丼からはみ出る鰻に圧倒された! 犬山城の城下町グルメ厳選2軒
新年第1弾の「国宝五城と城下町グルメ」シリーズも今回で4城目になりました。残るのは犬山城と松江城ですが、まずは現存する天守の中で最古と言われる犬山城(愛知県犬山市)をご紹介します。五城のうちで、濃尾平野(愛知、岐阜、三重にまたがる平野)に存在する唯一のお城です。そのため、いわゆる戦国時代の三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)との関わりがとても多いお城でもあります。まさに年初からNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」が始まったばかり。そんな歴史にも少し触れつつ絶品の城下町グルメをご紹介します。

犬山城下町
『松野屋』の「でんがく定食」に大満足
では、城下町巡りから始めたいと思います。犬山城は、名鉄名古屋駅から名鉄名古屋本線で約30分、「犬山駅」か「犬山遊園」から歩いて行くことができます。お城の南側に広がる犬山城下町は、江戸時代のまま残る風情ある街並みで、多くの飲食店が軒を並べており、食べ歩きの名所としても有名です。
人気のご当地グルメは「味噌田楽」。店頭で買って食べながら歩く観光客も多いようですが、じっくり味わいたい方には『松野屋』(犬山市)をお勧めします。犬山城下町を抜け少し歩くと同店はあります。明治初期に創業し、八丁味噌をつけてから香ばしく焼く「犬山スタイル」を確立したお店とか。

松野屋
では、早速いただきましょう。まずは「でんがく肉」とビールを合わせました。名古屋メシの象徴でもある「甘辛い八丁味噌ベースのタレ」が田楽に絡みよく合います。鶏肉がしっかり主張し、ビールが止まりません。

松野屋(でんがく肉)
続いては、「でんがく定食です」。菜めし(なめし)が付いてきます。この界隈の定番のようで、大根の葉でしょうか、細かく刻んだ葉の食感が食欲をそそります。そして、田楽の基本である豆腐が8本も並びました。ビールで4本、菜めしで4本、半分ずついただきました(笑)。大満足の、でんがく定食でした。

松野屋(でんがく定食、菜めし小)
『蓬ぜん』の店主は老舗『あつた蓬莱軒』で修業
続いてのご当地グルメは「ひつまぶし」です。熱田神宮(名古屋市熱田区)近くの『あつた蓬莱軒』が発祥とされていますが、同店で22年間修業した方が2011(平成23)年に犬山市に開いたのが『蓬ぜん』です。『あつた蓬莱軒』は何度か行ったことがありますし、ひつまぶし大好き、鰻大好き人間としては期待が膨らみます。

蓬ぜん
まずいただいたのは、「鰻茶碗蒸し」。鰻が大きすぎて茶碗蒸しが見えません(笑)。茶碗蒸しも大好きなので、これはたまりません。

蓬ぜん(鰻茶碗蒸し)
続いて、「白焼き」が届きました。地焼き(じやき)でパリっと焼かれた鰻。心の中で「旨い…」と何度もつぶやくだけで、言葉が出ません。都内にある鰻の老舗店はほぼ訪問していますが、同店の白焼きには心から感動しました。

蓬ぜん(白焼き)
締めはもちろん「ひつまぶし」です。丼ぶりからはみ出るほどの鰻に圧倒されます。白焼き同様パリっとした触感で、甘すぎず辛すぎず丁度良い塩梅のタレで箸が止まりません。
ひつまぶしの作法にのっとり、「お茶漬け」なども食べましたが、やはり「そのまま」が一番鰻の美味しさを満喫できますね。お腹だけでなく、胸もいっぱいになる感動の鰻料理の数々。いやー、美味しかった。

鳳ぜん(ひつまぶし)
最上階から外に出て天守を一周できる、国宝五城で唯一のお城
続いて犬山城をご紹介します。木曽川沿いの小高い丘の上に立つお城で、白帝城(はくていじょう)とも呼ばれます。中国・長江流域の丘上(きゅうじょう)にあった白帝城を詠んだ李白(701〜762年)の詩に由来すると伝えられます。なんとも優雅な名前にうっとりします。

犬山城
1537(天文6)年頃に織田信長の叔父・信康が築城したといわれています。日本の城づくりは信長ら三英傑の時代に本格化したと言われているので、犬山城はやはり相当古いですね。その後、信長の跡目争いで秀吉陣営と織田信雄(信長の次男)・家康陣営が戦った「小牧・長久手の戦い」の舞台の一つにもなりました。ドラマ「豊臣兄弟!」にも登場するかも知れません。

犬山城
そんな戦国ファンにはたまらない犬山城。国宝五城の中で、最上階から外に出て天守を一周することがでる唯一のお城です。ところが、木曽川や濃尾平野の眺めはとても綺麗なのですが、高欄(こうらん、手すりのこと)が腰位までしかないので、高所恐怖症の筆者にとってはただただ「怖い」…。今回のシリーズでは、それぞれのお城を4文字で表現していますが、犬山城は「顔面蒼白」がぴったりでしょうか(関係者の皆さまごめんなさい)。壁に張り付くように歩き、なんとか一周することができました(笑)。

犬山城(天守最上階から木曽川を望む)
木曽川と共にある犬山城。その川沿いでは1992(平成4)年から毎週日曜に朝市が開かれています。約30店が地元の野菜や焼き菓子、パンなどを販売していますので、周辺に宿泊される方は、ぜひお立ち寄りください。

朝市の様子
怪物オグリキャップがデビューした笠松競馬場
最後に、犬山城周辺のエンタメスポットとして、午年(うまどし)におすすめの「笠松競馬場」(岐阜県笠松町)をご紹介します。犬山市から車で約30分の場所にある地方競馬場で、月に10日ほどレースが開催されます。

笠松競馬場(オグリキャップの銅像)
観客動員数やコース全長など規模は小さい競馬場ですが、笠松を一躍有名にしたサラブレッドがいます。第2次競馬ブーム(1980年代後半から1990年代前半)を牽引した「芦毛(あしげ)の怪物」オグリキャップです。1987(昭和62)年に笠松競馬場でデビューしたのち、JRA(日本中央競馬会)に移籍し、G1を3勝するなど大活躍。ところが、1990(平成2)年秋は苦戦が続き、「オグリは終わった」と囁かれました。
引退レースに選んだ12月の有馬記念(G1)は4番人気と低評価。誰もがオグリキャップの苦戦を予想していました。その下馬評をくつがえし、最後の直線でメジロライアンを差し切って、ラストランを有終の美を飾ったのです。史上最多、17万7779人が詰めかけた中山競馬場は揺れに揺れ、ウイニングランは17万人の「オグリ」コールに包まれました。日本競馬の歴史上、最もドラマティックで神がかったレースとも言われます。1992(平成4)年その功績をたたえ、笠松競馬場にオグリキャップの銅像が建てられました。以来、競馬場の守り神としてファンに愛されています。

笠松競馬場(オグリキャップの銅像)
「国宝五城と城下町グルメ」。今回は、天下人の夢と名馬の面影が交差する犬山城界隈をご紹介ました。お城巡りも食べ歩きも競馬も楽しめる魅力あふれるスポットに、ぜひ皆さまもお出かけください。
文・写真/十朱伸吾
おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。
