能登豪雨 空から見た甚大被害 地震復興に追い打ち 仮設住宅が床上浸水「心折れた」

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 石川県の能登地方でこの週末記録的な大雨が降り、甚大な被害となっています。能登半島地震からの復興を目指すなかで再び見舞われた災害。住民から落胆の声が聞こえています。

【画像】道路まで押し流された住宅、泥水に覆われる仮設住宅…空から見た甚大被害

■崩れた山…空から見た甚大被害

 22日午後2時ごろ、輪島市で撮影されたドローン映像。能登半島を襲った大雨被害の大きさが分かります。

 山の斜面が大きく崩れた先には、土砂によって押しつぶされた住宅が。

 大量の木が山から流れ込み、住宅が道路まで押し流されてしまっています。

 こちらの住宅は、1階部分が土砂にのみ込まれています。

 さらに、土砂によって電柱が横倒しになり、その先の住宅も、1階部分が埋まっています。

 近くの道路では木が横倒しになり、その先を見てみると、土砂によって道路が寸断されています。その土砂は、数十メートル先まで続いています。

 屋根だけしか見えない住宅。その横には、川が氾濫したのでしょうか。濁流が流れ込んでいます。

 その水の流れをさかのぼって行くと、ガードレールがある橋のような所で、大量の木がたまっているのが確認できます。

■国道は土砂崩れで寸断 仮設住宅も床上浸水

 金沢市方面から輪島市へと抜ける「中屋トンネル」付近。山全体が大きく崩れ、茶色い土砂が大量に流れ出しています。

 入り口は、半分近くが土砂に埋もれ、大きな流木が散乱。その横を濁流が流れていきます。

 トンネルにつながる国道は至る所、土砂崩れで寸断されています。

 山がえぐられ、木々はなぎ倒されています。そして道路を横切るように水も濁流となって流れています。

 道路の両端に並べられた黒い土嚢(どのう)。今年1月に起きた震災の復旧工事が行われていました。

 大きなクレーンが、道路から崖下に滑り落ちています。

 作業員のものでしょうか、木に乗り上げて放置された車。その横には工事用のプレハブも。人影は見当たりません。

 輪島市内の仮設住宅も水に浸かりました。広い敷地内は一面、茶色の泥水に覆われています。

 泥水の中をゆっくり進む軽自動車。くるぶしまであろうかと思われる泥水の中をゆっくり人が歩いています。

 基礎部分だけを残し、流されてしまった家。その横を流れていく濁流。かろうじて残った家にも、おびただしい流木が堆積しています。

 すぐそばにある大破した車は、原形をとどめていません。

 地震で大きな被害が出た珠洲市でも、川沿いの2階建ての家が大きく傾いています。増水した川により、岸は大きく削られ、地盤の半分は川の中に…。

■4人死亡9人不明 孤立状態100カ所以上

 能登半島地震の被災地を襲った記録的な大雨。台風14号が秋雨前線を刺激し、「線状降水帯」が発生。能登地方では、この週末だけで平年の2カ月分以上の雨が一気に降りました。

 一時、最大16の河川が氾濫し、9カ所の仮設住宅が床上浸水。各地で土砂崩れも起き、輪島市などでは100カ所以上で孤立状態となっています。

 この大雨の影響で4人が死亡、9人の行方が分かっていません。

■自宅流され中3娘不明 母とも直前電話

 捜索の様子をじっと見つめる男性。自宅が流され、中学3年生になる娘が行方不明です。

 輪島市久手川町では、塚田川が氾濫。川沿いに建っていた住宅4棟が流され、住民4人と連絡が取れなくなりました。

 住宅が流された場所の氾濫前の景色。手前に見える2棟の建物は崩れ、大量の泥水や土砂が流れ込み、一変しました。

 住宅があった場所からおよそ1キロ下流の場所で、警察と消防による捜索活動が始まりました。

 行方不明者の一人は、喜三翼音さん(14)。家族は外出中で、一人で自宅にいました。

 写真は、先月のお盆に大阪旅行に行った時のものだといいます。

行方不明の娘を待つ喜三鷹也さん
「妻ともう一人の娘が運動会だったので(おととい)午前8時半から9時の間に家を出ているんです。娘一人だけ寝ていた状態で。学校も休みだったので。頭の良い子で、絵が好きで、歌が好きでした。とにかく、どんな形でも見つかってほしいという願いだけです」

