『良いこと悪いこと』©日本テレビ

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 間宮祥太朗と新木優子がW主演を務める日本テレビ系土曜ドラマ『良いこと悪いこと』。ドラマは最終章に入り、真犯人考察が視聴者の間で激論が繰り広げられる中、森本慎太郎演じるターボーこと小山隆弘が次週予告で死亡フラグが立つ一方、真犯人説が後を絶たない。そこで現時点でのターボーの怪しい点を改めてまとめてみたい。

参考:『良いこと悪いこと』“最終章”直前の考察まとめ 7人目、ターボー、薬物事件の謎を分析

 これまで色濃かったターボー真犯人説は物語が進むにつれ薄くなってきているが、未だ解消されていない怪しいと思わせる理由がいくつかある。

ターボー=真犯人説の根拠

 まず一連の事件の鍵となる、ターボーが発案した「森のくまさん」の替え歌。名前の順番通りに殺されていくことを、歌を忘れていた高木将/キング(間宮祥太朗)に指摘し、ターボーの囲み取材を行っているときに、セオリー通りガラスが落下し命が狙われる。しかしキングがいち早く気づいて回避したが、キングがターボーに叫んだときに、なぜか真っ先に頭上を見たことでガラスが落ちてくるのを知っていたのではと疑われ、また他の事件とは違い落下前にガラスの破片がキングに降ってきたことで気づかせたのも不可解。キングにより命が救われたことで、まだ命を狙われる危険性があるのに一件落着の雰囲気を出していることからも自作自演が疑われる。これによりキングに替え歌の順番通りに殺されることが完全に刷り込まれることとなった。

 仲良し6人組に7人目の存在がいたことを導きだしたのもターボー。校長室に卒業アルバムがないことをキングたちに伝え怪しませるように仕向けたりと、ターボーが連続殺人事件のストーリーを企てているとも考えられた。当初は園子が犯人だと断定したことでキングと揉めたが、これに関しては描いたストーリーが狂ったのだろうか。

 また当初から園子は編集長に「アプリ業界の革命児なんて呼ばれてますが、彼は黒い噂は絶えません。目的のためなら手段を選ばないそうです。例えそれが法に触れる方法でも」と怪しんでいて、事件にタイミングよく帰国した理由を追及したり、本来会見は新規事業部が行うもので、ターボーCEO自ら発表する突然の提案に社員たちも困惑していたと園子が言及していた。もし園子が何らかの事件があると聞いて行きたくもない同窓会に参加したとするなら、キング達に関しては過去の苛めの件で冷たい態度をとっていたのとは違い、連続殺人事件に関与していると決めつけて対応していたように見えた。

 ターボーが同窓会の出来事を知った経緯について、ターボーは桜井幹太/カンタロー(工藤阿須加)から連絡があったと、カンタローはターボーから連絡があったと言っていて、キングはその行き違いに疑問の表情を浮かべていた。ただこれに関しては、絶交していたキングに会うことへの口実として、自ら連絡したというのは恥ずかしいのでカンタロー発信という体にしたとも考えられるが、そうした場合カンタローから話を聞く前に同窓会の出来事を知っていたことになる。カンタローは武田敏生/貧ちゃん(水川かたまり)が亡くなってからすぐに連絡があったと言っていて、ターボーは貧ちゃんの転落死写真を園子に見せ、「これを見れば俺が慌てて飛んでくると思ったんだろうな。日本に帰ってくれば殺せると思って」と真犯人の仕業だと言及しているが、画像が送られてきた時系列が難しく、ドラマでは一見、中島笑美/ニコちゃん(松井玲奈)が亡くなってからの会議中にスマホに届いたように見せていたが、これは会議中に届いたものなのか、それともすでに届いていて誰かに転送しようようとしていたのか、犯人からの追い討ちなのか、ここが不可解。いずれにせよ、CEOであるターボーの個人スマホのアドレスに届くというのはよっぽどの身近な人か、密に連絡をとっている人物でないと知り得ない気もする。

 命が狙われているにもかかわらず日本にすぐ帰国した理由を考えると、すでに何かに脅されていて、言うことをきかないとこうなるぞという見せしめだったり、自分のせいで周りに犠牲者が出ているので解決しに来たともとれるが、逆に貧ちゃんに関してはターボーが事業絡み(薬関係?)など何らかの理由で殺し、それを見ていた人物から強請られているとか。ターボーがカンタローに「キングのこと心配してた。キングが無茶しないように見張っとけって。すぐ帰るから。余計なことさせるなって」という言い回しも、過去の苛め問題よりも事業に関することでトラブルを抱え同級生を巻き込みたくないという感じがしないでもない。園子はターボーへのインタビューで、「デザイン部門を縮小するとの噂を聞きましたが、実際、強引なリストラで訴訟の動きもあるとか。そんな中、どこから新規事業のご予算を?」と追求していて、裏社会との取引はしていてもおかしくなく、これまで数多く登場している薬物絡みも疑われるし、今も誰かに睨まれる立場にいるのは明白。

ターボーのどっちつかずな態度を成立させる森本慎太郎

 しかし、ガラス落下事件以降、ターボーは事業そっちのけで事件解明に向けて一番積極的に動いているようにも見える。真犯人ではないと思わせる決定的なシーンが、羽立太輔/ちょんまげ(森優作)の家に潜入して、ガラケーの動画から7人目の森を探し出したこと。もし森とグルになって犯行を行っているのなら、ちょんまげが隠し持っていた動画を消して証拠隠滅するはずだし、1人のときに動画を見つけてあそこまでリアクションをとらないだろう。最近の行動は事件解決に向けて純粋な正義として動いているようにしか見えず、穿った見方をするなら、小学校時代にキングと絶交して疎遠になった仲間たちと当時を取り戻すかの如く事件に挑んでいるこの状況をプレイとして楽しんでいると言え、本気で事件解決をしたいのならCEOとしての大人のあらゆる力を使って追求していてもおかしくないのだが。もしターボーが黒幕だった場合はキングの夢であるヒーローにさせるための演出とも言えるが、今となってはその線も極めて低い。

 しかし、ターボーの存在を怪しく感じさせている最大の要因は、やはり演じている森本慎太郎の得体の知れない存在感に他ならない。『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の山里亮太役や、映画『正体』での日雇い労働者役など、幅広い演技力というより役に憑依した演技を見せる役者として評価が高い役者だが、ターボー役としてもまさに憑依している。若手CEO特有のカリスマを感じさせるエネルギッシュな存在感と、知的さがゆえのセレブ反社なきな臭さ。一方で友達といるときはヤンチャな一面や情の厚さ。そして1人になったときに様々なものを抱えている裏の顔が全身から伝わってくる。その大人な感じがリアルだからこそ、リアルな人間ほど様々なものを抱え、何を秘めているのか分かりづらいもの。CEOとくれば尚更だ。それを踏まえての小学校時代の同級生が大人になって久々に会ったときに感じるあの雰囲気を森本は見事に醸し出している。その人物の背景を分かりやすく見せるのではなく、ブラックホールのような得体の知れない懐の深い演技を森本がこなしているからこそ、ターボーの本性が読みにくく、良い子なのか悪い子なのか、様々な可能性を想像させ今作を面白くしているのは間違いない。

 次回予告でターボーへの「さっさと殺されてください」の言い方は園子がターボーのスタンドプレーを戒めるような言葉にも聞こえるが、果たして殺されてしまうのか、それともみんなを宇宙に連れていく約束に向かっていくのだろうか。いずれにせよ、ターボーは未だ信用はできない。

(文=本 手)