【独自】山口組・高山清司氏と定例懇談「浪川会」トップ、異例の引退劇の理由《九州ヤクザ道仁会・浪川会同時トップ交代へ》

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頻繁に会合を重ねていた二人

九州の指定暴力団である道仁会(本部・福岡県久留米市)と浪川会(本部・同県大牟田市)で、今月下旬に相次いで組織トップの交代を予定していることが複数の関係者への取材でわかった。前篇に引き続き、詳報する。

今回注目されるのはわずか2日ずらすだけで、ほぼ同時に対立関係にあった二つの組織のトップ交代が執り行われるという事態だ。これは何を意味するのか。

両組織と通じる関係者が経緯を明かす。

「浪川氏と小林氏は近年、東京などで頻繁に会合を重ねていた。敵対関係についてどこかでケジメをつけなければいけないという議論は常にあった。和解に向けた具体的な話もこれまで幾度か浮上したが、その直前にイザコザが起きたりして白紙に戻るということが繰り返されてきた」

それが突如、なぜこの時期の交代に至ったのか。

この関係者は「まず、これまでの対立関係の解消が第一の大義であることは間違いない」としつつ、こうも解説する。

「市民も巻き込んだ一連の抗争事件の首謀者として小林、浪川両氏を立件すべく、警察は今も動いているとの情報がある。すでに抗争事件の実行犯、直接的な指示役などは数多く逮捕され、服役しているものも多い。

実際に組織トップの指示が明確にあったのかは定かではないが、無期懲役などの判決が下り、組織への忠誠も薄れた者が小林、浪川両氏に対して不利な供述をしないとも限らず、また誰かが供述しているのではないかとの疑心暗鬼も生まれている。

そうした立件への動きを警戒した両氏が、組織トップから退くことで、警察を牽制したいという思惑もあるようだ」

浪川氏の潤沢な資金源

実際、浪川氏をめぐっては、暴力団であることを隠して会社設立の登記をさせたなどとして、大阪府警が今年1月に電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕する(現在は処分保留で釈放中)など、警察がマークを強めていた矢先だった。

また現時点の情報では浪川会は組織として、解散せずにそのまま存続する。ただ、数ヶ月先に組織名を浪川会から新しい名称に変更する予定だという。

これについて関係者は「浪川会は道仁会を割って出た、任侠組織の論理では、いわば『裏切り者の組織』。ケジメをつけるならば、浪川会をまず解散させて梅木氏が新たな団体を立ち上げるのが筋だ。名称変更だけで過去の遺恨をきちんと精算したことになるのか疑問がある」と指摘する。

九州を代表する二つの指定暴力団での異例の同時期トップ交代の影響は九州にとどまらず、全国のヤクザ組織や反社会的勢力に及びかねない重大性を孕んでいる。

小林氏、浪川氏ともに2015年から分裂抗争状態が続く山口組、神戸山口組の停戦交渉でも仲介人として度々名前が取り沙汰されてきた重要人物だったためだ。

とりわけ浪川氏は資金難に苦しむ暴力団の中でも例外的に潤沢な資金源を持つことで知られ、半グレ人脈から他の指定暴力団トップまで幅広く交友関係を持ってきた。山口組の実力者、高山清司若頭や神戸山口組の井上邦雄組長とも頻繁に会合を重ねてきた。

「浪川氏は毎月のように山口組主要組織の弘道会の本拠である愛知まで出向いて高山氏と会っていました。

組織内の情報統制にも厳しく目を光らせる高山氏は何を考えているのか、山口組幹部レベルにも共有しないことが多いため、サシで高山氏と会える浪川氏から会合後になんとか聞き出そうとする山口組側の幹部がいるほどでした」(関係者)

浪川氏は今後、実業家として生きていくなどという憶測も流れている。

捜査関係者は「浪川は海外の反社会的勢力とも気脈を通じており、たとえカタギになったとしても警察は手を緩めず動向を追い続ける」と語る。今後も、その動きからは目がはなせそうにない。

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