今年8月、「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されるきっかけとなった日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大地震について、1961年に日向灘で発生した地震がおよそ60年の間隔を置いて再び発生したのではないかとする研究内容が発表されました。

京都大学防災研究所附属震災害研究センター 山下裕亮 助教
「今回の地震というのは、基本的には1961年の地震が、計算すると63年ぶりに再来した可能性が高いのだろうと考えております」

京都大学防災研究所の山下裕亮助教は、新潟市で開催された日本地震学会の秋季大会でこのように述べ、8月8日に宮崎県日南市で震度6弱を観測するとともに、初の「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるきっかけとなった、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大地震について、1961年に日向灘で発生したマグニチュード7.0の地震と同じタイプの地震がおよそ60年ぶりに起きたとの見解を示しました。

気象庁によりますと、8月に起きた地震の震央の周辺では、1919年以降、マグニチュード7前後の地震が8月の地震を含めて10回発生しています。

このうち宮崎市沖の日向灘では、山下助教によりますと、プレート境界型の地震が、1931年、1961年、1996年、そして今年8月と、およそ30年の間隔で4回繰り返し発生しているということです。

山下助教は、このうち1961年の地震と8月の地震には複数の共通点があると指摘します。

具体的には、▼宮崎県の南部や鹿児島県の大隅半島で大きな被害がみられた点、▼観測された津波の波形がよく似ている点、▼1931年の地震と1996年の地震でみられた前震活動がない点、などを挙げています。

その上で、山下助教は次のような仮説を示しました。

京都大学防災研究所附属地震災害研究センター 山下裕亮 助教
「この領域というのは60年周期の地震が2つ存在していて、それがたまたまずれて起こっているので、観測事実としては30年周期で起こっているように見えていると」

山下助教はまた、今後の見通しについて、日向灘でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生する間隔はおよそ400年と推定されるが、有史以降、規模が最大とされる1662年の地震からすでに370年近くが経過しているとして、こうしたM8クラスの巨大地震にも注意する必要があると述べました。