1回、先制打を放ちベンチにポーズを送る小園(撮影・山口登)

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 「中日2−1広島」(22日、バンテリンドーム)

 頼む…。この状況を打ち破ってくれ!広島が中日に惜敗し、4位に転落。今月15敗目を喫した。重苦しい試合の中で存在感を放ったのが小園海斗内野手(24)だ。初回に先制打を放ち、自身最長の5試合連続打点&適時打を達成。チームは2007年以来、17年ぶりのビジターゲーム9連敗など目を覆いたくなる数字が並ぶ中、若鯉が現状打破への旗振り役となる。

 この男に回せば何とかしてくれる。そう思わせるほどの期待感が今の小園にはある。この日唯一の得点を生み出した4番の一打。見せ場の少なかった試合で、左翼席の鯉党に希望を届けた。

 「追い込まれていたので、何とか食らいついていった。うまく捉えられたのでよかったです」

 立ち上がりの涌井を攻めた。先頭の野間が左前打で出塁。続く矢野が投犠打を決め、1死二塁とし、秋山が凡退したところで打席を迎えた。今季2度目の対戦だった右腕に対し、カウント1−2から外角の直球に反応。「ファウルにできたら」と見送ればボールの可能性もあったが、投げ出すようにバットを出すと打球は左前へ。本塁への送球間に二塁を陥れる隙のない走塁も見せ、先制点をもたらした。

 勝負の9月戦線でチームが大失速。その中で孤軍奮闘の活躍が目立っている。今月、得点圏では22打数12安打、打率・545と圧巻の成績。この日のタイムリーで、自身最長の5試合連続打点&適時打を達成した。「得点圏で多く回ってくる打順というのは分かっている。その期待に応えられるようにという気持ちはある」。また、今季の得点圏打率を・352まで上昇させ、リーグ3位に浮上。「残り試合も回ってきたところで、もっと結果を出すだけ」と頼もしい。

 小園の一打で幸先のよいスタートを切るも、その後はあと一歩届かない、もどかしい攻撃が続いた。1点を追う八回1死二塁では、矢野の右前打で二走・羽月が一気にホームを狙うも細川の好返球に遭い、タッチアウト。最後は守護神・マルティネスにねじ伏せられ、バンテリンでは11試合連続で3得点以下と、ストレスのたまる試合が続いている。

 チームは今月初の連勝を逃し、月間15敗目。球団ワーストの同19敗も迫る中で、またしても4位に転落した。そしてビジターゲームでは17年ぶりの9連敗。歴史的な失速は“負の記録”が証明する形となってしまっている。

 シーズンは残り10試合。投打がかみ合わない苦しい戦いが続くが、逃げることはできない。「疲れとかは言っていられない。毎日必死になって出せる力を出し切るだけかなと思います」と小園。チーム唯一全試合出場を続ける若鯉が、この状況を打破してみせる。