認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との暮らすにしおかすみこが「ゆで卵」で悩んだこと

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9月10日に、「羽鳥慎一モーニングショー」に出演、家族と認知症をテーマにした特集で、母と姉を施設に頼らない理由について語り、Xには「にしおかすみこさん」がトレンド入りした。その後も9月25日の「めざまし8」で出演した時は介護でも「自分ファースト」が大切と語り、27日の「news every」で母親への想いを語って多くの共感の声が寄せられた。

にしおかさんは2020年から認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居をしている。「大黒柱だった母」の大きな変化を目の当たりにし、同居を決意した。

そんなにしおかさんが家族の同居の様子を赤裸々に綴っている連載「ポンコツ一家」から2冊目となる『ポンコツ一家2年目』が9月20日に発売となった。8月27日には、にしおかさんの公式アカウントから初めてのインスタライブを慣行。先んじてにしおかさんへの質問を募集したところ、当事者のみなさまからの質問も多く集まった。

インスタライブに寄せられた質問と回答を編集してお届けする第1回は、「介護をする家族の気持ち」について。2回目は「母と姉を施設に頼らないんですか?」という質問に答えている。

第3回は、「介護でイライラしたらどうしますか?」という問いに対しての答え。話はちょっと具体的な話に広がって……。

母の世話をしていてイライラするのが大変です

Q1 にしおかさんの鋭いツッコミの中にご家族への愛情を感じられる文章にハマってしまいました。

しかも同い年で、勝手に親近感を感じてます。私も介護というか、母親の世話をしていた時期があり、衝突してしまうことも度々ありましたが、そんなときでも仕事には行かねばならず、イライラをリセットするのが大変でした。

にしおかさんは、私ほどイライラすることはないかもしれませんが、衝突があったときの気持ちの切り替えはどのようにされていますか?

にしおか:私もイライラします。特に仕事がちょっと混み入って考えなきゃいけないことだったりするといっぱいいっぱいになるから、家でゴタゴタするとイライラが募っちゃうんですね。私もリセットできたらなと思うんですけど、なかなか出来ないまま仕事に行ったりします。

すごいちっちゃなことですけど、家に居る時とかその辺の近所、スーパーに行く時はすっぴんで髪の毛ボサボサでダラダラした服を着てるんですよ。仕事の時は、このインスタライブもそうですけど、メイクしてちょっと色のある服を着るんですよね。そういうことがスイッチの切り替えになったりしてるかもです。

私は眉がすごく薄くて、描かないとなんか犯人みたいになるんですね。でもしっかり描くと、ちゃんとしなきゃみたいな気持ちになったりするんですよ。本当に小さいことですけど、そういうことも大事なのかなと思ったり。大きなリセットはできないですけど。

爆発したら旅行、悶々とした夜は…

――『ポンコツ一家2年目』の中に家出をする章(14章「豆腐の角に頭ぶつけて…」)がありますね。自然の中に行って深呼吸していました。これは大きなリセットでしょうか。

にしおか:確かに大きなリセットです。ただ、完全にスッキリしたとはならないですけど。どうにもならなくなったら行きます。だって毎回毎回イライラするから旅行に行くというお金はないです。旅行する時は本当に爆発して、もうダメだっていう時です。

普段は、やっぱりちっちゃくちっちゃくリセットして元に戻していくのを繰り返します。すごい病んじゃうと戻そうとしてもなかなか大変だと思うんでよね。なるべくその日のイライラはその日のうちに戻すことを心がけてるかな。

でも私、夜、気持ちの切り替えが出来ないことが多いです。皆さんはどうなんですかね?昼より夜のほうが落ち込みやすいというか、病みません?

そういうとき都内だったら夜中に空いてるカフェとかあるじゃないですか。うちの近所にはないし、コンビニも夜閉まるし息抜きできない。行き場がなくなるんですよね。それに、ウチは夜、ほぼ毎日のように母と父が揉め出すから、余計に悶々としちゃうんですよね。

夫婦喧嘩の声を聞くのもしんどいじゃないですか。

だからベッドで寝ながらイヤホンして、焚き火のヒーリング系BGMを聴きます。

本当に疲れてると、歌詞を聴くのも疲れちゃうんですよ。その歌詞が励ましの言葉だったとしてもです。で、この焚火のパチパチした音でけっこう寝られるんですよ。

そのまま朝まで熟睡できたらいいんですけど、何か途中で油で揚げられてる夢を見たりして、うなされながら起きたりするんです。「ダハァ!!」って。寝汗かきながら。解決してないですね(笑)。

「ゆで卵」を食べるようにしたんですけど…

にしおか:でも質の良い睡眠ってすごい大事だと思ってて、なんとかしたいんですよね。そんな時、朝、タンパク質を摂ると夜の睡眠につながるって情報を得たんですよ。今はなるべく朝ゆで卵を2個食べるようにしてるんです。

これ結構いい気がします。続いてます。ただ私、朝ゆで卵作ってガラスのケースに入れて冷蔵庫に入れておくんですよ。そうすると、母姉父も食べるようになって。母は良かれと思って、生卵をパックから出して、ゆで卵のガラスケースに補充するんですよ。で、みんなが生かゆで卵かわかんなくなって、恐る恐る割るっていう感じになってて。

