【鈴木 譲仁】元「関東連合」見立真一も合流か…「犯罪者の天国」カンボジアに群がる日本裏社会の住人ら…その腐敗の限りを尽くした闇底

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相次ぐ窃盗事件の犯人

今年7月、福島県警は太陽光発電施設から銅線ケーブルを窃盗した容疑でカンボジア人の男3人を逮捕した。被害は約1340万円相当。技能実習生として来日した彼らは他にも静岡県でも同様の犯行の容疑を認めているという。昨年12月に茨城県小美玉市の発電所内で550万円相当の銅線ケーブルを盗み逮捕されたカンボジア人のWは「群馬や茨城、栃木、千葉などで100件以上窃盗を繰り返した」と豪語した。いま同様の犯罪が北関東を中心に一気に急増し、群馬県だけでも前年の8倍、1102件の被害が報告されている。

多くは技能実習生として来日し、SNSを通じて初めて知り合ってお互いの名前も知らずに合流し犯行を繰り返す。数人単位のグループがどんどんネットで仲間を募り、さらに枝分かれして増えていく。「知っているだけでそう言う奴が100人以上はいる」とWは言う。これは在日外国人たちの「トクリュウ化」ともいえる現象だ。

警察庁は今年の上半期の同様の銅線窃盗件数は4161件と公表し、犯行の多くは在日外国人でその半数をカンボジア人が占めるという。窃盗した銅線を買い取る業者も、完成品ではない切断された銅線は古物商営業法の規制対象にはならないので、簡単な身分確認で済ませる事ができる。窃盗品の疑いを黙認している外国人が経営する買取業者も急速に増えエリアも北関東から東北、さらに関西へと広がりを見せ始めた。岩手県警では逮捕したカンボジア人に対する通訳が不足し、クメール語の通訳を公募中だという。

ついに日本のカンボジア大使館も日本在住カンボジア人実習生や労働者に対し「窃盗や違法行為、犯罪行為に誘われても犯罪を引き起こさないように」と呼びかけた。自国民に海外での犯罪行為に遭遇しないように、という注意喚起ではなく、「しないように」という通達だ。実はこの通達の裏には、カンボジアでの犯罪に対する「異様な感覚」の実態が明確に現れている。決して近年問題化している警察の「レイシャル・プロファイリング」(人種や外国人というだけで捜査対象にする)ではない。カンボジアという国の犯罪に対する司法制度や国家体制の問題なのだ。

年に4,5回はカンボジアから日本に雑貨や化粧品の買い付けに来る、というサット氏(仮名)はプノンペン郊外出身の元警察官だ。昨年、定年退職したが、現役時代からもずっと毎年、日本とカンボジアを行き来してきた。実は彼は20年以上前の現役の時代から並行して貿易会社も経営している。

カンボジアでは警察官は普通に並行して会社を経営していたり色々な店をやっていたりします。もちろん法律上も規則上も原則駄目なのですが、ほとんどの警察官が上司も部下もオープンにやっていて、誰にも咎められない。私も妻名義の会社を作って警察勤務中に自分のオフィスに行って仕事をしていましたよ」と新橋の居酒屋で笑いながら話してくれた。彼はカンボジアの国家警察犯罪捜査局の元副局長、つまり日本の警部補クラスにあたる中堅のバリバリの元警察官だ。まさに、日本人の感覚では「ほんと?信じられない」と誰もが驚くだろう。警察の捜査情報や個人情報が勝手に私的に利用されてしまうリスクを監督官庁、日本で言えば法務省や警察庁はどう管理しているのか。果たしてそんな警察の実態でまともに犯罪を取り締まれるのだろうか。

実はいま、このカンボジアは様々な海外からの犯罪組織の拠点として、闇にまぎれた地下経済を急速に膨張させている。リゾート地・シアヌークビルで大規模な日本人反社グループによる特殊詐欺拠点の摘発があったのも記憶に新しいだろう。しかし、これはあくまで氷山の一角にしか過ぎない。

今年2月、「2023年度世界腐敗指数ランキング」をNGO団体:トランスペアレンシーインターナショナルが発表した。政府関係者の賄賂や権力の乱用、縁故主義、利益相反防止や情報開示などに向けた法制度の有無などの細かな基準に基づき、国家の腐敗度を0〜100で指数化したものだ。これによるとカンボジアは世界180か国中、158位と最下位グループに位置している。バングラデシュよりも下でアフガニスタンより僅か2ポイント上の位置だ。

