戦争前である昨年9月14日夜(現地時間)、人工衛星によって撮影されたガザ地区(左)。右の写真は戦争勃発3カ月後の今年1月1日の夜の様子。[写真 中国CBAS]

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昨年10月7日、パレスチナの武装組織ハマスがイスラエルを奇襲した。反撃に出たイスラエルはカザ地区に進撃してハマス掃討に乗り出した。1年経った今でも、両側の争いが続く中で、民間人の犠牲が増え続けている。「血色の戦争」の惨状を数字で探ってみる。

◇4万2255人、1万7019人=先月末までの時点で、イスラエル・ハマス間の戦争で命を失ったパレスチナ人は合計4万2255人だ。この中には新生児を含む児童が半数に近い1万7019人を占めている。死亡者の大部分はガザ地区でのものだ(4万1537人)。イスラエルが占領した西岸地区では160人余りの児童を含む合計718人以上の死亡者が報告されている。イスラエル側死亡者は1100人余りだ。

◇42発=戦争勃発以降、カザ地区に投下された爆弾の量を換算すると1時間に約42発であることが分かった。イスラエル国防軍はGBU−28など3種類の「バンカーバスター」(バンカーなど防護力が高い構造物を打撃する大型爆弾)と衛星利用測位システム(GPS)誘導爆弾、統合直接攻撃弾(JDAM)、小直径爆弾(SDB)、トンネル突破ための新武器「スポンジ爆弾」などを使用している。

◇0=ガザ地区の夜は一筋の光もない暗黒そのものだ。戦争勃発から約1カ月後に電力供給が中断されたためだ。中国の持続可能発展ビッグデータ国際研究センター(CBAS)はガザ地区の人工衛星写真を撮影したが、戦争前の2023年9月14日時点では煌々としていた同地域は、戦争後の今年1月1日夜には暗黒と化していた。

◇85%=ガザ地区の建物とインフラの被害規模も甚大だ。学校の約85%、公共施設の80%、農耕地の68%、道路の68%、居住施設の60%が戦争で被害を受けた。病院は36カ所中17カ所しか運営されておらず、入院室は1501室しか稼動していない。生存と直結した水の供給も円滑ではない。

◇90%=OCHAによると、今回の戦争でガザ地区の人口(約215万人)の90%である190万人が避難した。

特にイスラエルが戦争初期に北ガザに集中していた軍事作戦を南部に拡大したため、居住地を数回追われた避難民も多数にのぼると言われている。

◇2〜4人=ガザ地区内で栄養失調で餓死する児童は一日平均2人から4人と推定される。

昨年12月に国連が発表した報告書「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」によると、北ガザとガザ市の全体人口のうち70%(2万1000人余り)が「飢謹」に分類されるフェーズ5に該当した。フェーズ5は20%の世帯が深刻な食糧不足を経験し、30%の児童が深刻な栄養失調に陥っていることを意味する。ガザ地区の全体人口である約240万人のうち223万人が深刻な食糧難に直面していると報告書は伝えている。ガザ地区の6〜23カ月の乳幼児や女性の96%は一日の必須栄養分の最小値すら満たすことができていないことも明らかになった。

◇52台=先月基準でガザ地区に進入した救護トラックの一日平均の規模だ。今年4月の一日平均165台の3分の1にも満たない数値だ。これはイスラエルが5月のハマスの攻撃で4人の兵士が死亡すると、救護品の主要伝達ルートであるケレムシャローム国境検問所とラファ検問所を相次いで閉鎖したことに伴う結果とみられる。

◇35%=戦場になったパレスチナの失業率は昨年1.0%から今年4−6月期(4〜6月、1−3月期集計なし) 35.2%で上昇した。国連開発計画(UNDP)はパレスチナが戦争以前の経済まで完全に回復するには「20年ほどかかる」と展望した。戦争直後である2023年10−12月期のイスラエルの経済成長率は直前分期(7−9月期)比6.48%ポイント下落した−5.90%を記録した。