与党大敗、重要政策が停滞のおそれ…野田代表「補正予算は与野党一致して早く成立させるべき」

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 衆院選で自民、公明両党を合わせた議席が過半数割れしたことで、内外の山積する政策課題への対応が停滞する可能性がある。

 当面は、2024年度補正予算案の編成が焦点となる。

 立憲民主党の野田代表は28日未明の記者会見で、「補正予算は、与野党一致して早く成立させるべきテーマだ」と述べた。

 石破首相は衆院選に先立ち、物価高の影響を受ける低所得世帯への給付金や、災害対応を柱とする総合経済対策のとりまとめを関係閣僚に指示。財源の裏付けとなる補正予算案を衆院選後に決定する方針を示していた。

 首相が引き続き政権運営を担ったとしても、予算案や法案を国会で成立させるには、野党の協力が不可欠となる。首相は27日夜のNHK番組で、野党からの要求について「国会の議論において、取り入れるべきものがあることは当然あり得る」と述べ、柔軟に対応する姿勢を示した。首相は、昨年度の13兆円を上回る規模とする考えを示しており、規模を巡り、与野党で綱引きが行われる可能性がある。

 年末にかけては、来年度予算案や税制改正を巡る議論で困難が待ち受ける。首相は、防衛力強化の財源を確保する増税の開始時期を年内に決着させる考えを表明したが、首相が連携先と見る国民民主党は、安易な防衛増税に反対の立場だ。

 年収103万円を超えると所得税が課税される「103万円の壁」は「手取りを増やす」と主張する国民の玉木代表が引き上げを強く求めており、国民の協力を得るため、「目玉政策をのまざるを得なくなる」(自民関係者)との見方もある。

 自民の政治資金問題を受けた政治改革への対応も焦点だ。政党が議員個人に支給する政策活動費(政活費)を巡っては、立民、日本維新の会、国民などは選挙戦で「廃止」を主張。自民は公約で「将来的な廃止も念頭に」との表現にとどめている。首相は周辺に「廃止でもいい」と語っており、決断力が問われそうだ。

 外交では、11月5日の米国大統領選に伴う新大統領との関係構築が急務となる。石破首相は今月の読売新聞のインタビューで、来年1月の大統領就任前に訪米し、次期大統領との初の会談を実施することを検討する考えを示していた。

 11月中旬には、ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議とブラジルでの主要20か国・地域(G20)首脳会議が予定され、その前後での訪米も念頭に置く。また、外遊中に中国の習近平(シージンピン)国家主席との初の会談も目指している。ただ、国会対応により、外遊日程が制約される可能性もある。

 中国軍は、領空侵犯など日本への挑発行動を繰り返しており、政府内では、さらなる挑発行動を警戒する声も出ている。