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せめて夜くらいは涼しくなってほしいですよね…。

世界の24億人が、地球温暖化によって少なくとも熱帯夜が2週間増えてしまった地域に住んでいるそうですよ。24億人って、世界人口の3割じゃないですか…。

世界で増える熱帯夜

非営利の気候研究機関クライメート・セントラルによると、2014年から2023年までの10年間で実際に観測された最低気温と、温暖化がなかった仮想世界の最低気温をコンピュータモデルで比較したところ、世界人口の30%にあたる24億人が、2週間以上の熱帯夜(最低気温25℃以上)を余分に経験するようになっていたとのことです。

世界202カ国・994都市で熱帯夜が平均9日増加しています。対象期間の後半にあたる2018年から2023年の年間に限ると、9.4日増加しています。ちょっと加速気味ですね。

また、18度以上20度未満の夜は世界平均で4.2日増、20度以上25度未満の夜は同5.2日増と、全体的に最低気温が底上げされています。双方とも、熱帯夜と同じく後半の6年間の方が加速しています。

日本は平均7.7日増

気になる日本の熱帯夜はというと、10年平均で7.7日の増加でした。2018年から2023年で8.5日増と、これまた加速しています。しかし、増加ペースは世界平均よりも遅くなっています。

最低気温が18度以上20度未満の日は、10年平均で7.5日増(2018年から2023年は7.9日増)、20度以上25度未満は10年平均で8.2日増(2018年から2023年は8.7日増)でした。熱帯夜とは違い、どちらも世界平均と比べてかなり速いペースで増えています。

中国や韓国を含む東アジア諸国における熱帯夜の10年平均は4.1日増、後半6年間は4.4日増となっています。日本は東アジアで中国(10年平均4.7日増)や韓国(10年平均6.1日増)よりも、熱帯夜の増加ペースが速くなっています。極端に暑い日の増加と同じ傾向が見られるようですね。

日本の主要都市では熱帯夜が激増

Image: Gizmodo
Data: Climate Central

直近10年における熱帯夜の平均増加日数が7.7日の日本ですが、主要都市によって増加日数は大きく異なっています。とりあえず、熱帯夜爆増の都市が多すぎ。

熱帯夜爆増都市のトップは大阪市で、10年平均で35.8日の増加。1カ月以上増えてますね。日本の平均よりも5倍近い速さで夜が暑くなっています。隣りを見ると、西にあたる神戸市は32日増、東の京都市は17日増と、増加ペースが違いますね。

他の主要都市では、東京特別区が27日増、名古屋市が32日増、新潟市は21日増、北九州市が18日増、広島市は11日増と、すべて世界と日本の平均を上回るペースで熱帯夜が増えており、ほとんどの都市が加速傾向にあります。

仙台市(4日増)と札幌市(10年で2日増)も熱帯夜が増えていないわけじゃありませんが、関東以西と比較すると増加ペースは緩やかです。ただ、両市共に後半の増加ペースが、他地域の都市よりも速くなっているのが気になります。

一般的に気温が低い地域は温暖化が速く進むといわれています。東北や北海道では、熱帯夜の増加傾向がますます顕著になっていきそうです。

熱帯夜増加がヤバい理由

夜間の気温が高いと体が冷えず、日中の暑さから回復できなくなるため、危険です。クライメート・セントラルは報告書で、熱帯夜の日はそうじゃない日よりも死亡率が50%高くなり、脳卒中や心疾患などのリスクも高くなると指摘します。

また、エアコンがない地域や、経済的にエアコンの使用をためらいがちな人は、暑さによって睡眠時間が短くなり、睡眠の質も低下します。睡眠時間が短く質が悪いと、身体的・精神的な健康状態の悪化、認知機能の低下、平均余命の短縮など、さまざまな悪影響が出ます。

このような影響は、高齢者や子ども、基礎疾患を持つ人など、暑さに弱い人にとって特に深刻な問題です。

報告書は、世界中で熱帯夜が増加しているのは、化石燃料の燃焼による気候変動が原因と指摘しています。長期的に見ると、やはり気候変動対策が急務ですね。

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Source: Climate Central