じつは「デジタル・アンプ」の高音質化が凄まじい勢いで進んでいる…劇的に進行している高級オーディオの「衝撃の小型化」

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類稀なる高音質で、話題になったネットオーディオ。しかし、割高な価格とダウンロードのわずらわしさから一部のマニアにしか支持されませんでしたが、高音質定額制配信サービスの出現で、大きく変わろうとしています。

ベテランと言われるオーディオ愛好家の中にも、CDやレコードなどの「パッケージメディア(パッケージ音源)」によるオーディオなら知識も経験もあるが、ネットワークが重要になった最近のオーディオに関しては、専門用語の意味もわかりにくいと感じている人もいるかと思います。

はじめてネットオーディオに挑戦するオーディオファンや音楽ファンを対象に、機材の選び方、高音質ストリーミングのセッティング、煩わしいネットの設定などなど、聴き放題の“1億曲ライブラリー”を手にするノウハウをご紹介しましょう。今回は、進むオーディオ機器の小型化について取り上げます。

※この記事は、『ネットオーディオのすすめ 高音質定額制配信を楽しもう』の内容を再構成・再編集してお届けします。

再生機器のバリエーションの広がりと小型化

音楽メディアの形態が変わると再生機器も影響を受け、オーディオシステムの構成も変わります。従来の家庭用オーディオはディスクプレーヤー、アンプ、スピーカーという3つの機器でシステムを構成することが基本でしたが、ネットワーク再生にはモーターやピックアップなどのメカニズムが不要で、小規模な回路だけで作ることができます。

その長所を活かして、プレーヤー本体を小型化する動きが加速し、プレーヤーのサイズに合わせてアンプやスピーカーにもダウンサイジングの波が押し寄せました。さらにネットオーディオ機能をアンプやスピーカーに内蔵して、コンポーネントの基本機能を統合する動きも加速しています。

まずは小型化ですが、最近のアンプやスピーカーは横幅30cm以内のコンパクトな製品が増えています。小型プリメインアンプやスリムなスピーカーは、奥行きが短いのでテレビ用ラックや薄型の家具にも収納でき、生活空間に溶け込みやすくなっています。

さらに横幅や奥行きを20cm程度に小型化し、机の上に置いても邪魔にならない「デスクトップオーディオ」と呼ばれる小型システムも人気があります。かなり昔、ミニコンポと呼ばれるオーディオが爆発的に売れたことがありますが、デスクトップオーディオに相当する現代のコンポーネントはさらに小型化が進み、しかも中身は大幅に進化しています。

意味のあった「大きさや重さ」

ところで「アンプやスピーカーの音質は、大きさや重さと密接な関係がある」というのが、これまでのオーディオの常識でした。小型化するとアンプの駆動力やスピーカーの低音再生能力が犠牲になってしまうとされていて、実際にその常識はいまでも多くの場合は正しいと言えるでしょう。

アンプは十分な電源容量や放熱性能を確保しないと、安定した性能を実現するのが難しく、スピーカーはキャビネットの内容積に余裕がないと、低音の音圧や周波数範囲

が制約されてしまうためです。プレーヤーは小型化できても、アンプやスピーカーの小型化には限界があるのです。

サイズの制約を克服する技術

しかし、その常識が最近は少しずつ変化しています。サイズの制約を克服する技術的な進化が起こり、小型でも優れたスピーカー駆動力を備えたアンプ、コンパクトなのに豊かな低音を再生するスピーカーが続々と登場しています。

特にアンプは、従来は用途を限定して使われていた「デジタルアンプ」(クラスDアンプ)の高音質化が進み、高級オーディオを手がけるメーカーが積極的に導入する例も増えてきました。

またスピーカーも、コンピューターを用いたシミュレーションや高度な測定技術を開発環境に導入することで、21世紀に入ってから性能が飛躍的に向上し、小型スピーカーは十分な低音再生ができないという常識は通用しなくなっています。

小規模な回路で構成できるネットオーディオの機能を活かすもう一つの流れとして注目したいのが、複数の機能を統合する一体型オーディオへの志向です。とかく、機能ごとに独立したコンポーネントを組み合わせたシステムが高級志向と目されるオーディオの世界ですが、あらたな展開が見られるようになってきました。続いては、一体型オーディオの新しい動きについてご紹介しましょう。

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ご紹介したように、次回は、一体型オーディオの新しい展開についてご紹介します。

ネットオーディオのすすめ 高音質定額制配信を楽しもう

CDをはるかに凌駕する音質で、話題になったネットオーディオ。初めてネットオーディオに挑戦するオーディオファン・音楽ファンを対象に機材の選び方から、煩わしいネットの設定まで具体的に分かりやすく解説します。

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