大相撲で大関を30場所務めた貴景勝(28)が秋場所14日目の21日、東京・両国国技館で引退会見に臨み、「燃え尽きた。横綱を目指す体力と気力がなくなった」と涙を見せずに言った。

 かど番で迎えた7月の名古屋場所で負け越して大関から転落し、10勝以上で復帰できた秋場所は初日から2連敗して休場。首に故障を抱え、「ここ最近は自分の大事にしていた準備、やるべきことをしたくてもできなかった」と決断に至った経緯を説明した。

 平成以降に昇進した大関では最も若い28歳1カ月での引退にも、「年齢で相撲を取っていたわけじゃない。引き時だと思った」ときっぱり。突き押し相撲を貫いた。子供の頃からの夢だった横綱の地位には届かなかったが、「道のりは間違っていなかった」と胸を張った。

 今後は湊川親方として後進の指導に当たる。現役時代の自身に重ね合わせ、「今の時代には不向きかもしれないが、武士道精神、根性と気合を持った力士を育てたい」と抱負を述べた。