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ネコの目はやっぱり暗闇で優秀!

韓国・光州科学技術院のYoung Min Song教授率いる複数の大学の研究チームが、ネコの視覚からインスピレーションを得て、暗い条件下で画像を捉え、カモフラージュも透視できる暗視カメラを開発しました。この技術は、今後軍事ドローンへの使用など、幅広く応用できるようになりそうです。

光の吸収がすごいネコの目

ネコを飼っている人はもちろん、動画などで見たことがある人も多いと思いますが、ネコの目は暗闇で光ります。これは光を反射するタペタム・ルシダムと呼ばれる構造によって起こります。網膜は直接当たる光を吸収できますが、タペタム・ルシダムは反射された光も吸収することができるので、ネコは夜間視力が高いのです。

Credit: Min Su Kim et al., 2024, Science Advances

瞳孔にも特徴あり

あともう1つ、ネコ科動物にはおもしろい目の特徴があります。

縦長の瞳孔です。待ち伏せをして捕食する小型動物に共通する瞳孔の形なんです。縦長の瞳孔では奥行き知覚が向上し、背景の視覚的な乱雑さをフィルタリングできるため、飛びつきたい物体に高精細な焦点を合わせることができます。この2つの特徴のおかげで、ネコはカモフラージュされていても獲物をしっかりと見ることができるのです。

ネコの目の構造を暗視カメラで再現するために、Song教授チームは縦型のカメラ開口部を製作し、銀の反射板を備えたシリコン光検出器アレイと組み合わせ、タペタム・ルシダムの2段階の光吸収をシミュレーションしました。

Science Advances誌に掲載された研究で説明されているように、研究チームは線の模様で隠された、ねずみの形をした物体を様々な距離から装置し撮影してテストしました。すると、やはりこのレンズは、カモフラージュがあってもねずみの形を識別することができたそうです。

研究の中でSong教授は、ネコの目カメラにはいくつかの制限があることを認めています。人工的に作られた画像センサーは、ネコが持つものほど鋭敏ではないこと。また、ネコのスリット状の瞳孔を模倣することの欠点は、視野が狭くなることです。

この解決策としては、このカメラを装着するデバイスをネコの視覚システムだけでなく、頭部と肩の筋肉も模倣すること。そうすれば、ネコの動きをより完全に再現できるとチームは語っています。

他の動物の目の特徴を模倣したカメラ

新しいカメラのコンセプトのインスピレーションになっているのはネコだけではありません。研究の中で述べているように、他にもエレファントノーズフィッシュ、コウイカ、そして複雑な視覚を持つといわれるシャコの目を基にしたレンズが提案、開発されています。しかし、暗い条件下では、ネコの目が最も有望で幅広い用途があるとのことです。

「我々の人工視覚システムは、人間に代わるモバイルロボットを、いろいろな非従来型のロボットアプリケーションに簡単に展開できる可能性を持っています。代表的な例には、無人車両、監視ロボット、軍事用ドローンが含まれます」と研究チームは述べています。

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