 21日10時前に電話で話し、「2階にいなさい」と伝えたのが最後だったといいます。

 母親は、直前まで電話で話していました。

翼音さんの母親
「娘がビデオ通話で周りの景色を映してくれて、今こういう状態やって。怖かったと思います。『高いところに逃げてね』『わかった』と。それが最後ですね」

 見つかったのは89歳男性で、死亡が確認されました。

■相次いだ河川氾濫 映像捉えた被害実態

 輪島市では、5つの河川が相次いで氾濫しました。

 側溝から濁流があふれ出し、道路が冠水。濁流にのみ込まれ、流される車もありました。

 珠洲市では、冠水した道路で車が立ち往生しました。

 トラックが通ると、水は撮影者の元に。しばらくすると、車の半分以上が浸かるほどになりました。

 住宅の一部がはがれ落ち、水に流されていきます。

 さらに、陥没した道路の隙間に車が転落。

撮影者
「走行禁止になってたもんですから、どうしたんだろうと思って車降りてビデオ回しながら行ったら車が落ちてた」

 乗っていた3人は、無事助け出されたといいます

 氾濫した若山川では住宅が傾き、一部が川に浸かってしまっています。

近隣住民
「すごい水が山のほうから流れていて、こっちからずっと川のほうに流れていってて、すごい光景でしたよ」■復旧工事中のトンネル あさって開通が…

 土砂崩れが多発した「中屋トンネル」。能登半島地震の復旧工事を行っていた最中の土砂崩れでした。

 震災で壁が崩落するなどの大きな被害が出たトンネル。

 今月初めに撮影された復旧工事の様子。金沢市方面から輪島市へと抜ける交通の要所のため、少しでも早く開通させるためにと、トンネル内部に四角い小さなトンネルをつくり、25日には一部の車両が通行できる予定でした。

 復旧工事にあたっていた工事関係者と連絡が取れなくなっていましたが22日午後、交通誘導員が救出されました。

救出された交通誘導員
「いつ来てくれるのか、もう一晩ここにおらんといかんのか。全然連絡も取りようないので」
「(Q.お体は特にけがなどは?)大丈夫です、けがはありません。精神的に参っただけです」

 消防によると、トンネル付近で14人を救出。そのうち男性2人の死亡が確認されています。

■土砂崩れ発生 住民およそ20人が避難

 輪島市杉平町では土砂崩れが発生し、住民およそ20人が避難しました。

避難してきた住民
「つきあたり屋根が斜めになってるじゃないですか、あそこの後ろが崩れてきて」
「(Q.まだ危険だから避難する?)そうです、二次避難ということです」

 地震後も山のふもとに家が数軒建っていましたが土砂に押されて傾き、車が折れた木の下敷きになっています。

 傾いた住宅の中には一時80代の男性が取り残され、消防に救助されたといいます。

輪島市杉平町 宮坂雅之区長
「今は救急車で運ばれたけど、意識はあるっていうから。地震の後に半壊したけど、全壊だねこれは」

 さらに、避難用の緊急車両の先でも。

 前日に起きたという土砂崩れ。大量の土砂や木が道を塞ぎ、通行ができなくなっていました。

宮坂区長
「雨が土砂降りの時になんか逃げられるわけがない。滝のように、滝つぼにいるみたいにたたかれる」
「(Q.滝つぼにいるように?)そう。だからあんなもん歩けない」■自宅は全壊 入居の仮設住宅も浸水

 輪島市の市街地です。元日の地震で倒壊したビル、まだそのままの状態になっています。

 いまだ地震の爪痕が残る輪島市の市街地。住宅の中にまで泥水が入り込み、住民が後片付けに追われていました。

 こちらの居酒屋も一階部分が床上浸水。冷蔵庫も倒れてしまっていて、椅子やカウンターまで全部泥に…。

男性
「もう、この辺まで(水が)」
「製氷機もダメだし冷蔵庫も恐らくダメ」

 店は地震の被害で一時閉店。場所を移転し、7月から営業を再開したばかりでした。

男性
「(Q.営業(再開)するには?)1カ月くらいかかるかも分かんないですね。しょうがないでしょ。また一からやり直すしかないです」
「(Q.地震があって、次は水害)地震よりも後始末が大変だよな」

 さらに、仮設住宅にも茶色く濁った水が押し寄せていました。

仮設住宅が床上浸水 橋本香代子さん(69)
「お手上げ。もう住めないですもんね」
「(Q.色変わってる。この高さまで?)そこまで(水が)来てましたね」

 仮設住宅の中は泥だらけで、水道が使えず、片付けも思うように進みません。

橋本さん
「(Q.地震があったときは輪島市内に?)そうです。全壊で。もう壊しましたけれど」

 7月にようやく仮設住宅に入居できたという橋本さん。

橋本さん
「一から出直しだ。せっかく新しい仮設住宅当たったのにね。またね…どこ行くんだろうこの次」
「もう心折れました。気丈には『大丈夫だよ』っていうけど、主人も病気だから、私が動かないと回らないです。だから頑張らないと」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年9月23日放送分より)