「行為の最中に首を絞められ、気づいたら切りつけられた跡が」…港区女子を演出してインスタ破綻!新大久保で「立った」24歳女性が「目を覚ました理由」

写真拡大 (全2枚)

お金が欲しくて売春した結果

都内在住の松島玲奈さん(仮名・24歳)は、インスタグラムで「パーティーピープル」や「港区女子」など、キラキラ系のラグジュアリーな日常を演出するために、身の丈に合わないお金の使い方をして借金を重ねた。

給料は手取りで月20万円程度だったが、インスタのためにつぎ込んだ金額は平均で毎月40万円以上にも及び、クレジットカードの限度額がいっぱいになるとまた新しいカードを作る…の繰り返しだったという。

それでもインスタへの依存を断ち切ることはできず、新大久保に「立つ」ようになる。

前編記事「「インスタで人生を狂わせました」…キラキラ系の港区女子を演出してインスタ破綻!新大久保に「立つ」ようになった「24歳女性の告白」」より続きます。

とにかくお金を手にいれたくて、玲奈さんは「金額次第でアブノーマルなプレイにも応じることもあった」という。変態的な欲望を満たすための道具にされる中、何度も身体や心が傷ついていったそうだが、とうとう命の危険にさらされてしまう。

「最中に首を絞められて意識を失ったんです。相手の男がひとりでチェックアウトをしたのを不審に思ったホテルのスタッフがすぐに駆けつけてくれて、救急車を呼んでくれたので助かりましたが、刃物で切り付けられたような痕跡もあり、殺されていてもおかしくない状況でした」

このことをきっかけに目を覚ました玲奈さんは、すぐに弁護士事務所を訪ねて自己破産の手続きを行った。

弁護士に言われた一言

「その時、弁護士さんに『最近はあなたみたいな“SNS破産”をする人が多い』と言われました。特に若い女性に増えているそうです。あのキラキラした世界にいかに虚像が多いかということですよね」

必要最低限のものしか残されていないアパートの一室で、玲奈さんは力なくつぶやくのだった。

そんな玲奈さんとは違うパターンであるが、SNSに依存するあまり、経済的困窮に陥った例は他にもある。

若者に人気の観光地で飲食店を営む松田久則さん(仮名・42歳)だ。調理師専門学校を卒業後、「さまざまな料理店を渡り歩いた」という松田さんは6年前、結婚を機に独立を決意。念願だったカフェレストランをオープンさせた。

「妻(36歳)の実家がこの近くで、地元の方にいろいろ便宜を図ってもらえたのがラッキーでした」(松田さん。以下同)

滑り出しこそ順調だったが、店が軌道に乗り始めた頃にコロナ禍がはじまり、苦戦を強いられる。

「夫婦で飲食とはまったく関係のないアルバイトをしたりして、どうにか生活はしていましたが店の維持までは到底追い付かず、双方の実家に借金をして、どうにか持ちこたえていました」

コロナが下火になり、観光客が戻ってくるようになったものの、以前のような客足にはほど遠かった。

「飲食店同士で数少ないお客さんの争奪戦を繰り広げている状態でした。このままでは共倒れも時間の問題じゃないかとかなり焦りました」

そんな松田さんが打開策として思いついたのが、SNSの活用だった。

「店のホームページはありましたけど、ほとんど機能していなかったし、発信力で言えばインスタグラムが最強だと思ったのです」

プロを雇ってインスタ映えを狙う

料理店のアカウントとはいえ、味や値段よりも見栄えがモノを言うのがインスタの世界である。「普通」だったり「地味」だったりすれば、「インスタ萎え」と呼ばれて興味を持ってもらえない。選択肢に入らないということは「食べてもらえない」のも同然だ。

