「あなたは学歴も低いし、弁護士事務所の大変さも理解していない。息子にとって、あなたはふさわしくない」

 このように、「息子に嫌われまい」と、息子本人に反対の異を唱えるのではなく、お相手の女性を“いびる”ことで、交際や結婚を妨害する親も実在するのです。

 本ケースがその後どのような展開となったか、続報はありません。

 けれど、交際相手の女性が母親から不当な扱いを受けたことを知ったときには、「うるさい! 黙っておいてくれ」とばかりの強気で言い返せる覚悟が必要です。

 そうでなければ、子離れできていない母のもとでの恋愛や結婚には暗雲が立ち込める未来になるでしょう。

◆ママにダントツ注意すべきは「婚期を逃した医者」

 ただ、ハイスペと一口に言っても、その仕事はさまざまです。

 しかし、これまでご紹介した事例のように、ママや家庭が非モテの最大要因となっているハイスぺは、「医者」である場合が圧倒的多数です。

 つまりマザコン問題は、社会的地位も給与も昔から高い、クラシカルでお堅い仕事ながらも婚活に苦戦している人たちが抱えている例が多いのです。

 ハイスペ息子をマザコン化させてしまうチャイルドコンプレックスの母親は、旧態依然とした価値観に固執しています。そんな彼女たちは、「医者こそナンバーワン職業」的な考えを持っています。

 先進トップIT企業に高待遇で勤務している人や、外資金融マン、青年実業家など、そのほかの現代的高年収エリートの存在をほとんど知らず、その人気ぶりも言うまでもなく知らない。

 だから、我が息子の婚活市場価値を過大評価してしまうのです。とりわけ、「医者の母」が頭一つ抜けている要因はおそらく、世襲率と教育投資額の圧倒的な高さでしょう。

 手塩にかけ期待をかけ、数千万円の大金をかけ、ようやく育て上げた自慢の息子24歳。認識がそこで止まったまま、10年も20年もの時の流れに、追いつけていない母親がたくさん存在しています。

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 時代は変わり続けるものです。並行して、今を生きる人たちの考え方や価値判断も、常に更新されていきます。

 狭くて居心地の良い「実家」という世界に居座り続けてはいないでしょうか。世や人の変化に対して、主体的かつ柔軟な応答をしなくなっては、どんなに地位や稼得能力が高くても、交際相手から幻滅されるのが現代です。

 血縁であるお母様でなく、今目の前にいる相手の言葉や態度を真摯に受け止めること。これが“ハイスペ非モテ”脱却の、ファーストステップと言えるでしょう。

<TEXT/植草美幸>

【植草美幸】
結婚相談所マリーミー代表取締役、恋愛・婚活アドバイザー。 1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピーを創業。そこで培ったマッチング能力・人材発掘力を生かし、2009年に結婚相談所マリーミーを設立。日々カウンセリングを行いながら、セミナーの開催、テレビやラジオへの出演など幅広く活動中。著書に『ワガママな女におなりなさい 「婚活の壁」に効く秘密のアドバイス』(講談社)、『モテ理論』(PHP文庫)など