このゆで卵問題は解決してます。周囲に話したら、クルクルって回して、速く回転した方がゆで卵だって。やってみました。簡単に見分けられます。やっぱり愚痴るって大事です(笑)。

あと、良質な睡眠って健康はもちろんだけど、美にもいいって言うじゃないですか。話がどんどん脱線しちゃいますけど、その《美》も気になるんです。私もうすぐ50歳なんですけど、できれば肌が綺麗で、ナチュラルで等身大で生きていますみたいのを気取りたいなと思ってて。「美」も強化しようと思っているんです。

最近一日に水2リットル飲み始めたんです。ゆで卵食べたついでに、今まではコーヒ―だったんですけど、水を飲む。でも飲み慣れてないから全然減らないんですよ。外出するときも、2リットルのペットボトルをバッグに入れて持って行くんですよ。途中から肩疲れるし、ノルマみたいな気がしてきて、ため息ついたりするわけですよ。結局、けっこう量が残ったまま帰宅して、夜、寝る寸前に残りをガーって飲むんです。そうすると夜トイレに行きたくてすぐ起きるという。

結果あんまり眠れない。何ならちょっと肌荒れもして、何やってんだか。それに本来ガーってたくさん飲むよりチビチビのほうがいいんですよね。でも1日の中で2リットルをチビチビどうやって飲むのか。美意識高い方々はサラッとやってますよね。今のところ、上手くいってないです。結局、水は自然に飲める範囲に留めてます。

――ゆで卵に対するアドバイスがインスタライブの間にどんどん届いています。ゆでた卵は殻にサイン書いておいたらどうかと。「茹」と書いてる方もいらっしゃいます。それか星マークとかそういうのでもね。

にしおか:それ、いい!凄く簡単!「茹」って書きます!そうします。母も姉も間違えなくて済みそう。やっぱり言ってみるもんですね。助かります!あれ、結局私のお悩み相談みたいになりました?すみません。ありがとうございます。

「ダメ」とは言わないようにしているんですが

Q3 ファンレターは読んでいますか?

にしおか:読んでます!それで元気をいただいたりしてますので。すごく嬉しいですね。お返事をまだ返せなかったりっていうのがあったりするんですけど、すごく嬉しく思っています。ありがとうございます。

エゴサは、たまにはしますけどほぼしないかな。10個の優しい言葉より、1個の悪口の方が凹んだりするから

でもコメント寄せていただいたりとか、DMで来たりとかは見させていただいてます。

Q4 いつも笑顔に癒やされます。

認知症のお母様や家族と過ごす時心の持ちよう、態度など心がけていることはありますか?

にしおか:良いか悪いかわからないですけど、「ダメ」とは言わないようにしてます。母と一緒に暮らしていると危なっかしいことは多々出てくるんですね。でもそれをいちいち「あれやっちゃだめ、これやっちゃだめ」って、私が不安だということで、母の残りの人生の行動範囲を狭めるのはどうかなあと思って。

例えばそれで、どこかに行ってしまって迷子になったり、怪我をしたり、亡くなっちゃったとしても、私は後悔しますけど、でも私の後悔のために本人の人生に口出しするのはどうかなあ。本人の人生ですから。行きたい所があれば行けばいいし、好きにしたらいいという気持ちで、放ってます。

あー、でも1個、もう過去の話ですけど、これはどうだったかなあと思い出すことがあって。料理です。私は2020年6月ぐらいに実家に戻ってるんですけど、その時点では母はまだぎりぎり料理は出来てたんですよ。袋麵と野菜を鍋に入れて茹でたりはしてました。でもウチの家は古いしガスなんですね。もし火事になったりしたらと思うと、やっぱり怖くて。

実際、実家に戻ったばかりの、ちょっとしたゴミ屋敷だった頃、台所のガス台の下に真っ黒に焦げた鍋やフライパンやヤカンが突っ込んであったりしたんです。あ、でも鍋は母ですけど、あと2つは酔っ払った父ですね。どっちかっていうとこっちのポンコツのほうがよっぽど危ないですね。でも母には「料理しちゃダメ」とは言いたくないなと思ったんですよ。

それで毎朝食事の作り置きを作って冷蔵庫に入れるようにしたんです。そうしたら母も父も楽な方がいいから、冷蔵庫に入ってるものを取って、レンチンして食べてくれるようになったんですよね。でもこれって結局「料理はダメ」とは言ってないけど、させないように誘導したってことじゃないですか。うーん、これってどうなのかなあと思ったりです。

――お母さまは、火を使いたい、料理をしたいとていうわけではないですよね。やりたい事をダメだというのと、やらなきゃいけないからやっていたのをやらないでいいようにしたののは違います。つまり世の母親だって自分の分だけなら適当でいいという人もいるわけです。それはにしおかさんにいう「ダメと言わない」ことに矛盾しているわけではないのではないでしょうか。

にしおか:だといいんですけど……。まだできていたものをやらないように仕向けちゃったなあって。でも過去のことをあれこれ思ってもどうにもならないから、すぐ気持ちを切り替えますけど、極たまに思い出しちゃう。でもやっぱり火事は怖いから、いいんです。我が家はこうしました。

◇通常の連載は10月20日に公開予定です。

「認知症の母、ダウン症の姉…施設を頼らないのはなぜ?」にしおかすみこの答え