デブリ取り出し装置の引き戻し作業開始…先端カメラの映像確認できない原因調査、中断は長期化

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 東京電力は23日、福島第一原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)の取り出し装置を、原子炉格納容器外に引き戻す作業を始めた。

 装置先端部に付けたカメラの映像が確認できない原因を調べる。取り出し着手前の段階に戻ることになり、中断の長期化は避けがたい状況だ。

 装置は釣りざおのような形状で、過去に2号機内部でのカメラ撮影で実績があり、今回採用された。格納容器内は放射線量が極めて高いため、原子炉建屋外から遠隔で操作し、カメラの中継映像を見ながら装置先端の爪状の器具でデブリをつかむ予定だった。東電は10日に作業に着手し、14日には爪がデブリに触れた。

 装置に付けた4台のカメラのうち、先端部の2台が映らなくなる不具合が17日に判明した。装置に内蔵されたケーブルの映像信号などを調べてきたが、原因を特定できないため、装置を原子炉外に戻すことにした。

 装置は23日から4日程度かけて、格納容器の外側にある「隔離箱」に移す。距離は8メートル以上あり、23日は3・5メートル移動した。隔離箱は金属製で、作業中に格納容器内の気体を外部に漏らさないために設置されており、中にある複数のカメラで、装置先端部のカメラの外観を確認する。

 カメラは高線量でも耐えられる設計だが、東電は故障した可能性もあるとみている。交換が必要な場合、装置ごと隔離箱の外に出すことになるため、中断が長期化するのは必至だ。

 原発事故では1〜3号機の核燃料が溶け落ち炉内の構造物と混ざって固まり、推計約880トンのデブリが発生した。政府・東電が2051年までの完了を目指している廃炉作業においてデブリ取り出しは最難関とされる。