テイラー・スウィフトが支持しても、ハリスが盛り上がらないのはなぜ?

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「スウィフトのハリス支持はほとんど影響なし」

歌姫テイラー・スウィフトは、9月10日夜に実施された米大統領選のカマラ・ハリスとドナルド・トランプ両候補の討論後、ハリス候補への支持を、インスタグラム(下)で表明した。日本でも人気の高い彼女の政治的声明は、ハリス候補を有利にするものとして報道された。

しかし、実際に調べてみると、「スウィフトのハリス支持はほとんど影響なし」であることがわかった。民主党支持が多いスターの発言に影響されているのは、大統領選に無関係の外国人だけかもしれない。

スウィフト騒動

絶大な影響力をもつスウィフトをめぐって、大統領選にかかわる騒動が巻き起こっていた。8月19日、トランプ前大統領は、スウィフトのファンが自身のキャンペーンを支援していると偽って、人工知能(AI)で生成された画像を共有したのである。

トゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿(下)で、トランプは、トランプを応援するスウィフトファンを意味する「スウィフティー・フォー・トランプ」(Swifties for Trump)Tシャツを着た若い女性たちが多数写っていると主張するX上の四つの投稿のスクリーンショットを共有し、「賛成だ」(I accept!)とキャプションをつけた。

よく見ると、左上のスクリーンショットでは、セキュリティ上の懸念からスウィフトがウィーンでのコンサートをキャンセルしたことを受け(オーストリア政府当局がスタジアムでのテロ攻撃を企てた疑いのある2名の逮捕を発表したため、コンサートは8月7日にキャンセルされた)、スウィフティーたちがいま、トランプを支援しているとの主張が示されている。左下の画像には「テイラーはドナルド・トランプに投票してほしいと思っている」という文言が含まれていた。

トランプが共有したスクリーンショットの一つは、30万人以上のフォロワーを持つ匿名のトランプ支持アカウントのもので、このアカウントは定期的にAI生成画像を投稿してきた。つまり、トランプは、AIが生成したテイラー・スウィフト・ファンが自分を支持している写真を投稿して、人々を騙そうとしているように見受けられる。

スウィフト自身は、2020年にはジョー・バイデン大統領を支持した。また、彼女はトランプ氏を強く批判してきた。2020年、ジョージ・フロイドを支援する「ブラック・ライブズ・マター」(黒人の命も大切だ)の抗議運動を受けて、トランプが「略奪が始まれば、発砲が始まる」という悪名高いコメントを発したことから、彼女は、トランプが「白人至上主義と人種差別を煽(あお)り立ててきた」にもかかわらず、「道徳的優越性を装う厚かましさ」をもっていると非難していた。

こんな彼女だから、最初に紹介したインスタグラムのなかで、こう記した。

「最近、私のAIがドナルド・トランプの大統領選出馬を不当に支持している投稿が、彼のサイトに掲載されていることを知った。AIに対する私の不安と、誤った情報の拡散の危険性を強く感じた」

そのうえで、「私は2024年の大統領選挙で、カマラ・ハリスとティム・ウォルツに投票するつもりだ」と明言している。

世論調査は彼女の影響力を否定

しかし、スウィフトの影響力は、実は、それほど大きくはない。「テイラー・スウィフトがハリス氏を支持したことによる影響はほとんどみられないことが、世論調査で明らかになった」と、ABCニュースは伝えている。同調査は、9月11日から13日にかけて、イプソス・ナレッジパネルを通じて、英語とスペイン語で、全国の成人3276人の無作為標本に対してオンラインで実施された。

それによると、スウィフトがハリスを支持しているから、彼女に投票する可能性が高くなったと答えたのは、わずか6%だった。一方、彼女を支持する可能性が低くなったと答えたのは13%で、81%は何も変わらないと答えた。なお、否定的な回答をしたのは圧倒的にトランプ支持者だったという。

さらに興味深い分析もある。若い女性はハリスにとって重要であるが、「スウィフトの支持表明は、このグループでもプラスの影響を与えていない」というのだ。30歳未満の女性の8%が、「支持表明によりハリスを支持する可能性が高まった」と回答しているが、13%は「可能性が低くなった」と回答している。大半の78%は、「違いはない」と回答している。

このように、実は、民主党支持の多い主要マスメディアは、こぞってスウィフトのハリス支持表明を報道したが、その影響は多くの人が考えるほど大きくはないというのが「真実」に近いように思われる。

懲りない民主党の「スター」利用

そうでありながら、民主党は有名人やスターの利用をつづけている。9月19日には、多くの市民の投票登録を促すことを期待して開催されたフォーラム「Unite for America」の会場にハリスが登場し、俳優、テレビ番組の司会者兼プロデューサーで有名なオプラ・ウィンフリーが司会を務めた。オスカー女優メリル・ストリープもゲスト参加した(下)。

有名人の支持を集めるハリスは人気を得ているから、それがハリス票拡大につながるだろうと、外国人には思えるかもしれない。しかし、「スターは有権者を活性化させることはできるが、政治的嗜好に直接影響を与えることはそれほど多くない」とみなすのが、より現実に近いのではないか。トランプ支持のスターが極端に少ないのは事実だが、それがトランプの妨げになるとは考えにくい。

思い出すべきは、2016年の大統領選において、映画、音楽、芸術のスターの絶対的多数が、当時の民主党候補であったヒラリー・クリントン元米国務長官をおおむね支持したことだ。しかし、投票結果をみると、トランプの勝利を妨げることはなかったのである。

重要なのは、主要メディアやスターが、民主党を支援しているのはなぜかということである。結局、彼らは大衆受けがすべてのエンターテインメント産業の一員であり、大衆迎合ないし大衆操作のためにテレビや映画を利用しているだけではないのか。あるいは、ユダヤ系資本によって、そのカネを出している産業を維持・発展させるために、ユダヤ系の金持ちが有名人やメディアを使って民主党を利用しているのではないか。こんな疑いが湧いてくる。

そんな米国の事情を知らない外国人は、有名人のハリス支持に騙されかねないのである。

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