤとありまして。現場に行っちゃったばっかりに、結構思い入れも出てきて。それで書いたんですよね。で、聴いてもらったら「良いねえ!」という感じですね(笑)。