1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された事件をめぐる袴田巌さん(88)の再審=やり直し裁判で、静岡地裁が袴田さんに無罪判決を言い渡したことを受けて、検察が控訴をしないことを明らかにしました。

この判断を受けて、静岡県警は10月8日、コメントを発表し、「当時捜査を担当した静岡県警察としても、袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて、申し訳なく思っております」と謝罪しました。

静岡県警をめぐっては、静岡地裁の判決の中で、当時の取り調べは袴田さんに精神的苦痛を与え、供述を強制する非人道的なもので、実質的なねつ造と言及したほか、事件から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかった「5点の衣類」についても「捜査機関のねつ造」と言及していました。

静岡県警が発表したコメント全文は以下の通りです。

令和6年9月26日付け静岡地方裁判所の判決に対し、このほど、静岡地方検察庁が控訴しないとの方針を明らかにするとともに、その理由について、判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴すべき内容である一方で、袴田さんが長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことを考慮した結果、控訴してその状況が継続することは相当でないとの判断に至ったとする、検事総長談話が公表されたと承知しています。

これにより、袴田さんに対する無罪判決が確定することとなりましたが、当時捜査を担当した静岡県警察としても、袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて、申し訳なく思っております。

今後、最高検察庁において、本件の再審請求手続が長期間に及んだことなどについて所用の検証を行う予定であると承知していますが、静岡県警察においても、可能な範囲で改めて事実確認を行い、今後の教訓とする事項があればしっかりと受け止め、より一層、緻密かつ適正な捜査を推進してまいります。