パソコンのCPUとして一般的な、「Intel」と「AMD」。実際のところ、どちらがおすすめなのでしょうか。「All About」ノートパソコンガイドの上倉賢が解説していきます。(サムネイル画像出典:Tester128/Shutterstock.com)

写真拡大

ノートパソコンを購入する際、「Intel」「AMD」どちらのCPUにするのか迷ったことがある人もいるかもしれません。実際のところ、どちらがおすすめなのでしょうか。

「All About」ノートパソコンガイドの上倉賢が解説していきます。

(今回の質問)
パソコンのCPUをどれにするか迷っています。「Intel」は先日不具合が発生したといいますが、「AMD」と比べてどちらがおすすめですか?

(回答)
各社が競いあっていることもあり、どちらを選んでも性能面に大きな問題はありません。
また、一般的にはあまり知られていませんが、どのCPUにも何らかの不具合・バグは発生しており、一般ユーザーには影響が出ないようになっているだけです。その代わり、バグの回避のために当初の性能が出せないなど、何らかのデメリットもあります。そのため、トラブルが発生していないモデルを選ぶのが無難ではあります。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

【表】ノートパソコンは何年?家電の「寿命」一覧

性能面ではどちらを選んでも問題なし

性能面で見れば、どちらを選んでも大きな問題はありません。IntelもAMDも同一カテゴリなら、細かな機能や性能はそれぞれ異なっており差はあるものの、演算性能はともに高いです。自分が必用な機能が手に入る製品かを、IntelやAMDのブランドにこだわらずに選ぶのがよいでしょう。

性能面以外で差が出てくるとすれば、全体的なプラットフォームとしての性能や、価格、対応製品の多さなどでしょうか。デスクトップパソコンの場合、CPUとそれを取り付けるマザーボードのバリエーションが多いのがIntelで、比較するとAMDは少ないです。ノートパソコンの場合は、従来はIntelが圧倒していましたが、近年はAMDの製品も性能が高くなり、コストパフォーマンスが良い製品も増えています。製品のバリエーションは、Intel搭載モデルに比べるとAMD搭載モデルの方が少ないです。

確かに、CPUのブランドとしてはIntelの方が強いのは事実です。しかし、AMDも性能自体は高く、例えば2024年夏におけるノートパソコン向けAI関連性能自体は、AMDの最新製品の方が高くなっています。この性能差は各社が競争しているので、来年にはまた状況が変わっているかもしれません。

不具合は常にどこかにある。短期的な判断はおすすめしません

IntelのCPUで発生した不具合が気になっているとのことですが、ほとんどのCPUには残念ながら何らかの問題が見つかっています。CPUの問題は常にどこかにあるのです。そのような問題はエラッタ(CPUにおけるバグのこと)として公表され、何らかの回避策が提供されています。

今回のご質問にあるIntelの不具合というのは、2024年に入った頃からIntelのデスクトップ向け第13、14世代Coreシリーズで、動作が不安定になる、システムがクラッシュするといった問題が発生している件です。一般的には、比較的早めに原因究明とその回避策が提供されますが、今回の問題は調査や回避策の提供までに時間がかかり、2024年9月25日に原因に関する詳細情報と緩和策が公開されました。このほか、保証期間を延ばすなどの対応も取られているので、該当製品のユーザーは公式の説明通りに対策していれば大きな問題はないといえそうです。

では、「AMDの方がよい!」となるのかというと、話はそう簡単ではありません。2024年8月にはAMD製品でのセキュリティー関連の問題が報告されています。古い製品から存在する問題ですが、対応策が提供されているのは比較的新しい製品のみです。

このように、CPUの問題は常にどこかにあり、今はよくても明日には大問題が公表される場合があります。そのため、短期的に判断しない方が良いでしょう。

この記事の筆者:上倉 賢
PC(パソコン)のニュースサイトがほとんどなかった10数年以上も前から、個人でノートパソコンに関する情報をWebで発信し続けている。それをきっかけに、現在はノートパソコン専門ライターとして活躍。新聞や雑誌などでもノートパソコン選びの執筆を行っている。
(文:上倉 賢)