【トヨタ・ホンダ・日産】いま買うならどの自動車がいいのか?実際にディーラーを回って聞いてみた「驚きの結果」

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'30年にすべての自動車をEVに-欧州勢が掲げた目標はやはり無謀なものだった。再び脚光を浴びるのが日本のHV技術である。いずれEV化は避けられないにしても、いまはそのときではない。

中編記事『将来的にEV化は避けられないが、それはいまではない…日本製ハイブリッド車の逆襲が始まった!』より続く。

ホンダの意外なオススメ

それでは今後10年を見据えて、いま買うならどんな車種がいいのか。

「HVを出しているメーカーは(簡易的なマイルドハイブリッドを除くと)、トヨタ、ホンダ日産自動車が3強ですが、耐久性や実績を考えるとトヨタが安心でしょう。プリウス以来、HVを長年作ってきたことによる技術の蓄積は大きい」(前出・国沢氏)

売れ筋の車種を調べるために本誌記者は、埼玉県にあるトヨタ車ディーラーの大型店を訪ねた。従業員が話す。

「一番売れているのはHVのプリウスですね。PHVのものは年間に数台売れるかどうかです。やはり充電設備を工事して新設する必要があるのと、補助金があってもHVに比べて50万円程度高いので。プリウスの標準のグレードの本体価格が320万円なので、いろいろオプションをつけて、300万円台の後半になります。

ただ、納車までに7ヵ月待ちです。他もオーダーができない車種が多くて、いま売ることができるのはミニバンのシエンタだけなんです。

ちなみにEVはbZ4Xというのがありますが、下のグレードで装備をつけて600万円台前半。まったく売れてないですね。ウチの店で1台も売れてないと思います」

都内のホンダ車ディーラーを訪ねたら、店のスタッフは意外なことにHVではなく、ガソリン車を勧めてきた。

ホンダのEVは商用車だけで選択肢はありません。なので、HVが売れていますが、個人的には先を見据えていま買うならHVよりガソリン車だと思います。というのも、最近のガソリン車は燃費がよくなっていて、フィットやN-BOXだとリッター18キロメートルと、昔のHV並みに走ります。

HVのほうがガソリン車よりも40万円ほど高いのですが、この価格差を燃費で補うと、15万キロメートルほど走らないと元が取れない計算になります。15万キロメートルも走れば、買い替えの時期がきますよね。一方、ガソリン車はしっかりメンテナンスすれば、20万キロメートル以上は走れます。

見逃せないのがリセールバリューです。HVは7年落ちになると、バッテリーなどの劣化が嫌気されて買い取り価格が落ちますが、ガソリン車は落ち方がマイルドです」

燃費がよくない日産HV

さらにこのスタッフは中古のガソリン車が「値上がり」する可能性さえ指摘するのだ。

「日本でもガソリン車は'35年から新車販売が禁止されますが、中古の売買はOKです。生産終了になる前の燃費のいいガソリン車は、人気になる可能性が高いと思います。ちなみにいま、スポーツカーのシビック タイプRはあまりの人気に入荷2年待ちの状態。新品の本体価格が約500万円なのに、中古市場では800万円で取り引きされています。20年落ちのシビックでも状態次第で300万円程度です。

N-BOXのガソリン車を200万円で買っても、10年後に100万円くらいで売れるかもしれません。下手すると200万円で売れるかもしれませんよ」

日産は近年、EVに注力してきたが、ここにきてPHVを自社開発すると発表し注目を集めている。企業アナリストの大関暁夫氏がこう話す。

「PHVの良さはEVとガソリン車両方の魅力を備えているところです。今回の能登の災害でわかったように、PHVは非常用の電源になるというのが大きい。異常気象が多い昨今では、無視できないポイントです」

ただし、日産のPHV発売は'20年代後半の予定で、それまではEVと独自のHVで生き残りを図る。都内の日産車ディーラーの店員が言う。

「ノートの上位機種、ノート オーラはe-POWERという独自の技術で、走行はすべてモーター、エンジンは発電のみに使われるためとても静かです。ただ、他社のHVと比べて燃費がいいわけではない。他社の燃費のいいガソリン車並みでしょうか。その点は我々も残念なところです」

EVの時代がやってくるまで、少なくともあと10年はかかる。HVの技術に磨きをかけた日本の自動車メーカーが、世界を再び席巻しそうだ。

「週刊現代」2024年10月5・12日合併号より

それみたことか…「世界的EV不況」が進行中!欧州でもトヨタのハイブリッド車が「爆売れ」な「納得の理由」