身を寄せた体育館の「避難所居酒屋」 今度は能登の古民家で開店 再び“心も体も温まる場所”へ
去年元日の能登半島地震では、当時の多くの被災者が身を寄せた避難所に、心も体も温まる居酒屋がありました。震災からまもなく2年、新たな一歩を踏み出した店主の思いを取材しました。
「乾杯!」
ここは、石川県七尾市田鶴浜にある古民家。
当時の避難者:
「震災を忘れるっていうか、一瞬でも忘れる時間がすごい大事なんですよね」
「人と対面で話さないと、その気持ちって上がらないんですよね。つながりって、すごい大事」
10月、七尾市内の古民家に、搬入作業を行う男性の姿がありました。
持ち込んでいるのは、食器棚やテーブルなど。
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「来月、正式オープン10日ぐらいには、オープンを目指して頑張っています」
この場所を居酒屋として、改装しているのだといいます。
店主の原島敬之さん。
実は、店を構えるのはこれが初めてではありません。
いまから約1年11か月前。
原島さんがオープンさせたのは、居酒屋「語ろう亭」です。
震災の発生から18日後にオープンし、店があるのは、なんと避難所となった体育館の中でした。
当時の原島 敬之 さん:
「皆さん、孤独に生活されているとか、ひとりぼっちの方も見受けられるので、なんでも話せるような一つの家族になって、みんなで絆で乗り越えていけるのではないかなと」
去年まで、この体育館をホームに活動するプロバスケットボールチーム「金沢武士団」のGMを務めていた原島さん。
チームを支えてくれた地域に、恩返しをしたいというのも、店を作った理由でした。
当時の来店客:
「一日の疲れを癒したり、リラックスできればいいかなと思います」
その後、3か月近く営業した語ろう亭は、避難所の閉鎖とともに閉店しましたが…
ことし10月。
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「ここでまた、皆さんが再会をするとか、語り合いながら時間を過ごしていただければなと」
原島さんは、再び店を開けることを決意したのです。
その理由は…
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「飲み屋さんだとかね、寿司屋さんとか駄菓子屋さんとかあった。こうメイン通りだったんですけど」
公費解体が進み、更地が広がる田鶴浜。
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「やっぱり人口的にも随分減ってきて、今ちょっと寂しい雰囲気というか」
そこには、いまだ日常を取り戻せない地域に、元気になってほしいという思いがありました。
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「語ろう亭が本当に成功すれば、一つのいい事例として、そういうのがこの街にどんどんできていければ、この街もまた賑わっていくのかなと」
居酒屋の場所は、避難所だった体育館から街なかの古民家へ。
まだオープン前にもかかわらず、避難所生活をともにした、かつての常連客が様子を見に来てくれました。
「ちょっとこれ、足りんかなと思って」
「え、何でしょうか、あら!こんなの作ってくれた。最高」
「飲み物置くコースター」
店に置いてほしいと持ってきたのは、手作りのコースター。
さらに…
「あの本当に、真心を込めて裏山の竹を切って作っていただいた」
「大将のために」
看板も、常連客が手作りしてくれました。
店名は、もちろん「語ろう亭」です。
常連客:
「地域が元気になればいいなというのが原島さんの本質じゃないかな。その本質に今度はわれわれが、原島さんを応援していこうと」
そして迎えたオープン当日。
「乾杯!」
原島さんが腕によりをかけたカニ汁に… 新鮮な刺身や体温まるおでんも…
来店客:
「にぎやかな温かい場所ができるってことは、いいことだと思います」
「お店ができることで、みんなの集まる所ですとか、心の拠り所みたいな、癒しの所ができればいいなと思っています」
語ろう亭店主・原島 敬之 さん:
「震災があったのが一番(の切っ掛け)ですけど、その前から、恩返しができればなと。田鶴浜ね、いい人ばっかりなんです。そんな人たちと一緒に生活するというか、復興を一緒にできればなと思っております」
田鶴浜に恩返しを…
これからも「語ろう亭」は、心温まる場所として地域に寄り添い続けていきます。