腐敗するカンボジアの司法制度

しかし、日本人に親しみがあるタイに隣接しアジアでも人気のアンコールワット遺跡をはじめ多くの観光地を訪れる人も多く、距離的にも、仏教国という文化的にもカンボジアは日本人にとってはバングラデシュやアフガニスタンなどより遥かに親しみやすいイメージを持っている。米軍が撤退しタリバンが政権を握るアフガニスタンを危険に感じてもカンボジアを危険に感じる日本人はあまりいないのではないだろうか。腐敗指数も「まだ発展途上のアジアの国だからしょうがないだろう」という寛容な発想を持つかもしれない。しかし、それではその危険度を理解するのは到底不可能なのだ。想像を逸する腐敗構造を「治安のいい日本とは無関係のアジアの小国の話」として見過ごすわけにもいかないのだ。

あるプノンペンの現職警部のチャン氏(仮名)は警察仕事と同時に日本語学校とカンボジア人の技能実習生を日本に送り出す会社を経営している。しかし、彼はまったく無実の人間を捕まえては賄賂を取って釈放させる「常習犯」としても悪名高い警察官という裏の顔を持っている。現地で働く日本人が何人も犠牲になっている。逮捕状もないのに言いがかりをつけては捕まえ、賄賂をゆする。こんな人物が送り込む「研修生」は果たして日本で何を研修し、犯罪に対してどんな倫理観を持って暮らすのだろか。

プノンペンで弁護士事務所を営むカンリムさん(34歳・仮名)はアメリカの大学を出て弁護士資格を取得、5年前に母国に戻ったキャリアウーマンだ。彼女は外資系企業の顧問弁護士をメインの仕事にしているが、知られざるカンボジアの司法制度の腐敗について、その実態を赤裸々に語ってくれた。

「まず、この国の司法制度はすべて賄賂で成り立っています。100%腐敗している、と言って過言ではないでしょう。下は街場の警官から上は法務大臣まで賄賂で動くからです。例えばある会社や店が競合を潰したい時、警察に金を払えば平気で無実の人を捕まえる。狙った会社や店、自宅のトイレに警官が麻薬を流したり隠しておいて、社長を逮捕する、なんて日常的に行われています。この程度だと相場は3000ドル位からですね」

あまりにあっけらかんと言われると、笑い話かな、と思うがこれは紛れもない事実だ。これで簡単に懲役刑になってしまうと思うと恐ろしい。しかも裁判になるとさらに賄賂が要求されるという。「刑事や民事の裁判は判事が普通に賄賂を要求してくる。例えば借金をしても返済せずに揉めたら裁判官に賄賂を払えば「契約詐欺」として相手を訴え捕まえられる。しかも裁判官は金額を上乗せすれば判決をすぐに変える。どんな案件も、まさに「判決オークション」の様に相手より多くの金額を払えば無罪にもなるし、逆に相手が上乗せすれば有罪にもなる。最後はお金のない人間が有罪になるのです。最終的に何十万ドルになる場合もある。悲観して自殺した人間も多いですね」

犯罪者の天国

殺人事件なども、決定的な証拠のある事件は別として賄賂で判決が動くという。まして政治的案件などは司法の裁きは全く期待できない。フンセンファミリーの汚職を追及したジャーナリストは何人も殺され闇に葬られている。

「過去には不動産会社を営んでいる裁判官が日本企業と揉めて自ら判決を下して3億円取った例もあります。すべて現金取引で事務官や弁護士が間に入って金額を言ってくる。裁判官や弁護士は無税なので絶対追及されない。因みにカンボジアでは弁護士になるにも賄賂が必要で司法試験と別に私も3万ドル払いました。いま相場は4万ドルですよ」

まさにまともに働く人間には地獄でも闇の犯罪者にとっては天国のような「犯罪王国・カンボジア」。その裏の顔は想像以上に根深く汚染されているのだ。

当然その「犯罪王国・カンボジア」には日本の裏社会の人間たちもハイエナの群れのごとく集まってくる。「六本木クラブフラワー事件」の殺人容疑で国際指名手配中の元関東連合見立真一カンボジアを拠点にしてアジアを移動している、と噂され、先月、目撃情報が流れた。見立の右腕で六本木フラワーの元オーナーIや、シアヌークビルの特殊詐欺事件摘発後、すぐに行方をくらました見立の子分のTもカンボジアの裏社会を確実に支配している。さらに彼らはアジア各国を自由に移動し新たな国際犯罪ネットワークを産み出し日本の金を吸い上げようとしているのだ。

次回記事『まさか「習近平大通り」が出現… 中国に完全支配された「ヤバすぎるカンボジア経済」の現実と、“謎の新興中華系マフィアP”が襲う「恐ろしい悲劇」…!』に続く。

まさか「習近平大通り」が出現… 中国に完全支配された「ヤバすぎるカンボジア経済」の現実と、“謎の新興中華系マフィアP”が襲う「恐ろしい悲劇」…!