◆米大リーグ ドジャース6―4ロッキーズ(20日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が20日(日本時間21日)、本拠でのロッキーズ戦に「1番・DH」でフル出場。マイアミから3700キロ以上移動し迎えた一戦で一時逆転の52号2ランを放つなど、3安打2打点1盗塁で「52―52」とした。メジャー史上初の「50―50」達成翌日、球場が祝福ムードに包まれる中で、本拠ファンへ“御礼”と言わんばかりの大活躍。チームは3連勝で地区優勝へのマジックが「5」となった。

 本拠地のファンの祝福に、豪快な一発で応えた。大谷のスイングにも自然と力が入った。1点を追う5回2死二塁。フルカウントから見逃せばボールという高めの直球を振り抜いた。のけぞるような形のフィニッシュから放たれた打球は、中堅左へ飛び込む“御礼弾”となった。大歓声に応えるように、一塁を回ったところで人さし指を突き上げた。

 規格外の一撃だった。52号2ランは、地上から高さ3・86フィート(約1メートル18センチ)の球を捉えた。自身通算223発のうち、2番目の高さだった(最高は21年5月17日の4・19フィート=約1メートル28センチ)。7回には内野安打で出塁し、3試合連続盗塁となる二盗を決めて「52―52」を達成。「いいアットバット(打席)を続けて。意識したら伸びていかないものだと思うので、無心でしっかり自分の役割ができるように」と冷静だった。

 試合前から、本拠地は祝福ムード一色だった。前日のマーリンズ戦で、自己最多の1試合3本塁打、6安打、10打点で2盗塁も決めてメジャー初の「50発&50盗塁」を超え「51―51」まで伸ばした。1回裏の1打席目に入る際には、今季の全本塁打、盗塁がまとめられた映像が約2分間流れる異例の演出があった。ナインはベンチ前に整列し、4万9073人のファンは総立ちで、ド軍ナインはベンチの前に整列してスタンディングオベーション。ヘルメットをとって右手を上げて歓声に応えた大谷は「素晴らしかったですね。すごいうれしかったです。感激しました。初めてのシーズンでこういったことをやってもらえるだけで幸せだなと思います」とかみ締めた。

 前日19日の試合は午後7時46分に終了。プレーオフ進出が決まってシャンパンでの乾杯などを終えて、チャーター機で大陸を横断して約5時間のフライトでロサンゼルスに戻った。東京とベトナム・ハノイ間とほぼ同じ距離にあたる約3700キロを移動する難しいコンディションだったが、しっかりと克服した。

 挑戦は続く。52本塁打は、メジャートップ53発のジャッジ(ヤンキース)に1本差。52盗塁は、01年にイチロー(マリナーズ)が記録した日本人最多56盗塁へあと4とした。地区優勝マジックも5まで減らした。24日(日本時間25日)からは4ゲーム差で地区2位のパドレスとの3連戦が待っており「必ず地区首位で(10月に)行くんだっていう気持ちはみんな持ってると思いますし、その前に明日、明後日とあるので、そこをしっかり勝てるように頑張りたいな」と気を引き締めた。

 打率も2割9分7厘で2年連続の3割が見えてきた。残り8試合。また新たな伝説を作るべく、歩みを止めない。(安藤 宏太)