「胃カメラ」前日・当日・検査後の流れはご存知ですか?医師が徹底解説!

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Medical DOC監修医が胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)の前日・当日・検査後の流れなどを詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「胃カメラ」の検査方法は口からと鼻からで違う?費用や当日の流れなど医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

≫「スキルス胃がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?代表的な症状も解説!

監修医師:
丸山 潤(医師)

群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

胃カメラ前日・当日・検査後の流れ

胃カメラには検査前後の食事制限や注意点があります。以下に重要な点をまとめていますが、各施設ごとで時間や内容は異なりますので、実際に検査を受けられる施設の規定に従ってください。

胃カメラ前日の食事や準備

日中の食事は特に問題ありませんが、検査前日の夕食後から絶食となります。水分摂取は夕食後も可能ですが、アルコールや乳製品は避けましょう。検査の時間によっては当日の朝食まで飲食可能となる場合もあります。

胃カメラ当日の食事や準備

検査が終わるまで食事は食べないようにしましょう。胃の内部に食物残渣が残り、正確な検査ができません。水分摂取は可能ですが、濃い色のついていない飲み物のみ可能です。なるべく水やお茶などにしましょう。
食事を摂ることができないため、激しい運動などは避けましょう。

胃カメラ検査後の注意点

検査後の食事にはアルコール含め特に制限はありません。ただし、胃カメラ時に組織採取などの検査をした際は制限があることがありますので、検査後の指示に従って下さい。
検査時に鎮静剤を使用した場合は、鎮静剤の効果が切れるまで待機してからの帰宅となるため少し時間がかかります。また、鎮静剤を使用する可能性があるため、検査日はご自身で運転する乗り物(自転車や自動車など)では来ないように気をつけましょう。
入浴や運動など生活の制限はありません。稀に検査の合併症として胃の内部からの出血が起こることがあります。万一便が黒くなるなどの変化があれば病院を受診しましょう。

「胃カメラ」についてよくある質問

ここまで検診の内容や発見できる病気などを紹介しました。ここでは「胃カメラ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

内科で胃カメラ・内視鏡検査を受けたほうがいいのはどんな人ですか?

丸山 潤 医師

以前にピロリ菌感染やピロリ菌除菌後も萎縮性胃炎などの粘膜変化が認められている方は定期的な検査をお勧めします。ピロリ菌陰性の方も、胸焼け、胸痛、食欲不振などの自覚症状がある場合は検査を受ける方が良いでしょう。

胃カメラは痛いと聞きますが鼻と口どちらからが苦しくないですか?

丸山 潤 医師

一般的に鼻から検査を行う方が苦痛は少ないと言われています。ただ、口からの検査はもし大きな病変が見つかった時に検査時に切除できることがあるというメリットもあります。病院によって検査時に鎮静剤を使用してもらえるところもありますので、ご不安な方は検査前に相談されることをお勧めします。

胃カメラは何歳から受けた方がいいですか?

丸山 潤 医師

上記のように50歳以上の検査が勧められていますが、もちろん若年でも胃の変化を認めることはありますのでご心配であれば検査を受けていただくことは可能です。特に自覚症状のある方は早めの検査をお勧めします。

胃カメラは予約なしで病院に当日行ってもその場で受けられますか?

丸山 潤 医師

前日から絶食する必要がありますので、緊急時を除きほとんどの病院は予約してからでないと胃カメラを受けることができません。予約が埋まっている場合もありますので、検査ご希望の方はなるべく早く受診すると良いでしょう。

まとめ胃カメラで胃がんを早期発見

胃カメラ、と聞くと怖い印象をお持ちの方も多いと思います。昔は検査時の苦痛が強い検査でしたが、近年は鎮静剤の利用やカメラの改良、経鼻胃カメラの登場により以前と比べると受けやすい検査になっています。
胃がんはかつて日本人の死因の1位でした。近年胃がんの罹患率の減少は見られますが、未だ日本人男性では第3位・女性では第4位の死因となっています。胃がんは早期発見・早期治療で予後を改善させることが可能な疾患です。胃がん以外にもこの記事に書かれた疾患の多くは胃カメラで診断することが可能です。
ぜひ恐れることなく胃カメラを受けていただき、早期発見に繋げていただければ嬉しいです。

「胃カメラ」で発見できる病気

「胃カメラ」から医師が発見できる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

急性胃炎慢性胃炎逆流性食道炎

胃がん

胃ポリープ

胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌感染症

胃アニサキス症

胃カメラは胃粘膜表面の色調変化や凸凹を捉え、胃にある病気を正確に診断し治療に繋げることができます。ぜひ定期的に胃カメラの検査を受けて、がんを予防しましょう。

参考文献

有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版(国立がん研究センター)

消化器内視鏡Q&A(日本消化器内視鏡学会)

胃癌治療ガイドライン(日本胃癌学会)