ファーウェイの人工知能(AI)チップ・アセンドシリーズ [写真 ファーウェイ]

写真拡大

中国ファーウェイの人工知能(AI)チップで「Made by TSMC」の痕跡が見つかった。世界のファウンドリー(半導体委託生産)市場を事実上独占した台湾TSMCをめぐり中国との取引関係を調査している米国当局の疑いも深まる様相だ。

ロイター通信が22日に伝えたところによると、半導体分析・コンサルティング企業のテックインサイツは最近ファーウェイの先端AIアクセラレータを分解し、ここでTSMCが製造した半導体を発見した。テックインサイツは公式報告書作成前にこうした事実をTSMCに知らせ、TSMCはこの事実を米国商務省に自主的に通知したという。

ファーウェイのAIアクセラレータでTSMCが製造した半導体が見つかった事例は今回が初めてだ。テックインサイツは昨年ファーウェイの最新スマートフォンを分解した結果、SKハイニックスのメモリー半導体が見つかったと明らかにしている。

問題のAIチップは、ファーウェイが2022年に発売したアセンド910Bだ。エヌビディアが中国市場を狙い米国の規制に合わせて作った低仕様AIアクセラレータのH20と競合する製品で、1個当たり約12万元(約257万円)で販売されたという。ファーウェイはアセンドチップを通じてエヌビディアを押し出して中国のAI市場の地図を変えようとしている。

ファーウェイは2019年から商務省の制裁対象企業リストに載った。制裁前まではTSMCがファーウェイのアセンドシリーズ初期製品を作っていただけに、今回分解したチップが制裁発効以前に作られたものかに対する追加調査が必要だ。フィナンシャル・タイムズによると、TSMCは最近アセンド910Bと類似設計のチップ注文を受けた後、これを商務省に知らせ、中国が輸出統制を迂回してTSMCが作ったチップを受け取る可能性について米国当局と意見を交わしたことがわかった。

IT専門メディアの「インフォメーション」は、商務省がこの数週間以内にTSMCを相手にファーウェイのスマートフォンやAIチップの製造に関与したのか初期段階の調査に入ったと報道している。TSMCとファーウェイの迂回ルートを通じて実際にチップ生産取引がなされたのかに対する商務省の追加調査は避けられないものとみられる。

こうした疑惑に対しファーウェイは声明を通じ「2020年の輸出統制規定施行後にTSMCとチップ生産をめぐる取引はなかった」と明らかにした。半導体業界関係者は「調査結果によりTSMCに対する規制だけでなく、米国の対中制裁レベルがさらに高まる可能性が大きい」と話した。

アップル、エヌビディア、インテル、AMDなど主要企業がTSMCで半導体を作っているだけに、米国政界内では「過度に大きくなってしまったTSMCを統制しなければならない」という声も出ている。