厚生労働省が入る中央合同庁舎

 脳死による臓器移植で、医療機関の院内態勢が整わずに手術を見送られた患者が2023年に計509人いたとの調査結果を厚生労働省がまとめたことが21日、関係者への取材で分かった。臓器提供者(ドナー)が増加する一方、移植手術をする医療機関の人手や病床が足りていないことが背景とみられる。国のこうした実態調査は初めて。

 臓器移植は日本臓器移植ネットワークがドナーの臓器を移植希望者にあっせんする。移植ネットは血液型や臓器の大きさといった医学的な適合基準や待機期間などを踏まえ、優先順位の高い患者から順番に手術を打診し、担当する医療機関が受けるかどうかを判断する。見送られると次の候補者に順番が回る。

 調査は、23年の脳死ドナー計131人から摘出された臓器のうち、最終的にあっせん中止となった192臓器を分析した。見送られたのは延べ3706人で、うち509人は医療機関の院内態勢が整わないことが理由だった。臓器別の内訳は肺364人、膵臓55人、心臓53人、小腸17人、肝臓15人、腎臓5人。