異色の経歴を持つパティシエが作る絶品シュークリーム 製菓学校に通わず名店『モンサンクレール』で修行を積んだ理由とは
香ばしいシュー生地ととろけるカスタードクリームがたっぷり詰まったシンプルながら、奥深いスイーツがシュークリームです。みんなが大好きなシュークリームをこれまで3000個以上、年間で200個以上食べる筋金入りのマニア、シュークリーマン飯塚のおすすめの逸品を紹介する連載「シュークリーマン飯塚のシュークリームハント」。今回は、2025年12月9日夜に放送された人気番組「マツコの知らない世界」(TBS系、火曜午後8時55分〜)でもおすすめに挙げた『sarkara(サルカラ)』を取材してきました。美味しさの秘密を探ります!
名店で修行を重ねた店主が営む注目のスイーツ店
スイーツ好きなら一度は聞いたことがある日本のトップパティシエ・辻口博啓シェフのお店『モンサンクレール』(東京・自由が丘)で右腕を務め、辻口シェフが手掛ける『LE CHOCOLAT DE H (ル ショコラ ドゥ アッシュ)』では統括責任者を務めた経歴を持つ超実力派パティシエ・大井博司さんの初めての実店舗。
番組内ではシュークリームを紹介しましたが、シュークリーム以外にも魅力溢れるケーキやコーヒーが並ぶ素敵なお店です。シェフの素顔、お店のこと、ケーキのこと…たくさん伺わせていただきました!

「ルネ」(820円) エルダーフラワーとラズベリーとバラのプチガトー(820円)
東急田園都市線と東急世田谷線が乗り入れる三軒茶屋駅(東京都世田谷区)から徒歩5分ほど、世田谷通りの商店街を抜けた静かなエリアにお店はあります。
「日常に寄り添う」町のケーキ屋さんがコンセプト。街に溶け込むように、目立つ看板もない、一見ケーキ屋さんには見えない店構え(看板は大井さん自身で作ったそう!)外装も内装も華美にはせず、木とアイボリー色で落ち着く雰囲気の店内です。

閑静な住宅街に位置するお店
『sarkara(サルカラ)』という店名は「砂糖(sugar)」の語源とも言われるサンスクリット語に由来し、“お店が砂糖のように身近な存在であれ”という想いが込められているそう。

パティシエの大井博司さんが自ら作った看板
店主の優しい思いが詰まったシュークリーム
『sarkara(サルカラ)』のシュークリームの特徴はなんと言ってもトンカ豆を使用していること。トンカ豆とは…中南米原産のマメ科の樹木であるクマルの種子のこと。クマリンという芳香成分が含まれており「杏仁」のような独特の甘い香りのもとになっています。
「シュークリーム」(480円)

『sarkara(サルカラ)』「シュークリーム」(480円) トンカ豆が唯一無二の味わいを作り出している
シュー生地にもクリームにも使用されており、頬張ると甘く爽やかな香りと風味が口いっぱい広がります。
生地はサクッと香ばしいクッキーシュータイプ。日光金乃卵、北海道産の牛乳・バター・小麦など国産の良い素材にこだわり、さらにトンカ豆を練り込んだクッキー生地を乗せて焼き上げています。大井さんはクッキーシューが大好きなんだそう!
クリームにはバニラビーンズとトンカ豆が入っており、『sarkara(サルカラ)』のオリジナリティを生み出しています。重たくならないように、あえてトンカ豆入りカスタードクリームとホイップを混ぜ切っていない状態で詰めて、軽やかな口当たりに仕上げています。

ショーケースに並ぶシュークリームとプチガトー
シュークリームは、シンプルだからこそ難しく、焼き具合も生地の混ぜ具合も細心の注意が必要。混ぜ方や混ぜる分量や混ぜる順序、温度など状態を見つつ仕上げていく必要があります。感覚的な部分も多いので、大井さんが最初から最後までつきっきりで製造されているんだそう。
「家族みんなで食べられるようなメニューも並べたかった。子供から大人までみんな食べられるもの、それをしっかりおいしく作っていきたかった」そんな大井さんの優しい思いがたっぷり詰まったシュークリームになっています。
お菓子だけでなくコーヒーにもこだわる洋菓子店
お店の顔にしたいとオススメしてくださったのは「マドレーヌバニーユ」。ボソボソっと粉っぽくならずに凄くおいしいマドレーヌを作りたいと思ったのがきっかけで、いろんな種類のマドレーヌを研究、開発してきたそう。
「マドレーヌバニーユ」(360円)

