「ホワイトカラー」は数年以内に用済みになる…まもなくOpenAIが手にする「人工超知能」その怖すぎる未来予想図

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社会秩序、軍事バランスも崩壊する

〈ゲームや音楽を楽しめるエンターテインメント機器に電話を付け足した商品。日本ではメールや通話機能を重視した高機能な携帯電話が普及しており、一般顧客を獲得できるかどうか〉

16年前の2008年7月、初めてiPhoneが発売された後、あるマーケターが新聞で語った言葉だ。当時、日本人の多くは「こんなもの、絶対に普及しない」と言っていた。現在、スマホの世帯普及率は9割を超えている。

ネットとスマホは生活を大きく変えたが、2050年までに、それをはるかに上回る技術革新が訪れる可能性が高い。

「遅くとも今後十数年の間に、私たちはAGI(汎用人工知能)、そしてASI(人工超知能)の誕生に立ち会うでしょう。AIが既存の社会秩序や、国家間の軍事バランスさえも崩壊させてしまう、先の読めない時代がやってくるかもしれません」

こう語るのは、各国のAI開発情勢に詳しいインフルエンサーのbioshok氏だ。

この9月、OpenAIが新機能「o1」を発表した。o1は国際数学オリンピックの問題にも8割正答し、数学・科学の分野にかぎれば、博士課程の研究者と同等の力をもつ。

人間は「1万人束になっても敵わない」

o1は、人間のように泣いたり笑ったりするわけではない。だから「まだAIは人間に及ばない」と思うかもしれないが、それは甘い。すでに「人間よりも優れた知性」への階段を昇り始めているのだ。bioshok氏が続ける。

「o1の特筆すべき点は、自分の回答を評価・訂正して精度を上げる『自己修正』能力をもつということです。人間ではなくAIがAIを開発・改善するという新たな段階に入りつつあり、今後ますます能力アップが加速してゆくと考えられます。

囲碁AIの『アルファ碁』は、2017年に人類最強の棋士に勝利しました。つまりアルファ碁には、並の人間の棋士は1万人束になっても歯が立たないわけです。

それと同様のことが数学・科学の世界で起きたら、人間の科学者や技術者は大半が能力的には勝てなくなるでしょう」

OpenAIは、AIの発展を次の5つの段階で考えているという。

レベル1:自然な会話ができる(ChatGPT)

レベル2:博士号をもつ人と同等の高度な問題解決ができる

レベル3:人間の指示を受けて、または自律して思考・行動できる

レベル4:新発見や新発明で人類に貢献できる

レベル5:大企業や研究機関と同等のはたらきが単体でできる

サム・アルトマンの「未来予測」

同社のCEO、サム・アルトマンはo1リリース直後のインタビューで「o1はレベル2。レベル3にも比較的早く到達できそうだ」と語った。さらにはブログで「数千日以内には超知能が誕生するかもしれない」「ほぼ無限の知性と豊富なエネルギーが手に入る」と豪語している。

「実際にはASI、つまり全人類をも完全に超える知性の登場までは10年以上かかるかもしれませんが、数年以内には、一般的な頭脳労働者と同等以上の能力を備えたAIが、お金を払えば利用できるようになる可能性は高いでしょう。

最近リークされた情報によれば、OpenAIが開発中の次世代AIの利用料は、月額30万円ほどになると言われています。ちょうど労働者1人分の月給と同じくらいの価格設定ですから、同社は次のアップデートで『平均的なホワイトカラーを完全に代替できるAI』の一般公開を念頭においているとみられます」(前出・bioshok氏)

大げさな予測ではないか、と思うかもしれない。だが、私たちが手にするスマホの性能は、1990年代末時点の世界一のスーパーコンピュータを凌駕する。25年という歳月は文字通り、ケタ違いの技術革新をもたらすのだ。

2050年に、前述したレベル4〜5のスーパーAIが稼働している可能性はかなり高い。

すでに、AIを物理学や工学の分野で応用し、人間の限界を超える技術を手にする人々も現れ始めた。後編記事【AIが設計した、あの「縄文土器みたいなロケットエンジン」の制作者が語る…「たった2週間」「エンジニア不要」で高性能ロケットを造る方法】でその詳細を報じる。

「週刊現代」2024年10月5・12日合併号より

AIが設計した、あの「縄文土器みたいなロケットエンジン」の制作者が語る…「たった2週間」「エンジニア不要」で高性能ロケットを造る方法