人気ゲーム「フォートナイト」などで知られるEpic Gamesが、同社製のゲームエンジンで開発したゲームをEpic Games Storeでリリースした場合におけるゲームエンジンのロイヤリティを、5%から3.5%に引き下げることを発表しました。ロイヤリティの引き下げは、リリース初日からEpic Games Storeでゲームを配信することなどが条件となっています。

Epic is trying to sweeten the deal to use Unreal Engine and the Epic Games Store - The Verge

https://www.theverge.com/2024/10/1/24258723/epic-games-store-unreal-engine-launch-everywhere-royalty

Unreal Engineの公式X(旧Twitter)アカウントは2024年10月2日に、「先日発表した『Launch Everywhere with Epic』により、2025年1月1日からEpic Games StoreでPCやAndroidなど他のストアと同時にゲームを発売する場合、Unreal Engineのロイヤリティが5%から3.5%に引き下げられます」と告知しました。



1.5%分の差額のインパクトについて、IT系ニュースサイトのThe Vergeは「このロイヤリティの減額は、ゲームタイトルが販売されるすべての媒体での収益を対象としているため、ゲーム開発者がマルチプラットフォームで展開したゲームが大ヒットになった場合、ロイヤリティ引き下げにより多額の追加収入が得られる可能性があります」と述べました。

ゲームやアプリの配信ストアの在り方を巡ってGoogleやAppleと激しく対立しているEpic Gamesは、特に両社のプラットフォームが開発者から徴収している30%の手数料、いわゆる「Apple税」や「Google税」が高すぎると強く非難しています。

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一方、Epic Gamesが運営するEpic Games Storeでは、手数料を12%と低く抑えて収益の88%を開発者に還元する「88対12」の原則が設けられており、これはPC向けのゲーム配信ストア大手のSteamが設定している30%の手数料に比べてゲーム開発者にとって有利です。

また、リリースから6カ月間独占配信した際の分配率を88%から100%にする「Epic First Run」というプログラムもあります。

ただし、今回発表されたインセンティブには条件がいくつか存在します。まず、ゲーム開発者がUnreal Engineのロイヤリティ引き下げの適用を受けるには、ゲームがリリース初日からEpic Games Storeで配信される必要があります。

競合ストアでのゲームの販売は禁止されていませんが、PCやAndroidでリリースしたゲームをEpic Games Storeで提供しなかった場合は、ロイヤリティが5%に戻ります。



なお、Epic GamesはAppleがサードパーティーのアプリストアで配信されるアプリに課している「コアテクノロジー料」を理由に、iOS向けゲームに対する同時リリース要件を免除しています。

The Vergeは「Epic Gamesは既に、同社が支払い処理を行うEpic Games Storeでの売上でUnreal Engineのロイヤリティを免除しており、開発者からするとEpic Games Storeでゲームを提供する際の特典がまたひとつ増えたことになります。今回のロイヤリティの減額は、インストール数に応じて課金される『Runtime Fee』でUnityへの信頼を失った開発者の目にも魅力的に映るでしょう」と述べました。

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