1日、日本外国特派員協会で講演するJICAの緒方貞子理事長(撮影:吉川忠行)

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国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長(79)は1日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、国際協力銀行(JBIC)の円借款業務などを移管して2008年に誕生する“新JICA”について、「統合でより効果的で、決断の早い組織を作る。日本は“ODAの巨人”と言われているが、ただ立っているだけの巨人でなく、効果的に動ける巨人になる」と決意を述べた。

 緒方氏は、「グローバル化によって、犯罪や病気などの脅威などが国境を越えてやって来る。国家がすべてを管理するというやり方はもはや通用せず、国境を越えた協力が必要となる」と話し、ODA(政府開発援助)がこれまで以上に重要になるとの認識を示した。ODA予算が減っていることについては、「支援の結果は(日本国民に)直接返ってくるわけではないので優先度が低いとされているが、国際協力、開発援助を続けていくことが大事」と語った。

 “新JICA”ではグローバルな発展に貢献できるシンクタンク機能を担えるよう、研究や研修機関を改善したいとの意向を話した。また、意欲のある若者やスキルを持つシニアの力を発展途上国で生かす試みも続けているといい、「日本人はまだ国内ばかりを見ている人が多い。グローバルに物事をみてほしい」と国際協力に関心を持つことを訴えた。【了】