「韓国語を世界の公用語に!」目標は壮大だが…少数民族に使わせた“無責任な過去”と自国での冷遇

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韓国語(ハングル)を世界中で広く使われる公用語とすることを目指す――。

【注目】チアチア族への“ハングル輸出事業”、その無責任な実態

韓国語の制定を記念する同国の祝日「ハングルの日(10月9日)」を目前にした10月7日、そんな理想を掲げた「世界公用語(韓国語)国際推進委員会」の結成大会がソウルで行われた。

同委員会の目標は、国連などの主要国際機関で公用語として使われる6言語(英語、フランス語、中国語、スペイン語、ロシア語、アラビア語)に、韓国語を加えようというもの。

委員会側は「韓流ブームと国力伸長により韓国語の影響力が増している。世界的に多くの学者からハングルの優秀さが認められている」と説明。今回の結成大会を皮切りに、ニューヨーク、シカゴ、ハワイ、中国、日本、フランスの6カ所に海外支部を設置し、本格的な活動に乗り出す計画だ。

うやむやな“輸出事業”、本国での冷遇
(写真=サーチコリアニュース)ハングル

なんとも壮大な目標であるが、韓国語を世界的に使われる言語にしたいという同国の意欲は凄まじく、今に始まったことではない。

2009年の「ハングルの日」(10月9日)のイベントで、当時のイ・ミョンバク(李明博)大統領が「世界各国でハングルを習おうとする人たちがハングルを容易く学べて世界に広く伝えられるように、世宗学堂を拡大設置していく」とも話していた。

世宗学堂とは、世界中に設置されている韓国語の教育機関のこと。ハングルを創製した朝鮮王朝第4代王・世宗(セジョン)の名がつけられた世宗学堂は、文化体育観光部(「部」は日本の「省」に該当)とその傘下機関・世宗学堂財団が運営している。要するに、国を上げて“韓国語の輸出事業”に乗り出すということだろう。

実際に、2008年にはインドネシアの少数民族「チアチア族」にハングルを表記文字として使わせようと試みたこともある。

ただ、それから15年が過ぎた現在、「政府の支援が途絶えたことで有耶無耶になったと伝えられている。メディアを通じて一時的なイベントとして大々的に紹介された後、世間の関心が薄れ、それに伴って政府の支援も終了したようだ」(『ソウルファイナンス』)とのことだ。

興味深いのは、韓国語の世界化を目論む一方で、本国で韓国語が冷遇されているとさえいえることだ。

K-POPなどの大衆歌謡では英語の歌詞がなければ田舎臭い印象となり、企業や機関、団体、店の名前は当然のように英語が使われている。

また、政府や大多数の地方自治体も自らのスローガンを英語で作るのが当たり前になった。ソウル市のブランドスローガンも長らく「I SEOUL U」で、2023年に変更されたが「SEOUL, MY SOUL」と英語だ。

(写真=サーチコリアニュース)ソウル市のスローガン「I SEOUL U」

さらに韓国の教育部は、大学で韓国語で説明しても難しい専門科目を英語で講義すると、学校評価で加点する措置を取ったりしている。

自国でも十分に重視されていない韓国語が、はたして世界へ羽ばたくことができるのだろうか。

(文=サーチコリアニュース編集部O)