©Disney/Pixar 写真:ゼータイメージ

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これまで多くの物語を“アニメーション”という形で映画ファンに届けてきた米ディズニー&ピクサー。2024年8月には最新作『インサイド・ヘッド2』が公開を迎えるが、そんなピクサーが死守してきたことがある。作品の実写化だ。

ここ最近、ネットではピクサーの代表作『レミーのおいしいレストラン』(2007)の実写化を望む声が続出していた。「ザ・クラウン」(2016-2022)や『チャレンジャーズ』(2024)などで知られるジョシュ・オコナーが同作の大ファンであることを公言した後、彼を実写版に起用して欲しいと思うファンがキャンペーン活動を始めたことが事の経緯だ。

このたび本件について、米がピクサー・アニメーション・スタジオ最高クリエイティブ責任者(COO)のピート・ドクターに直撃。改めて『レミーのおいしいレストラン』実写化の可能性を尋ねると、ドクターは「いいえ」と即答した。

アニメーション制作会社なのだから、ピクサーが実写作品を製作しないというのは当然のことではある。しかし、同社で長年勤めてきたドクターが実写化の選択肢を持とうとしない背景には、こんな想いがあるからなのだという。

「こう言うと後で災いとなって返ってくるかもしれないですが、(実写化は)私にとって悩ましいことです。私は映画そのものに対してオリジナルでユニークな映画を作ることが大好きなんです。リメイクするのは、私個人にとって興味をそそられません。」

ここでドクターが言う“オリジナル”というのは、アニメーションの特異性を指している。仮に『レミーのおいしいレストラン』を実写化するとしたら「厳しいものになるでしょう」との見解を示すドクターは、アニメーションには特有のルールがあるのだと強調。「私たちが創造するものの多くは、(アニメの)世界の法則のみによって成立しているのです」と説明している。ここでドクターは、自身が手がけた『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)を例に挙げる。

「宙に浮く家に、人間が足を踏み入れるとしましょう。すると、“ちょっと待て、家はすごく重いはずなのに、なんで風船が家を持ち上げているんだ”と思うはずです。でも、そこにアニメの人間がいて家の中に立っているとしましょう。そしたら、“よし、信じることにしよう”となります。私たちが創ってきた世界は、簡単に(他の媒体に)置き換えることはできないんです。」

そうした想いのもと、一貫してアニメーション作品を手がけてきたピクサー。最新作は2014年公開の大ヒット作『インサイド・ヘッド』の続編である『インサイド・ヘッド2』となるが、既存IPの製作に進んだのは観客を映画館に呼び込むための戦略なのだとか。ドクターは「オリジナルの作品をなぜ作らないのかと言われ、我々がそうすると、“馴染みがないから”と言って映画を観てもらえない。続編であれば、“観たことがあるし、好きだと分かっている”と思ってもらえます。続編は、そうした意味で貴重なんです」と方針の背景を説明している。

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一方で、続編製作のハードルが高いことも自覚しているようだ。「オリジナルのものを作るよりも難しいですよね。同じことはできませんから」とドクター。「もし(『インサイド・ヘッド2』が)劇場でうまくいかなければ、それは自分たちのビジネスをより抜本的に考えていかなければいけないという意味なんだと思います」とリスクも承知の上だ。

アニメーション会社として過渡期にあるピクサー。今後の方向性は『インサイド・ヘッド2』の結果次第ということになりそうだ。同作は2024年最大のオープニング成績を記録するとのこと。また、米レビューサイトでは批評家スコア92%と好調な滑り出しを見せている。

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