25年目のXbox。迷走の気配漂う「次世代Xbox」への期待と不安
初代Xboxの登場から四半世紀を迎えようとする今、ブランドはこれまでにない激動期を迎えています。
Xbox 360の大成功、Xbox Oneの失敗、Series Xの苦戦、そして独占を手放した大胆な戦略転換。積み重ねた功罪を振り返りつつ、次世代機はどこへ向かおうとしているのでしょうか。
発売から24年。Xboxの歴史
2001年11月15日、初代Xboxは発売されました。初代XboxのシステムはMicrosoft独自のDirectX技術を使用し、当時のWindows PCに使われているものと同じパーツが採用されていました。2代目として2005年に登場した「Xbox 360」は、2016年まで11年にわたり販売され、同社にとって最も売れたデバイスとなりました。
そして、2013年には後継機「Xbox One」が登場します。Microsoftは、マルチメディアに大きく焦点を当てて“オールインワンの家庭用エンターテインメントゲーム機”と謳い、ライブTVを目玉機能として繰り返しアピールしましたが、結果はご承知のとおり。Xbox Oneは、インターネット接続が必須だったり、中古ゲーム購入の制限、Kinectの強制接続など、悪名高きゲームコンソールとして記憶されてしまいました。さらにファン層を遠ざけたのが、当時Xboxの上級副社長であったDon Mattrick氏の発言です。Xbox Oneのお披露目の際に「接続環境を得られない人向けの製品があります。それがXbox 360です」というコメントは、10年以上経ったいま見ても鼻につきますね。
PS5やSwitchに遅れをとったSeries X
Xbox 360の大コケ後、経営陣の大幅な入れ替えが行われ、現在はMicrosoft Gaming CEOとなったPhil Spencer氏が台頭します。そして、2020年11月10日に2つのコンソールを発売しました。「Xbox Series S」と「Xbox Series X」です。Series SはGame Pass向けに設計された低価格・中性能機で、1,440pの解像度に対応。大黒柱となるSeries Xは、4Kゲーム用に設計され、AIアップスケーリングとレイトレーシング機能を搭載し、ゲームの見た目と動作を最高レベルに引き上げることを目指しました。
Series Xは、初代のコンセプトを受け継いでおり、内部システムはPCそのものです。8コア3.8GHzのカスタムAMDプロセッサ(当時比較的新しかったZen 2 CPUとRDNA 2アーキテクチャに基づく)は強力で、その価格としては破格の性能でした。FLOPS(コンピューターの処理能力)はXbox Oneの約2倍を誇り、16GBの高速GDDR6 RAMによりロード時間を短縮、容量1TBのSSDを搭載することで、最新ゲームの巨大化に対応しました。これはPS5初期モデルおよび最新モデルの825GB SSDよりも大きいです。とりわけ内部構造はハードウェア好きにとって興味深く、Xboxの機械設計ディレクターを務めたJim Wahl氏は、分割マザーボード構造により全パーツへ安定した冷気の流れを与えられたと語っています。
Series Xは、非常に大きなポテンシャルを秘めたコンソールでしたが、残念なことにゲーマーの購買意欲をくすぐるような大作タイトルが不足していました。またリリースされたとてXbox専用ではなく、PS5などでもプレイ可能だったことも足を引っ張りました。
Microsoftは出荷台数や販売台数を公表していませんが、推計ではSeries SとXは2024年2月時点で約3000万台が出荷されたとされています。比較すると、PS5は2025年11月までに約8000万台、2017年発売のSwitch(初代)は2025年9月までに1億5400万台以上が出荷されています。Xboxのゲーム機本体の収益はこの1年で大幅に減少しており、ハードウェア売上は前年比22%減でした。一方、PS5の売上は価格引き上げ後もむしろ増加しています。
中間世代機は存在しない
ソニーが550ドルのPS5を補完するPS5 Proを出したような、中間世代機をXboxは出していません。FTC(米公正取引委員会)との法廷闘争で流出した文書には、「Brooklin」と呼ばれる中間世代デバイスの設計案の存在が示されていますが、実際にはディスクレス版や2TBストレージを搭載した800ドルのGalaxy Black Series Xが出た程度です。
また、今年5年ぶりとなる新ハードとして、1,000ドルの「Asus ROG Xbox Ally X」が登場しましたが、こちらは優れた携帯型ゲーム機であって、コンソールユーザー層には馴染まないものとなりました。
ハンドヘルドのXbox Ally XをXboxと呼んだことで、コンソール体験を期待したユーザーに混乱を生みました。初代Xboxの生みの親、Seamus Blackley氏は「実際にはジョイスティックを付けただけのブランドもののノートPCなのだろうか?」とコメントするほど。なお、UIはいまだ未完成です。
Is it actually just a branded laptop with joysticks?29 year old me is rioting in the streets.
