2024年11月5日に行われるのアメリカ大統領選挙での投票を推奨するイーロン・マスク氏が、激戦区となることが予想されているペンシルベニア州で、有権者に対して「投票したら100ドル(約1万5000円)」という報奨プログラムを独自に開始しました。マスク氏はこの報奨プログラムに署名した人物に100万ドル(約1億5000万円)を寄付すると発表しているのですが、この行為は違法である可能性が高いことが指摘されています。

Elon Musk pledges to give away $1m per day to Pennsylvania voters

https://www.bbc.com/news/articles/cg78ljxn8g7o

Elon Musk is offering people $1 million to vote - The Verge

https://www.theverge.com/2024/10/20/24274971/elon-musk-1-million-prize-america-pac-petition-voting-presidential-election

Pennsylvania Gov. Shapiro: Law enforcement should 'take a look at' Elon Musk voter payments

https://www.nbcnews.com/politics/2024-election/pennsylvania-gov-shapiro-law-enforcement-take-look-elon-musk-voter-pay-rcna176279

2024年10月18日、イーロン・マスク氏は自身のX(旧Twitter)アカウントで「ぺンシルベニア州の有権者であれば、あなたとあなたを紹介した人は、言論の自由と武器所持の権利を指示する我々の請願書に署名することで100ドルを受け取ることができます。あなたがすでに信じているアイデアをサポートすることでお金を稼ぎましょう」とポストし、自身の支援する政治行動委員会で独自の報奨プログラムを実施していることを告知しています。





さらに、マスク氏はこの請願書に署名した有権者1人に100万ドルを寄付すると発表しました。





報奨プログラムを受け取ることができるのは、マスク氏の支援する政治行動委員会が作成した請願書に署名したペンシルベニア州の有権者登録済みの有権者のみです。

マスク氏はさっそくピッツバーグ在住の有権者が100万ドルに当選したと発表。その後、ジョージア州・ネバダ州・アリゾナ州といった激戦州にも報奨プログラムを拡大する予定であると発表しました。

ただし、投票や有権者登録を強制することは連邦法に違反しており、マスク氏の報奨プログラムは明らかに違法であるという声もあります。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の政治学者であり、NBCニュースの選挙法アナリストでもあるリック・ヘイゼン氏は、マスク氏の報奨プログラムは連邦法の52 USC 10307(c)にある「投票登録または投票のために支払い、支払いを申し出、または支払いを受け取った個人は、1万ドル(約150万円)以下の罰金、もしくは5年以下の懲役、またはその両方を科される」に該当すると指摘。

Elon Musk Veers Into Clearly Illegal Vote Buying, Offering $1 Million Per Day Lottery Prize Only to Registered Voters - Election Law Blog

https://electionlawblog.org/?p=146397



ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事は、NBCニュースの報道番組であるミート・ザ・プレスに出演した際に「(マスク氏の報奨プログラムは)非常に懸念されるもの」であり、「法執行機関が調査を開始する可能性がある」と語りました。ただし、シャピロ知事はマスク氏の報奨プログラムに対して「違法」とは明言していません。

ヘイゼン氏はNBCニュースに対して、マスク氏の報奨プログラムが登録有権者にのみ開かれているという事実が、この請願を過激なものにしているかもしれないと語りました。ヘイゼン氏によると、連邦当局はマスク氏を起訴するか、報奨プログラムを止めるよう警告するかできると語っています。司法省は連邦裁判所でマスク氏を告訴することが可能で、連邦機関や民間団体はマスク氏に対して民事訴訟を起こすことも可能です。

ただし、どの方法を採用したとしても膨大な時間がかかることが予想されます。また、マスク氏が支持するドナルド・トランプ氏が大統領に就任すれば、マスク氏を赦免する可能性もあります。