今あるもので料理する、アルモンデ料理家の即興料理パーティに参加してきた!

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「いま家にアルモンデ」「季節にアルモンデ」、手早く料理するアイデアを教えてくれるのが、アルモンデ料理家の大塚佑子さん

料理教室を開いて10年の記念のパーティに、スープ作家・有賀薫さんと、生徒さんたちが集まりました。

その日届いた野菜を中心にどんどんメニューを決めていき、2時間で、なんと12品の料理が出来上がり!

そのレシピと共に、アルモンデ料理の魅力を3回連続でお伝えします。

料理に名前はなくてもいい!?

たくさんの野菜と調味料が用意されたキッチンに、ゲストが次々集まります。

料理教室に何回か参加したことのある皆さんです。

「素材を見てから、作るものを考える。この流れが自然にできるようになったのは本当によかったです。以前はやはり、コレを作りたいのにアレがない、というところで悩んでしまうことが多かったので」と生徒さん。

普通の料理教室だと、その日何を作るかは決まっていますが、「アルモンデ料理」は言ってみれば即興料理。食材を見て皆でメニューを決め、参加者全員で作っていくユニークなスタイルです。

アルモンデ料理の基本は、なんといっても野菜。

「今回は、埼玉県小川町の風の丘ファームの野菜と、長野市の樹木の野菜を使います。農家さんからは、毎回いろいろな種類の野菜が送られてくるので、箱を開けるのが本当に楽しみ。身近なスーパーにもさまざまな種類の野菜がありますよね。何を作ろう?と悩んだ時は、最初に目に止まった野菜や、お店の一番良いところに置いてある野菜を今日のメインにする!と決めてしまいましょう」

「旬の野菜は安くて美味しい。肉や魚に比べると日持ちもします。メインの野菜をまず決めて、何を組み合わせるかを考えます。野菜同士の組み合わせでも、肉や魚を合わせても。その次に調理法、味付けと順番に決めていきます」と大塚さん。

名もない料理でいいんです。むしろ、それがいいって思えると、柔軟な発想ができますよ」

この日はパーティを意識してメニューを決め、さっそく皆で調理開始。

野菜だけで12品、しかも限られた時間で、作れるのでしょうか?!

まずは、材料は最小限、味付けも塩だけという、超シンプルな料理から始めましょう。

揚げないフライドポテト のり塩味

「じゃがいもはキタアカリ。スーパーでもよく見かけますね。黄色い色となめらかな食感が特徴。シンプルにポテトフライにすると美味しいですが、今日はオーブンを使って焼き上げます。コンロをふさがないで済むので、同時にいろんな料理が並行して作れてパーティにはぴったり。ポイントは、手で割ってギザギザの面を作ること。包丁で切るのとは全然味が違います」

<材料>

じゃがいも(この日はきたあかり)/オリーブオイル/塩/青のり

<作り方>

【1】じゃがいもは汚れをよく洗い、皮付きのまま水から茹でる。沸騰するまでは中火、沸騰後は水面がゆらゆら揺れるくらいの火加減で、竹串がスッと通るまで茹でる。

【2】粗熱が取れたら、包丁で少し切り込みを入れて、そこから手で食べやすい大きさに割る。小さすぎない方が美味しい。

【3】オーブンシートを敷いた耐熱プレートにじゃがいもを乗せ、オリーブオイルをたっぷり回しかけて、オーブンの一番高い温度で30分ほど焼く。

【4】表面がカリカリになったら出来上がり。熱いうちに塩と青のりをふって召し上がれ。

▼アルモンデ、ここが大切

※ホクホク系のじゃがいも(男爵やきたあかり、インカのめざめなど)がおすすめ。

※オイルはお好みのもので。多すぎる?くらいの量をかけてください。

※青のりがなければこしょうでも、カレー粉や粉チーズなどをかけても美味しいです。

丸ごとズッキーニのグリル

「皆さん、ズッキーニはどうやって料理していますか。私のおすすめは丸ごと焼き。ちょっと驚きの美味しさですよ。オーブン任せの焼くだけ料理は、楽ちんですし、同時にコンロで別の料理も作れます。ぜひチャレンジして欲しいです。これからの季節は、葉を落としたかぶを丸ごと焼くのも美味しい。オーブントースターでもできますよ」