研究にも開発にも時間をかけて作ったという「マドレーヌバニーユ」(360円)
その中でも「マドレーヌバニーユ」は研究にも時間をかけ、凝りに凝った商品。焼きたてがおいしいのはもちろんですが、時間が経ってもちゃんとおいしいままであるよう、大井さんのこだわりで完成された逸品に仕上がっています。
プチガトー以外にも焼き菓子が豊富なことに驚きました。焼き菓子は、自分で悩みながらお盆に乗せていくパン屋さんスタイル……これはズルい。我慢できなくてたくさん取ってしまいました。

パン屋さんスタイルなのも楽しい
また、お菓子だけではなくコーヒーにもこだわりが。
おいしい洋菓子屋さんはある、おいしいコーヒー屋さんはある、どちらもが揃っている店はなかなか多くない。どちらもおいしいものを揃え、ケーキや焼き菓子とのペアリングを楽しんでもらったり、フラッとコーヒーだけを飲みにきてもらったりしたいという思いも込めておいしいコーヒーを取り揃えているそうです。
コーヒーの豆は、東京・神保町の『GLITCH COFFEE & ROASTERS』のシングルオリジンを使用。バリスタである奥様が淹れてくれるコーヒーだけを飲みにくる常連様もいらっしゃるんだとか。
高校生で名店に直談判、異色の経歴を持つパティシエ
お母様が誕生日に大きなケーキを焼いてくれたことが印象に残っており、小中学生時代には「漠然と料理にかかわる仕事に就きたい(特にスイーツ)」という思いを持っていたそう。サッカー少年だったものの、小学校は家庭科クラブで料理をしていた一面も!

名店に直談判をするというパワフルな一面も持つ大井さん
普通科の高校に通い、製菓系の専門学校などには通わなかった大井さん。どうやって『モンサンクレール』に!?と気になるところですよね。お話を聞いていてビックリしました。
働きながら修業したいとの思いから、高校生の頃から都内の有名店を食べ歩き、ビビッときた『モンサンクレール』の門をたたいたことが始まり。
翌年度の就職枠はなかったものの1週間の研修を受けられる機会を得て(これが高校時代)未知の世界での経験も積めるという一心でチャレンジ。その研修後、まさかの採用通知が!凄すぎます…!
『モンサンクレール』には15年、『ル ショコラ ドゥ アッシュ』に約1年半。数々の経験を積んだ後、スイーツ業界に入った時からの目標であり、新たなスタート地点としても考えていた自分のブランドとして『sarkara(サルカラ)』を立ち上げられたのが2024年のこと。
パティシエ・大井さんの原動力はお客さんとのコミュニケーション
「パティシエは製造面という意味だけに限らず、クリエイティブな仕事。流行り廃りに流されず自分の本質は貫きながら、生み出す部分が人任せにならないように自分で新しいものや、新しいことに挑戦していきたい。そのためには…自分が一番やりたいことをやれる環境を自分で整えなければならない」という思いから、自分のお店、自分のブランドを持つことが必要だと昔から考えていたそうです。

シュークリーム以外にも魅力的なプチガトーが揃う
お菓子作りやお店作りに対する大井さんの揺るぎない熱い思いは、プロとしてのプライドを感じさせるものでした。同時に最も印象的だったのは、「この間の〇〇がおいしかった」「メッセージプレートが可愛かった」といった、お客さんとの触れ合い、何気ない日々のやりとりが嬉しいと、心から楽しそうに語るその表情です。
「おいしさ」を追求する情熱の裏側には、お客様との触れ合いから生まれる日々の温かい積み重ねがあり、お店を動かす原動力となっていることが伝わってきます。『sarkara(サルカラ)』のケーキは、ただ甘いだけでなく、こうして紡がれる人間味あふれる「幸せの風景」そのものなのかもしれません。

購入時にもらえる『sarkara(サルカラ)』のショップカード
是非、皆さんも『sarkara(サルカラ)』を訪れ、この場所で生まれる優しい甘さと、パティシエ大井さんの温かい笑顔に触れてみてください。日常の中のちょっと特別な日として彩ってくれるはずです。
『sarkara(サルカラ)』
店名:『sarkara(サルカラ)』
住所:東京都世田谷区下馬2-36-1・1F
定休日:火曜日
営業時間:10時〜18時
イートイン:可
アクセス:東急田園都市線、東急世田谷線三軒茶屋駅から徒歩約5分
※写真・商品の値段等は取材時のものです。最新の情報はご確認ください。

シュークリーマン飯塚
文・写真/シュークリーマン飯塚
仕事を頑張る自分へのご褒美であるシュークリームに魅せられたサラリーマン。
「シュークリーマン飯塚」を名乗り、コンビニから専門店まで、美味しいシュークリームを探し求めて、今までに3000個、年間200個以上食べる(自称)日本一のシュークリームマニア。
Instagram:https://www.instagram.com/daibobiad_chou
【画像】生地のサクサク感が写真からも伝わるシュークリーム! 名店『モンサンクレール』で修行を重ねたパティシエが作るこだわりの逸品(11枚)
