日本株、国内市場縮小の窮地のなか「異彩」を放つ「プロ厳選・先見の明あり企業5選」を実名紹介!

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新規出店の拡大、海外展開の拡大、店舗網の再構築、店舗サービスの拡充など、積極的な店舗展開で成長が期待できる企業に注目してみたい。少子高齢化やインフレによる買い控えなど、国内市場が縮小するなか、新たなサービスや製品開発を通じた顧客開拓で、国内市場の限界に挑戦する企業には、株式市場も高い評価が与えられている。

ファーストリテイリング(9983)、ニトリ(9831)、ゼンショー(7550)などの株価収益率(PER)にも高プレミアムが許容されている。商品やサービスの付加価値を高めることで収益を伸ばし、国内外のリアル店舗やEC展開などへ積極的に投資を振り向ける好循環が続く期待のあらわれだろう。先手を打てる企業には、株式市場で異彩を放つ期待が今後も高まりそうだ。

アダストリア(2685)

■株価(10月4日時点終値)3840円

国内外で複数のファッションブランドを展開するアダストリアの株価は、約8年ぶりの実質上場来高値(4210円)が意識されそうだ。設立30周年を迎えた主力ブランド「グローバルワーク」では、2030.2期までに売上高を24.2期比で94%増加させるという野心的な目標を掲げている。国内外での店舗展開を再び加速させる考えだ。

また、海外売上高比率を2024.2期の5%程度から2030.2期に10%まで引き上げることも目指す。25年にはフィリピンやタイへの進出を計画しており、東南アジアを中心に店舗網を広げる予定だ。

Z世代を中心に人気の高い韓国発ブランド「スカルプター(SCULPTOR)」などの国内独占販売も子会社を通じて締結するなど、消費者の関心を引き寄せる競合優位性でも強みを持つ。また、自社ECサイト「ドットエスティ」の会員数は約1860万人へ急成長するなど、オンライン・オフラインともに強固な地位を築きつつある。

良品計画(7453)

■株価(10月4日時点終値)2706円

無印良品は、都市部だけでなく地方への出店を強化している。これまで支持されてきた都市部消費者に加え、地方の新たな顧客層を開拓していく狙いだ。高い来店頻度が見込まれる食品スーパーの隣に新店を構えることで、既存顧客との接点を増やだけでなく、地方市場でのブランド浸透も強化している。

2024年2月末は地方店舗を中心とする積極出店により、国内外の店舗数は前年比8%増の1241店へ増加した。売り場面積の増加は、品揃えの強化と客単価の上昇にもつながっている。また、ふるさと納税専用サイト「諸国良品」を立ち上げ、地域の特産品を全国に届ける新たな取り組みも開始したほか、宿泊事業を本格化させている。

地方の衰退など社会課題からニーズを掘り起こし、新事業を探索するこれらの施策は、石破新政権が重要政策のひとつに掲げる「地方創生」の観点からも注目できる。なお株主還元策では、優待カードの割引率を従来の5%から7%に引き上げたことも投資家目線では妙味となるだろう。

京都フィナンシャルグループ(5844)

■株価(10月4日時点終値)2237.5円

関西エリア首位の預金量(24.3期末:9.4兆円)を誇る京都フィナンシャルグループでは、日銀のマイナス金利解除を追い風に、5年後の資金利益は従来のマイナス金利環境比で100億円以上増加すると試算している。他の地銀が店舗網を縮小させる中、逆張り戦略が奏功した格好だ。

地元の有力企業である京セラや任天堂への出資を通じた有価証券含み益も強みだ。2024.3期には含み益が9000億円超となり、地方銀行で最大規模を誇る。地域の中堅企業やスタートアップへの1000億円規模の投融資を実施するなど、リスクを取れる源泉ともなっている。収益源の多角化は、グループの安定成長にも寄与するだろう。

今後注目すべきは、政策保有株の削減だ。ROE(自己資本利益率)の改善に向け、3年間で160億円規模の株式売却を進めていく。中長期的には純利益500億円を目指すことで、全国トップ級の地方銀行となる目標も掲げている。今秋にも具体的な成長戦略が公表される予定で、投資先の多様化や新規事業の展開などに期待したい。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

■株価(10月4日時点終値)1480円

中期経営計画では、27.3期の純利益を1兆6000億円以上にする方針を掲げており、リテール(個人向け営業)や資産運用・管理など各事業で成長投資に注力する方針だ。なお、メガバンクは海外業務で稼ぐ収益も大きいため、国内金利の動向だけでなく、海外展開も大きな注目点だ。

特に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、積極的なM&A(合併・買収)を通じて、アジア市場でのシェアを拡大しており、収益成長の主要な原動力ともなっている。インドや東南アジアのフィンテック企業への出資を通じ、デジタル融資を提供するなど、成長性の高い分野への投資も積極的に行っている。

総資産は約400兆円と他のメガバンクと比べても100兆円規模で上回るMUFGの場合、金利上昇の恩恵も受けやすい。8月初旬の「日銀ショック」が強烈過ぎたこともあり、国内追加利上げの早期実現性は遠のきつつあるが、株価は「金利ある世界」による中長期的な増益シナリオを織り込む格好でPBR1倍超水準を定着させる期待があろう。

コメ兵ホールディングス(2780)

■株価(10月4日時点終値)4170円

中古ブランド品や時計などを扱う中古品流通の大手企業。AI(人工知能)を活用した革新的な鑑定システムを導入し、積極的な店舗展開を進めることで、中古品市場における地位を確立している。

AIを活用した中古品鑑定システムは、商品の画像をAIが解析し、真贋を短時間で高精度に判定できる。今後は国内外で積極的な店舗展開を進めていく予定だ。従来、熟練の鑑定士が行っていた鑑定作業を大幅に効率化できたことで、経験とスキルが要求される鑑定士の育成を迅速化できるほか、店舗での対応により注力することも可能となったことが大きい。

中古品流通は、資源の有効活用や廃棄物の削減に貢献するサステナブルなビジネスモデルとして注目されている。中期経営計画では、2028.3期までに売上高を2500億円、営業利益を150億円に増やす目標を掲げている。2023年以降の予想PER(株価収益率)は8倍から14倍の範囲で推移しており、足元の水準はいわばボトム圏にある。

日米ともに本格的な選挙モードへ突入するなか、株式市場では神経質な展開を余儀なくされる場面も訪れそうだ。こうした局面では、外部環境に左右されにくく、自力成長イメージが描きやすい企業に注目は集まりやすい。消費者や顧客からの「納得と共感」による拡大を目指す企業に注目してみたい。

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