<材料>

ズッキーニ/菜種油(好みの油で)/塩

<作り方>

【1】ズッキーニは洗って水分をしっかり拭き取る。手のひらにお好みの油を広げ、皮全体に油を馴染ませるようにぬる。

【2】220℃のオーブンで40分焼く。表面に焼き色がつき、少し皮にシワが寄ったら出来上がりのサイン。お好みで塩や辛子醤油などをつけて召し上がれ。

▼アルモンデ、ここが大切

※油はお好きなもので。手のひらで馴染ませるようにぬるときれいに焼けます。

※仕上げにとろけるチーズなどをのせて焼いても美味しいです。

大豆のフムス

「ワインに合うメニュー。本来のフムスはひよこ豆でつくりますが、大豆でも小豆でも豆ならなんでもできます。ニンニクとレモン汁が味のポイント。今回は乾燥豆を茹でたものを使いました。缶詰の茹で豆でもできますが、自宅で茹でた豆でつくると別物の美味しさになるので、ぜひチャレンジして欲しいです。乾燥豆は一袋分をまとめて茹でて、小分けにして冷凍しておくといつでも気軽に使えて便利です」

<材料>

茹で大豆/タヒニ(練りごま)/ニンニク/レモン果汁/塩/オリーブオイル

<作り方>

【1】大豆を茹でる場合→乾燥大豆はよく洗い丸1日浸水する。しっかり豆がふくらんだらサラダで食べるには柔らかすぎるくらいに茹でる。

茹で豆をハンドミキサーかフードプロセッサー、もしくはフォークなどでペーストにする。

【2】ボウル一杯くらいのペーストに対して、タヒニを大さじ3くらい、すりおろしニンニク大さじ1くらいを加えてよく練り混ぜる。レモン果汁を少しずつ加えながら、お好みの柔らかさに調整し、塩で味を調える。

【3】食べる前にオリーブオイルをまわしかけて出来上がり。

▼アルモンデ、ここが大切

※大豆の茹で方はネット上にたくさん紹介されていますので、そちらを参考にしてください。

※ひよこ豆や大豆の缶詰でもできますが、市販の茹で豆は硬めです。ハンドミキサー等でしっかりペーストにしてから、タヒニを多めに加えると、ねっとりと仕上げることができます。

※タヒニは生ごまの練り胡麻ですが、一般的な練り胡麻(煎り練り胡麻)でももちろんOKです。

ゴルゴンゾーラとプルーンのスナック

「チーズとドライフルーツの組み合わせはワインにぴったりですね。カマンベールチーズやモッツァレラなど、他のチーズでも。味付けもいらないので手早く作って、パーティメニューに加えましょう」

<材料>

ゴルゴンゾーラチーズ/プルーン/餃子の皮/油

<作り方>

【1】ゴルゴンゾーラとプルーンは食べやすい大きさにちぎっておく。

【2】餃子の皮の手前に【1】を好みの量のせて、海苔巻きを作るようにくるくる巻いて、最後を水で止める。

【3】フライパンに油を少し多めに入れて、【2】を重ならないように並べ入れ、転がしながら皮に色がつくまで焼いたら出来上がり。

▼アルモンデ、ここが大切

※熱を加えるとトロッと溶け出てしまう、モッツァレラやとろけるチーズで作る場合は普通の餃子のように具材を皮でしっかり包んで焼くと良いです。

※塩気が少ないチーズの場合は、食べる前に塩をふりかけると甘さとしょっぱさのハーモニーを楽しむことができます。

※ドライフルーツは甘酸っぱいものならなんでも合います。ソフトイチヂクやレーズンもおすすめです。

アルモンデの極意

「揚げないフライドポテト」や、「丸ごとズッキーニのグリル」など単品の野菜でも、調理法で新しさが出せますね。

「そうなんです。ズッキーニがまだ残っているけど昨日も食べたしなあ、ということはよくありますよね。そういうときこそ、違う調理法を試してみる。同じ野菜でも、焼く、煮る、蒸すなど、調理法を変えると、新たなおいしさに出会えます

組み合わせを考えるのはちょっと難しそうですが。

基本、色の似たものは合います。大根と白菜、きゅうりとピーマン、きのことごぼうなど。似た色のものは旬の時期が同じものも多いので、季節ごとにアルモンデ組み合わせてみてください」

味付けは最後にすればいいのでしょうか。

「料理本を見ると、Aの調味料をすべて合わせておく、という記述がよく出てきますが、最初に全て合わせてしまうと、どれがどれくらい足りないのか多いのかがわかりづらいので、調味料はひとつずつ順番に足していくこと。そのほうが、味を調節しやすいです。何より大切なのは、味見をしながら料理すること。好みの味でいいと言っても、味付けの順番はありますから、それはきちんとお伝えしたいです」

*2回目は「スープ作家・有賀薫さんもおススメ。アルモンデ料理のコツ」をお届けします。

text by Keiko Hirose

長〜い「マー坊ナス」は、ユニークな形を生かして、クミン風味のコロコロ炒めに。