「胃カメラ」で発見できる病気・受けた方がいい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!

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胃カメラは何がわかる?Medical DOC監修医が胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で発見できる病気・受けた方がいい人などを詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「胃カメラ」の検査方法は口からと鼻からで違う?費用や当日の流れなど医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

≫「スキルス胃がんの原因」はご存知ですか?症状や検査法も解説!【医師監修】

監修医師:
丸山 潤(医師)

群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

胃カメラでわかる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃カメラ」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ポリープ

胃ポリープとは胃の内部にできる良性の腫瘍です。過形成ポリープ・胃底腺ポリープ・特殊型に大きく分類されます。
過形成ポリープの原因として大きく関連していると言われているのがピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)です。他のポリープはピロリ菌の感染とは関係なく発症します。遺伝性のあるポリープもあります。
ポリープ自体は自覚症状が乏しいため、胃カメラなどの検査で発見されることがほとんど
です。基本的に多くは治療の必要がないものですが、過形成ポリープは稀にがん化することもあるため定期的な診察が必要です。また、サイズの大きいものや出血しているものなどは消化器内科で内視鏡下に切除の適応となります。

胃炎

胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があり、一般的には慢性胃炎のことを指します。慢性胃炎の多くはヘリコバクター・ピロリ菌が原因とされており、自己免疫や薬剤、ストレスが原因となることもあります。
治療法としては原因となる薬剤やストレスの除去やピロリ菌の除菌が必要です。除去が難しい場合は胃粘膜を保護する薬や胃酸を抑える薬などを使用します。
強い腹痛や嘔吐、吐血などを認める場合は出血や胃潰瘍を生じていることもあり、消化器内科の受診が必要です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃液や胃の内容物が食道に逆流することにより食道の粘膜に炎症を起こす疾患です。日本人の10%が持つ疾患で、有病率は高いと言えます。
原因には食べ過ぎやアルコール摂取、喫煙、姿勢などが考えられており、治療法としては胃酸を抑える薬に加え生活習慣の改善も求められています。重症の場合は外科的治療を勧める場合もあります。
症状が長期間続くとがんの原因にもなると言われているため、胸焼けや胸痛が長く続く場合は消化器内科を受診しましょう。

胃がん

胃がんとはその名の通り、胃にできるがんのことです。現在、多くの胃がんはピロリ菌の感染による萎縮性胃炎が原因として考えられているため、ピロリ菌が陽性となった方は早めの除菌をお勧めします。
治療法としては基本的には外科的に切除を行います。大きさや転移の有無などにより、化学療法・放射線療法を行うこともあります。また、切除の際に周囲のリンパ節も同時に切除することもあります。術後も定期的に診察を受け、再発や転移がないか確認します。
胸焼け・吐き気・腹痛などが持続する場合、食欲不振や体重減少が見られる場合は消化器内科を受診しましょう。一方で進行しても自覚症状が現れにくい場合もあり、健康診断や人間ドッグを定期的に受けることが重要です。

「胃カメラ」は何歳から受ける?受けた方がいいのはどんな人?

近年胃がんの罹患率・死亡率は少しずつ減少してきています。40歳代では胃カメラを使用した胃がん検診による不利益が50歳以上よりも大きいと言われており、胃がん検診の対象としては50歳以上が望ましいとされています。
しかし、胸焼け、胸痛、食欲不振などの自覚症状がある場合は年齢に関わらず消化器内科を受診し診察を受けることをお勧めします。

「胃カメラ」についてよくある質問

ここまで検診の内容や発見できる病気などを紹介しました。ここでは「胃カメラ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

内科で胃カメラ・内視鏡検査を受けたほうがいいのはどんな人ですか?

丸山 潤 医師

以前にピロリ菌感染やピロリ菌除菌後も萎縮性胃炎などの粘膜変化が認められている方は定期的な検査をお勧めします。ピロリ菌陰性の方も、胸焼け、胸痛、食欲不振などの自覚症状がある場合は検査を受ける方が良いでしょう。

胃カメラは痛いと聞きますが鼻と口どちらからが苦しくないですか?

丸山 潤 医師

一般的に鼻から検査を行う方が苦痛は少ないと言われています。ただ、口からの検査はもし大きな病変が見つかった時に検査時に切除できることがあるというメリットもあります。病院によって検査時に鎮静剤を使用してもらえるところもありますので、ご不安な方は検査前に相談されることをお勧めします。

胃カメラは何歳から受けた方がいいですか?

丸山 潤 医師

上記のように50歳以上の検査が勧められていますが、もちろん若年でも胃の変化を認めることはありますのでご心配であれば検査を受けていただくことは可能です。特に自覚症状のある方は早めの検査をお勧めします。

胃カメラは予約なしで病院に当日行ってもその場で受けられますか?

丸山 潤 医師

前日から絶食する必要がありますので、緊急時を除きほとんどの病院は予約してからでないと胃カメラを受けることができません。予約が埋まっている場合もありますので、検査ご希望の方はなるべく早く受診すると良いでしょう。

まとめ胃カメラで胃がんを早期発見

胃カメラ、と聞くと怖い印象をお持ちの方も多いと思います。昔は検査時の苦痛が強い検査でしたが、近年は鎮静剤の利用やカメラの改良、経鼻胃カメラの登場により以前と比べると受けやすい検査になっています。
胃がんはかつて日本人の死因の1位でした。近年胃がんの罹患率の減少は見られますが、未だ日本人男性では第3位・女性では第4位の死因となっています。胃がんは早期発見・早期治療で予後を改善させることが可能な疾患です。胃がん以外にもこの記事に書かれた疾患の多くは胃カメラで診断することが可能です。
ぜひ恐れることなく胃カメラを受けていただき、早期発見に繋げていただければ嬉しいです。

「胃カメラ」で発見できる病気

「胃カメラ」から医師が発見できる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

急性胃炎慢性胃炎逆流性食道炎

胃がん

胃ポリープ

胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌感染症

胃アニサキス症

胃カメラは胃粘膜表面の色調変化や凸凹を捉え、胃にある病気を正確に診断し治療に繋げることができます。ぜひ定期的に胃カメラの検査を受けて、がんを予防しましょう。

参考文献

有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版(国立がん研究センター)

消化器内視鏡Q&A(日本消化器内視鏡学会)

胃癌治療ガイドライン(日本胃癌学会)