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アメリカの心理学博士エレイン・N・アーロンが提唱した、生まれつき敏感で周りの刺激を受けやすい性質を持つ人を指す「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉が近年話題です。そんななか、心理カウンセラーの時田ひさ子先生は「好奇心旺盛なのに傷つきやすいHSP」を指す「HSS(High Sensation Seeking)型HSP」を専門にカウンセリングを行っています。そこで今回は、時田先生の著書『かくれ繊細さんのめんどくさい疲れを手放す本』から、「HSS型HSP=かくれ繊細さん」ならではの特性を一部ご紹介します。

【書影】HSS型HSP専門心理カウンセラーが教える、疲れすぎる「かくれ繊細さん」のライフハック。時田ひさ子『かくれ繊細さんのめんどくさい疲れを手放す本』

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かくれ繊細さんの疲れやすさは、自分を守るためのしくみ

かくれ繊細さんは疲れやすい。

でも実は、その疲れやすさは自分を守るためのしくみなんですね。

自分を守るとは、感受性の高いかくれ繊細さんが、感じ取りすぎて、つらくならないようにするための防衛のしくみです。

疲れてしまえば、外からの刺激を取り込むことをやめます。

そして刺激に揺さぶられないように、感じる機能を停止します。

疲れた時、かくれ繊細さんは、電源が切れたように眠りに落ちますが、それは、自分の体を外部刺激のショックから守るためなんです。眠ることで、刺激を感じないように導いてくれています。

成功体験が追い込みを強化する

疲れることによって刺激の取り込みをやめる必要があるのは、かくれ繊細さんが無理しがちな人たちだからです。

「こんなことくらいでくじけていたらダメだ!」と自分を頑張らせつづけます。やめない限り刺激を受けつづけ、ショックも受けつづけます。

そのやり方をしつづけるのは、人生の初期に、そういうやり方をしてうまくいったからなのです。最初は、親や先生や、周囲の大人や先輩に「ほら、もっと頑張って!」とお尻をたたかれていました。

それがいつのまにか、周囲の人たちがいなくても、自分の中に叱咤激励担当を育てて、自分で自分のお尻をたたくようになったのです。

自分で自分を追い込んでうまくいっていると、それが成功体験となって、追い込みをどんどん強化していきます。

アクセルとブレーキ

ところが、いくら自分のお尻をたたいても、うまくいかないこともあります。そういう時に「こんなに必死に自分を追い込んでも、ダメだった」とがっかりします。

そうすると、かくれ繊細さんは、これまでお尻をたたいてうまくやってきた方法を、信用しなくなるのです。うまく成果を出せなくなるからです。


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でも、自分を追い込む以外の方法は知りません。だから、疑いながらも、その方法でやりつづけるしかなくなります。

もっと強く、もっと激しくお尻をたたけば、いい成果が出るのではないか、とますます激しく追い込むようになり、心身がついていけなくなります。

この、激しい追い込みがかくれ繊細さんのアクセルです。

でももう一方では、「悲しい、怖い。もうできない」と拒否的な反応を起こします。これが、かくれ繊細さんのブレーキです。

かくれ繊細さんは、そんなふうにして2つのペダルを同時に全力で踏み込んで、2倍のエネルギーがかかっているので、疲れるのです。

それで、力尽きて寝込んでしまったり、ぼんやりしてしまうことがあるかと思います。これは、かくれ繊細さんにとっては「もうできない」というサインです。

体がアクセルとブレーキのかかりすぎを止めるために白旗を上げているのです。かくれ繊細さんの疲れやすさは、自分の心身を守るためのしくみなのです。

「自分に厳しすぎる」とか「理想が高すぎる」「もっと、普通でいいんだよ」などと言われるかくれ繊細さんたちの、身に覚えのある共通体験なのではないかと思います。

対策

弱音を吐くこと、白旗を上げることを自分に許すことによって、寝込む前に、この疲れは解消できるようになります。

かくれ繊細さんにとって、弱音を吐くことは負けることを意味するため、できないと感じる人が多いのですが、正しく弱音を吐くことは、「自分を大事にする」ことを指します。

その効果は、かくれ繊細さんの心身に大きな影響力をもたらします。

※本稿は、『かくれ繊細さんのめんどくさい疲れを手放す本』(清流出版)の一部を再編集したものです。