「私は料理人ですし、自分の腕には自信があります。まずは店に足を運んでもらえるように視覚からアピールしようと思いました」

そこで松田さんが思い立ったのがデザイナーやイラストレーターといったクリエーターをブレーンに迎えることだった。

「見た目のインパクトを実現するには、やはりアート感覚を持っている人たちに頼るのが一番だと思ったのです」

その思惑通り、デザイナーは料理の盛り付けや色彩に徹底的にこだわり、イラストレーターはメニューや食器類、壁や床などの独自のイラストやセンスを用いて店内のレイアウトを完成させたという。

その結果、松田さんの店は「海外を思わせるような個性的でおしゃれなカフェレストラン」として認知・拡散され、瞬く間に行列のできる繁盛店となる。

「リピーターを確保するために飽きられない工夫をしました」

そう語る松田さんは、前述のふたりのブレーンとともに新メニューの開発や店内のリニューアルを頻繁に行うなどしたが、結果的にはこの企業努力が裏目に出てしまう。

インスタ映えと引き換えに失ったものとは

「料理自体のクオリティが下がってしまったんです。一番の原因はコストですね。ブレーンふたりのギャラが思った以上にかさむし、料理や店の見栄えを良くするための素材にもお金がかかって、料理に使う食材の品質を落とさざるを得なくなったんです。

そんな店のやり方と、ブレーンふたりよりも給料が安いことに腹を立てた調理スタッフは店を去って行きました。『これでは本末転倒じゃないか』と妻にも叱られましたが、後戻りもできない状態になっていました」

いくらインスタ映えを狙って来ているとはいえ、お客だってバカではない。

肝心の料理が美味しくなければ二度と来ようとは思わないだろうし、低評価の拡散という不名誉な事態を招くことになる。

「おっしゃる通りです。無名より悪名と言いますが、知名度は下がらないにしても料理店としての評価はダダ下がりですし、気がつけばただの撮影スポットになっていました」

撮影目的のお客がオーダーするのは単価の低いドリンク類か、業務用に安く仕入れたものを派手にデコレーションしたスイーツ系がほとんどで、食事メニューはスルーされることが多かった。

「正直売り上げは悪くなかったですが、異常に経費がかかるので利益はほとんどありませんでした。何より、お客さんが私の料理を求めていないという現実に打ちひしがれました。私が料理人でいる意味って何だろうって…」

料理人としてのプライドを傷つけられ、お店をやっていく目的まで見失ってしまった松田さんは店を手離すことにした。

閉店した後にも問題が…

ただ、売りに出した店舗は個性的過ぎる内装のためか、なかなか買い手がつかないという。廃墟化するけばけばしい建物は自治会や他の商店主からも「景観を損ねる」と指摘され、今や「負の遺産」扱いだ。

現在は、「更地にした方が売れる」とアドバイスを受け、解体費用を商工会に融資してもらえるか交渉中で、「店を売って、1から出直したい」と語るものの、

「出直し資金の目処はたっておらず、全財産も底をつきそうです。妻は食べるにも事欠く生活に絶望し『実家やお世話になった親戚に顔向けができない』と泣き暮らしています。どこで間違えたんですかね…いや、きっと最初から間違えていたんだろうな…」

と肩を落とす松田さんだった。

ひとりめの玲奈さん、ふたりめの松田さんは極端だとしてもインスタによって自他共に追いつめるられるパターンは枚挙にいとまがない。

「いいね」の数やコメントの有無でマウントを取り合ったり、マナーやルール、公序良俗に反する内容の投稿など、無益な争いを繰り広げるユーザーが常に存在するからだ。

「SNS何かやっている?」と挨拶代わりにアカウントを聞くのが当たり前になっている今、インスタに限らず、SNSは「時代がもたらした、最大の諸刃の剣」であるということを、どの世代も肝に銘じる必要があるだろう。

清水 芽々さんの連載記事「「母さん、やめて」…交通事故で「他界した父」の身代わりに…15歳だった息子が母から受けた「おぞましい行為」」では、母親から性的虐待を受けて家出した少年が、犯罪グループに加担するも、立ち直っていくまでをリポートしています。あわせてどうぞ。

「母さん、やめて」…交通事故で「他界した父」の身代わりに…15歳だった息子が母から受けた「おぞましい行為」