- Seamus Blackley (@seamus.bsky.social) 2025年10月16日 23:07
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Xboxアプリ内にはコントローラー操作に不向きなメニューがあるほか、ゲーム中にスリープすると再起動しない重大な問題も存在しています。Xbox Game Studios創設メンバーの一人、Laura Fryer氏は、Xboxの最近の動向について常に批判しており、最近の動画ではXbox AllyはUXの基本を忘れていると述べ、「本当の通貨はお金ではなく時間だ」と辛口コメントを残しています。
次世代XboxのUIは、Xbox Allyに近いものになる可能性があるといいます。ビデオゲームコンサルティング会社、Pad and PixelのBrian Crecente CEOは、Microsoftの携帯型ゲーム機に関するマーケティングが混乱を招いただけだと指摘し、「どのPCもXboxだと説得しようとする」戦略が裏目に出ていると語っています。
ビデオゲーム研究者でニューヨーク大学スターン経営大学院のJoost van Dreunen教授は米Gizmodoに対し、Microsoftは「常にValveを追いかけてきた」とコメント。Valveは、元MicrosoftプログラマーのGabe Newell氏率いる、より小規模で機動力のあるアメリカの企業です。同社は莫大な収益を上げているため、近いうちにMicrosoftなどに身売りする可能性は低いでしょう。
Xboxのゲーム出版が犯した罪
こうしたハードウェア論争は、Xboxが真に注力してきたゲームタイトルそのものにも影響しています。特に親会社であるMicrosoftが、スタジオに対して非常に高い利益率を要求している状況ではなおさら。
今年初めには『Clair Obscur: Expedition 33』が、小規模な30人チーム製作にもかかわらず大ヒットを収めました。成功の要因は、Xboxが2024年にこの作品を積極的に宣伝し、2025年にはGame Pass入りさせたことが大きいでしょう。Stephen Totilo氏がGame Fileニュースレターで書いたように、Microsoftは『Avowed』や『The Outer Worlds 2』のようなRPG、『Doom: The Dark Ages』のようなシューター、『South of Midnight』や『Keeper』のようなインディー作品など、多彩な優れたタイトルを量産してきました。
Xbox Seriesのハードウェアは全体的に興味深いものでしたが、最終的にはPS5とXbox Series Xは性能面でほぼ互角でした。任天堂は同社らしく、300ドルという低価格な携帯型ゲーム機「Nintendo Switch」で独自路線を邁進し莫大な利益を上げていました。現代のゲーム開発コストはかつてないほど高くなっています。リードタイムは長くなり、AAAタイトルのマーケティング予算は中規模プロジェクトをはるかに上回ります。こうしたコスト高騰により、大手ファーストパーティパブリッシャーは利用可能なすべてのプラットフォームでゲームを配信しなければ利益を上げることはできないと考えるようになりました。
ちょうど2年前、Microsoftは当時最大級のパブリッシャーだったActivision Blizzardを687億ドルで買収しました。この買収は『コール オブ デューティ』シリーズをGame Passに追加することを約束していたが、契約完了直後、なんとMicrosoftは数百人をレイオフ。その後の1年間でもさらに数千人を解雇しています。待望の『パーフェクトダーク』再構築版を打ち切り、その開発スタジオを閉鎖、『コール オブ デューティ』共同開発のRaven SoftwareやSledgehammer Gamesのスタッフをレイオフ、『The Elder Scrolls Online』開発元の新MMORPGをキャンセルし、多くのインディー開発者にも被害を与えたのです。
小規模から大規模スタジオまで多くのゲームを世に送り出した一方、多くのスタジオを解体し、そのクリエイターを解雇したこの“カルマ”は必ずXboxに巡ってくることでしょう。
脱コンソール。サブスクサービス「Game Pass」
ローンチ時、PS5とXboxを明確に分けていたのはGame Passでした。Game Passとは、Microsoftのゲームサブスクリプションサービスです。PCやスマホでもXboxのゲームを購入・プレイできる“ゲーム版Netflix”を目指すXbox戦略の中核となりました。独占を捨て「Xbox Everywhere」戦略へと発展し、広告では「すべてがXboxだ」と訴えるようになりました。
Game Passは徐々に値上がりしていますが、その分新機能で値上げを緩和してきました。最大の売りは、Xboxの過去と現在の膨大な名作にアクセスできる点です。高価格帯ではXbox Cloud Gamingによりクラウド経由で大型タイトルをプレイできました。この機能は長年“ベータ版”とされてきましたが、2025年の最新アップデートで正式化しました。最上位の「Ultimate」プランの大きな売りは、発売初日に遊べる“Day One”配信だったが、最新の『コール オブ デューティ』やAAAタイトルを発売日に遊ぶには、さらに課金する必要があります。
次世代Xboxはどうなる?
Xboxは独占することをやめました。PlayStationも同様の動きをしており、かつての独占タイトルをPC版で出しています。次世代PlayStationは、Xboxと同じくクロスプレイを重視し、プレイヤーがどこで買っても、どのデバイスでもセーブデータを使えるような仕組みを強調しています。Nintendoだけが、ファースト・サードパーティともに独占を推し進めていますが、Switch 2の驚異的な販売ペースを見る限り、十分に成功していると言えるでしょう。
XboxブランドはMicrosoft全体から見ればごく小さな一部で、同社は年単位ではなく10年単位で事業を考えています。リーク文書が示す、2030年までに1億人のGame Pass加入者を獲得するという目標に達すれば成功でしょう。しかし、Xboxが加入者数を公式に語ったのは2024年2月が最後で、その時点の加入者は3,400万人でした。
ビデオゲーム業界のアナリスト、Mat Piscatella氏は米Gizmodoに対し、
将来、Xboxブランドのコンソールが何台売れるかは、他のエコシステムへの入口を通じてプレイヤーやエンゲージメントを生み出せるかどうかに比べれば重要ではないでしょう。しかし、問題はプレイヤーがそれに付いていくかどうかです。
とコメントしています。
Microsoftは方向を変えておらず、Xboxの大きな計画が実を結ぶまであと1年はかかるでしょう。クラウドゲーミングとGame Passがある今、ハードウェアの重要性は以前ほどではありません。Xboxはゲーム機自体をプレミアムオプションとしてのみ販売する段階に差し掛かっているのかもしれません。
またリーク情報によると、次世代Xboxは「Project Magnus」と呼ばれ、次世代PlayStationに搭載されているものをはるかに凌駕する強力なカスタムAMDチップが搭載されるとのこと。そのため、ハードウェア愛好家たちは、次世代Xboxの価格を1,000ドル前後、あるいはそれ以上になるのではないかと推測しています。
Source: Xbox, TweakTown
