《ススキノ首切り事件》「その子は死んだ」「複数の人格があると主張」...瑠奈被告「ゾンビ妄想」の驚きの真相

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虫も「つぶさず外に逃がしてほしい」という子だった

「瑠奈が小学校の時から事件まで家族以外に暴力をふるったことは?」

そう弁護士から問われた田村修被告(60歳)は「ないです」ときっぱり答えた。

「犬や猫を殺したことは?」(弁護士)

「ありません。よく言えば虫も殺さないような子でした。ハエや虫が入ってきたら、つぶすんじゃなくて、外に逃がしてほしいという子。逃がしてほしいというやり取りは逮捕直前まで変わらずでした」(田村修被告)

小さな命に憐れみを見せる田村瑠奈被告(30歳)は、クラブで知り合った男性と性的なトラブルになったことで殺害を計画。実行後、首を切断してその頭部を自宅に持ち帰り、あろうことか皮を剝ぐなどしてもてあそぶという凶行におよんだ。

2023年7月、北海道一の歓楽街、札幌・ススキノで起きた猟奇殺人事件。殺人や死体損壊などの罪に問われている瑠奈被告の母親で、死体損壊ほう助などの罪に問われていた浩子被告(61歳)の第2回公判が7月1日、札幌地裁で行われた。

午後1時30分、浩子被告は白髪の混じった黒髪を一つに束ね、グレーのシャツの上に紺色のカーディガンを羽織った姿で法廷に現れた。メガネをかけたその顔は瑠奈被告の面影を映していた。

法廷に向かって深々と一礼したのち、険しい表情のまま弁護側の席に座った。

不登校だった子供時代と「ゾンビ化妄想

午後15時30分からは弁護側の証人として父親の修被告が出廷(60歳)=死体損壊ほう助などで起訴=、瑠奈被告との親子関係や事件について証言した。

6月4日に行われた浩子被告の初公判では、瑠奈被告が「シンシア」「ルルー」などと呼ばれる人物が入り込んでいるといった「ゾンビ化妄想」状態だったことが明かされた。あまりにも異質な事件、世間はさらに大きな衝撃を受けた。

「瑠奈被告は小学校2年生のころから不登校気味になり、中学に入ってからは登校できなくなった。中3のころにフリースクールに通うようになったが、そこにも行けなくなり、18歳ごろからひきこもるようになったそうです。その後、昼夜逆転の生活、自傷行為やOD(オーバードーズ)などを繰り返すようになった」(傍聴した週刊誌記者)

『躁うつ病』と診断されており、精神科医の修被告の元、自宅で療養生活を送っていたとされる。

その中で現れたのが瑠奈被告とは別の人格だ。

「いつ頃から始まったかは、確認する資料がないのでわからない。10年くらい前のことだと思う。娘に『瑠奈』と呼びかけると、『その子は死んだ』『その名前で呼ばないで』と言っていた」(修被告)

「瑠奈は死んだ」「その子の名前で呼ばないで」

瑠奈被告は自分が「シンシア」や「ルルー」などであり、「瑠奈」ではないと主張していた。

「(言葉を濁しながら)本人から瑠奈という魂はいなくて、私はシンシアだと言い出した。ほかにも複数いることを本人が言い出した」(修被告)

「基本的に、シンシアという人格なのか」と弁護側から問われると、「娘は人格というよりも魂と言っていた。死んだ瑠奈の身体をシンシアという人が借りているだけ。これが10年くらい続いている」と修被告は説明する。

20歳を過ぎるころには自分が「瑠奈ではない」との主張は揺らぐことがなくなり、「『瑠奈』と呼ぶとそれまでニコニコして話していていも、『その子の名前で呼ばないで』『瑠奈は死んだ』というようになったという。

「シンシア」とはいったい何者なのだろうか。

その後の瑠奈被告の生活の変遷の経過と、今回の犯行に至った「まだ見つかっていないピース」について、後編記事『《ススキノ首切り事件》被害者長男「一家全員の極刑を望んでいます」...「外出することもできなかった」瑠奈被告がなぜ殺人を犯せたのか』に続く。

《ススキノ首切り事件》被害者長男「一家全員の極刑を望んでいます」...「外出することもできなかった」瑠奈被告がなぜ殺人を犯せたのか